数日しか出現しない花畑の真ん中に一人の青年が立っていた。

彼は黒い髪、黒い瞳、そして黒ずくめの服。

この鮮やかな花畑とは不釣合いな存在だった。

彼は何もするわけでもなくその場に立っていた。




ずっと

ずっと




1匹の蝶が彼の元によってきた。

そして、彼の伸ばした指に止まる。




その瞬間




蝶は生気を吸い取られたように動かなくなった。




彼の指を離れ重力に従い、下に落ちていく。

やがて蝶は綺麗な花畑とどうかしていった。




かれはフッと笑った。




「馬鹿な奴だ。」




彼は歩き出した。

すると見事に咲き誇っていた花達がどんどん枯れていく。

数分後には大きな花畑が消え、ただの砂の広がる砂漠になった。

彼は歩く、そして静かに笑う。

まるで今まで何もなかったかのように。




人は皆口をそろえて彼をこう呼ぶ。




『死神』と。




あらゆる生を奪い

自分の好きなことしか考えず

もっともこの世で恐れられる存在。








次はどこへ行こうか・・・。

死神は空を見上げて立ち止まった。






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