それは突然の出会い。
俺は凄い力を手に入れた。


死神と出会った日


毎日何も変わらない日常を送っていた。
ただただ繰り返されている毎日。
つまらないといえばつまらない。しかし、別に変わって欲しいとも思わない。

ただ、何か違うものが欲しかった。


チャイムが学校内に響く。
授業の終了を告げる合図。
その合図を共に生徒は皆、教室から去っていく。
部活に行く者、そのまま帰宅する者それは様々だった。
自分は、前者で部活に行く者。
友達が後ろで呼んでいる。

「さっさと行こうぜ。」
「あぁ、おっ、そういえば、昨日ガット張り替えたんだっっ!!」

俺は新しくガットを張り替えたラケットを友達に見せびらかす。
部活はテニスをしている。最近ガットが切れたので直してもらったところだ。
今日からこれで連取が出来ると思ったら気分はわくわくだった。

すると友達がふざけてこっちにボールを投げてきた。
俺はふざけてラケットを思いっきり振った。
当てるつもりはなかったので思いっきり振った。
しかし風のせいでボールの軌道が変わりナイス位置でボールとラケットがあたってしまった。

「・・・・あっ・・・・」

その場にいた全員がそのボールに注目する。
良い音を立ててあたったボールはそのまま凄いスピードで跳ね返される。
ガラスや人にあたりはしなかったものの窓を越えて外に出ていってしまった。
その向こうは林が広がっている。
あまり人気がなく立ち入り禁止になっていた。

「おい、どうするんだよ」
「・・・・えっ・・・・」
「とってこいよー!!
それ新品のボールなんだし・・・・」

今まで一緒に騒いでいた友達はそそくさと逃げていった。
教室には自分一人取り残された。

・・・・どうしてこういうことになるんだ・・・・・。

時計をちらりと見た。
林の中から探すのは結構手間が掛かるかもしれない。
このままボールをもたずに部活にいったらまた嫌味を言われるであろう。
ため息をついた。

・・・・まぁ・・・・いっか・・・。

今日は部活をサボってでもボールを捜しにいくことにした。
言い訳はまだガットの張替え中でラケットがなかったから。で通るだろう。
別にちくるような奴はいない。



林の中に入ったのはこれが初めてではない。
なんども同じ事をしたことがあったからだ。
部活でも飛ばしすぎれば林の中に入ってしまう。
先生公認で部員全員で林の中からボールを捜しにいったこともあった。
誰もいない林の中を歩く。
誰にも見つからないようにあたりに注意して歩く。
ここで見つかればまた笑われ者だ。

林の中から校舎を見る。
・・・・この辺だ。
見回ってもボールは見つかることはない。
教室から直線の位置に真っ直ぐに歩いていく。

「・・・・あれ・・・・?」

いつの間にかかなり奥まで来てしまったらしい。
校舎はもう見えない位置にある。
それだけじゃなく、目の前には見たこともない泉があった。
前、林の中に入った時にはこんなもの見てない。それにあるという話も聞いていない。
少し怖くなった。
・・・・・ちゃんと戻れるのであろうか・・・・・。

「・・・・あ・・・・・」

泉のほとりに誰かいる。
黒い服を来ていて男か女か全く区別がつかない。
そいつはこっちを向いた。

「・・・・おい」

意外にもかっこいい部類に入る青年だった。
しかしあまり目つきは良くない。無愛想なイメージを漂わせる。

「・・・・あ・・・・はいっっ」

なんだか緊張してしまう。
学校関係者とかそういうわけでもないようだ。
何故、こんなところに人が・・・・。
青年はボールを見せた。
それは、さっき自分が打ってこの林に落としてしまったソレ。

「・・・・お前のか?」
「あ、うん。拾ってくれたのか?ありがとう」

やっと帰れるとほっと安堵して青年からボールを受け取ったときだった。
少し怒りを込めた言葉が返ってくる。

「・・・・俺に当たったんだか・・・・」
「うっ、それはごめんなさい。」

ここは素直に謝っておく。
この青年からは見た目は普通の人間だけどそうでない雰囲気をかもしだしているから。
そもそもあるはずのない泉がここにあるのだ。
にわかに信じられないが霊体験をしていると自分に言い聞かせさっさと元の世界に戻ろうと警告を鳴らす。
凄い怖い。
しかし、この青年に逆らうとろくなことが起きないような気がして次の反応を待った。
青年は立ち上がって、こういった。

「俺の姿が見えるとはかなり幸運も持ち主だな。
まぁ今のやつは取り消してやる。
率直に言う。
俺は死神だ。
少し仕事をサボりすぎてここに堕とされてしまった。
・・・・で、早速だが殺したい奴のところに案内しろ。3人だ」

無茶苦茶なことをいう奴だ。
というか信じられるはずがない。
どういえばいいのか分からず黙っていたら死神となのる青年が大きな鎌を振り俺の首筋に当てる。
金属の冷たい感触が分かる。このままだと殺されると言うことも分かる。

「・・・・案内しろ。でないとお前を殺すぞ。」

首を縦に振るしかなかった


学校に戻るまで色々話をした。
別に悪い奴でもなさそうだ。
自分たちが動物を殺して生きているように、死神は人の命を奪って生きている。
彼は人間を10000人狩ってこいと言われたらしい。
そして今が99997人殺した。あと3人殺せば元の世界に帰られる。

「・・・でも、別に俺は殺したい奴なんていないんだけど・・・・」
「ムカツク奴くらい一人はいるだろう?
この時代、人間の繋がりはかなり薄いものになっているからな。
人は簡単に裏切る。」
「・・・・・。」

確かにそうだ。
さっきだって、友達は自分を置いて先にいってしまった。
自分にはこんなに面倒なことを押し付けておいて先に行ってしまった。
友達の顔が頭に浮かぶ。
しかし、その考えは消した。
あいつらがいなかったらきっと明日から楽しくなくなる。
考えていたらふとあることにたどり着いた。

「・・・誰でも・・・・いいんだね」
「あぁ、直接俺が手を下すから見ているだけで良い。
死因に付いては不明にされるからお前が疑われることはない」

校舎が見えてきた。
部活に向かわず、そのまま職員室に向かった。

死神の姿は誰にも見えない。
自分には不思議なくらいだ。
こんなに黒尽くめの奴が歩いているのだから。後ろには大鎌も持っているわけだし。

「失礼します」

そういって、自分は職員室に入った。
そのまま担任の所まで行く。

「・・・・どうした??成績の方ならもう手遅れだぞ」

自分は何も言っていないのにこう言い始めた担任。
説教じみた言葉は続く。
確かに自分は成績が悪い。しかし、それだけでここまで愚痴愚痴言われる筋合いもない。
成績の良い奴だけ贔屓するなど教師としてどうだろうか。
ずっと、こいつに会ったときからそう思っていた。
殺したい。と心から思っていた人物。

「・・・こいつだ」

ボソリと呟く。
結構小さい声で言ったが死神の耳には届いていたらしい。

「了解。
確かにかなり殺したいタイプだな・・・・」

死神は大きな鎌を横に振った。
丁度先生の首が切れるように。
しかし、鎌は透けて実際に首はつながったままだ。

どうなるか予想もつかなかった。
切れた直後ずっと喋っていた担任の声が切れる。
そして、その場にばたりと倒れた。

「・・・・なっっ・・・・・」

周りにいた先生が集まっている。
すぐに、他の先生から「帰れ。」の指示が下された。
自分は従った。奴はもう死んでいる。
恐怖もあった。しかし、日ごろからムカついていただけあって、逆にスカッとした。

「・・・さて、1人目。
次は誰だ??」



帰り道、殺したい奴のことを考えながら歩いていた。
特に思いつかない。
あの先生に対しての怒りが多すぎて回りに気が回らなかったというのもある。
人ごみの中歩いていると目の前から良く知った奴が歩いてきた。
小学校のとき同じクラスだったいわゆるガキ大将だ。
確かにあの頃奴にも良くいじめられたもんだ。
今では既に犯罪レベルまで手を伸ばしているらしい。
自分はおもむろにそいつに近づいた。
そしてわざとらしくぶつかる。
勿論、怒りを買った。

「テメェ、どこ見て歩いているっっ・・・・。
・・・・ん??お前は・・・・」

かろうじてこの馬鹿でも自分のことは覚えていてくれらしい。

「へぇ〜ガキの頃以来だな。
いつもならボコるところだが今日は金を出せば許してやるよ」

周りの仲間達からは「お前は運が良いな。」とか嫌味ったらしい野次が聞こえる。

「嫌だ。」

強気に断ってみた。
いつもならこんなこと出来ない。
しかし、今なら後ろに死神がついているのだ。殺してしまえば問題ない。

「・・・・なっ、仕方ねぇな・・・・こっちこいっ」

奴の体格は物凄く良かった。
軽々俺を路地まで運ぶ。

「せっかく昔のよしみで軽くしてやろうと思ったんだがな。」

キラリと光るのはナイフ。ペタペタとそれで頬を叩かれる。
しかし、全く怖い気がしない。
こんなの脅しの道具でしかないから。

恐怖の表情を出さない自分に対して彼らの不満は爆発したようだ。
全員が戦闘体制に入っている。

「・・・もう、やっちゃって良いよ。
結構貴重な体験させてもらったから」
「・・・・なっ、テメェ何言って・・・」

大将の拳が自分に襲いかかる。
しかし、その前に彼の動きが止まり、その場に倒れこんだ。
俺は財布から1万円札を出して、倒れた彼の上に落とした。

「やるよ。
欲しかったんだろ?金」

驚愕する仲間達を無視してまた賑やかな通りに戻っていった。
後ろには動揺を隠せないでいる奴らの雰囲気が伝わっていた。

「なんか、すっきりするな。
はじめから俺のところにくれば良かったのに」
「まぁ、運だな。
それにしても目の前で人間が死んでここまで平気な奴を見るのは久しぶりだな。
たいてい2人殺せば気が狂う」
「そんなもんか?」
「そんなもんだ」

後1人。誰を殺せばいいかまだ考えていない。

「今日中に終わらせたいのだが・・・・誰かいないか?
その辺にいる奴でも構わない。」
「じゃ、お前自信が決めれば?」
「そうするのは飽きた。
ちなみに言っておくが、人物を指定すればこの世界にいる奴なら誰でも殺せる。
俺は死神で神だ。そいつのところまで移動できる。」

また便利な奴もいたもんだ。
しかし死神と言うのは予想以上にフレンドリーで怖くない奴だ。
外見も骸骨ではなく好青年。
黒い服じゃなければテレビにでも出ていそうだ。


「・・・・しかし殺したい奴か・・・いないんだよな・・・」
「誰でもいい。
賄賂贈って政治生命つなげている馬鹿政治家。
どっかの国の大富豪。
それとも不治の病におかされて死にたくても死ねない奴でもいい」
「・・・・・。」

空はもう暗くなって町の電気がまぶしい。
この辺はテレビ局などもあるので人通りが多い。
ふと向こうの方で歓声が聞こえた。
誰か有名人でも来ているのであろうか。

良く見ると、最近売れてきた人気アイドルだ。
しかし、ファン以外から見るとただの能無し娘だ。
絶対猫かぶっているとしか思えない。

「・・・・じゃ、あいつ。」

華やかにファンに手を振っている。
あいつがテレビに出ていると無性に腹がたってしょうがない。

「・・・・了解」

人ごみをすり抜けて死神は鎌を振りかざす。
そして、首を切った。

数秒後ファンの歓声は悲鳴に変わった。
数分後テレビ局のカメラが入っている。
すぐさま立ち入り禁止になった。


死神が戻ってきた。

「助かった。ありがとう。」
「いや、別にたいした事はしていないから。
貴重な体験をしたしね・・・・。
またここに降りてきたら俺のところに来てよ」
「・・・・・物騒なことを言うな」

死神は少し笑った。
数時間しか一緒にいなかったのに古くから一緒にいた感覚になる。

俺は死神と別れ帰りの帰路に入る。
しかし、その歩みも直ぐに止まった。
首筋に冷たい感触がある。
目線を下にすれば鋭く、今まで人を殺してきたときの大鎌がかけられている。

「・・・何の真似だ・・・・。」
「別に、ただ単に数え間違いだった。
だから最後にお前を殺して帰る」

全身が恐怖に震えた。
まさか自分がこうなるとは思わなかった。

「だっ、誰でも殺す奴は紹介するから・・・
だから・・・・・っっ」

自分でも何を言っているか分からないくらい叫んだ。
あたりにいる人がこっちを見る。
しかし、人目なんて気にしていられなかった。
今まで以上に死の恐怖に襲われた。

先ほどまで自分との会話で笑みも見せた死神の表情はない。
ただ無表情で自分を見る。

「・・・止めてくれ・・・・っっ。
お前はいい奴なんだろう?だってさっきまで話していたじゃないか。
笑ってくれたじゃないかっっ!!」
「・・・・笑えばいいのか・・・・?」
「・・・・え・・・?」

死神の口元がニヤリとなる。
おかしくてしょうがない。と言ったように笑い出す。
何が起こったか分からなかった。
死神は笑う。

「・・・・勘違いするな。
確かにお前と話しているときは楽しかった。
しかし、別にそれとお前を殺すのとはまた別だ」
「助けてくれっっっ、俺じゃなくてもその辺に人ならたくさんいるだろうっ!?」
「1つだけ教えてやろうか?
・・・今まで死神の存在が本当にあると、この世界に流れたことはあったか?」

ない。

「・・・・お前には俺の姿が見える。
自分だけが特別だと思うか?」

違う。

「やはり、人を殺しても恐怖にうち震える人間も無感情な人間もいるが、やはり共通してこの時は楽しい。
誰もが俺に命乞いをする。
そして死んでいく。
・・・・悪いがこの世に俺の姿を見た奴を生かしておくわけにはいかないんでね。
面倒なことにならないように、4人ずつ殺していったんだ。丁度一万で割れるしな。」
「なんでもするっっ!!
助けてくれっっ、お前のことは誰にも言わない。約束するっっ!!」
「そのセリフ・・・何回、いや何百回聞いたかな・・・。
もう飽きている。
人間はおろかだ。
死神でも一応神。
神を使っておいて楽に死ねると思うなよ。」

首に鎌が食い込んだ。
痛みが走る。
血が流れているのが分かる。
首から生ぬるいものが流れている。
それでも叫ぶしかなかった。

「助けてくれっっ、お願いだっっ。」

「・・・・その言葉も聞き飽きた。
本当につまらない生き物だ・・・。
あぁ、そういえば君にはボールを当てられたってこともされた・・・」

顔が引きつる。
自然に涙も流れてきた。
既に痛みで頭がくらくらしていた。
いっそのこと殺してくれ。という反面やはり生にしがみつきたかった。

「それは謝る。
土下座でもなんでもするっっ!!だから・・・・お願いだから・・・・っっ。」
「あんたといた時間・・・・・結構楽しかった方だ」
「まっ・・・」

首が飛んだ。
悲鳴が響いた。
一つの首が飛んで地面に落ちた。
そして、凄い速さで血だまりが出来る。
そのどよめきも全く気にせず死神は歩き出す。

「・・・・さて、次は誰にしようか・・・」

死神は血のついた鎌をペロリとなめた。
そして夜の町に消えていった。


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