色が変わり始めた木々をぼんやりと眺めながら荷車に揺られる。
柔らかな日差しを笠で遮り、目を瞑った。
どこからか流れる水の音、風に揺られて囀る木の葉の音。
どこか懐かしい感覚を味わいながら眠気に身を任せる。
ここに来る途中の関所で強剛なモンスターの鱗や珍しい鉱石で作られた装備を全て剥がされ、古龍の素材で作った輝かしい太刀も没収される。
代わりに与えられた、布で作られた独特の衣装にこの辺に生えている丈夫な木を鞘に使った簡素な太刀を渡された。
身に付けるだけで重く、窮屈な鎧に比べ、こちらは軽くて動きやすい。
前者に慣れてしまった体は何か物足りなさを感じていた。
しかし、移動するだけならこの方が楽だった。

村までどのくらいで着くのかとガーグァを操るアイル―に尋ねればあと2時間程だと返ってくる。
口が寂しくなり、起き上がって煙管に火を入れる。

「旦那は、この土地は初めてなのかニャ?」
「ん?・・・あぁ」
「他から来たハンターさんは関所でユクモ装備に着替えさせられるからすぐに分かるのニャ。
ユクモ村は良いところニャ。是非温泉に浸かってゆっくりすると良いニャ」
「らしいな。
どいつもこいつも口を揃えてそういうよ」

大きく息を吐き、煙が立ち上り消える。
アイル―はその様子をじっと見つめていた。

「・・・・。」
「なんだ?こいつが珍しいのか?」

煙管を軽く掲げてみるとアイル―は首を振った。

「いや、お客さんを前に見かけたと思っただけニャ。
本当にユクモは初めてかニャ?」
「まぁ、俺の記憶の中では初めてかな」

どこか懐かしい感じはするが、あくまで似ているだけだ。
その時山の上から何かの気配を感じて、目を細めた。アイルーの耳がピクリと揺れる。
荷車を引いているガーグァが叫びをあげ走り出す。アイル―が急いで手綱を握り調子を取る。
荷車が大きく揺れ、進む速度が上がった。

森の奥を冷静に睨む。ユクモの太刀に自然に手が伸びる。
パキパキと奥から枝が折れ、その音はこちらに近づいてくる。

オオオォォォ!

叫びと共に大きな影が荷車の後ろに躍り出た。

「おぉ、でけぇ熊」
「アオアシラニャ!」

アイル―が慌ててガーグァを急かす。

「よし、ちょっくら遊んでやるか」
「旦那!」

アイルーの声を背中に受け、荷車から飛び降りアオアシラと対峙する。
このいかにも初期装備感が出ている太刀がどこまで通用するか分からないが、幸いなことにそこまで大きな熊ではない。
腕から爪に掛けて堅い鱗に覆われているが、他の部位はそうでもない。

「しばらく滞在するからな。
お見知りおきを」


大きく振り下ろされる爪を避け、腹を真っ直ぐ突く。
しかし懐に入りすぎたのか、右腕もすぐに下ろされた。

「おっと・・・」

爪が笠に掛かり、そのまま笠は持っていかれる。
2,3歩よろけながらもそのまま踏みとどまり、太刀を構える。
磨き上げられた鏡のような太刀のような切れ味もほとんどない。
しかしそれが新鮮で、自然と笑みがこぼれてくる。
ハンターに成りたての時はこんな斬れない剣を振り回していたな・・・。

爪を軽く受け流し、その顔に一太刀浴びせる。
目元に傷が付き、アオアシラは悲鳴をあげた。
その隙に、鬼神斬りをかます。切れ味が少々落ちたが仕方ない。
アオアシラは大きく仰け反り、恨めしそうにこちらを睨んだが、そのまま山に逃げていった。

「・・・うっし。こんなもんか」

太刀をしまい、少し傷ついてしまった笠を拾って、先に行ってしまった荷車を追いかける。
少し進むと荷車は道端に止まっていた。

「悪い、またせたな」
「旦那さん凄いニャ!」
「まぁこんな格好だがハンターランクはそこそこあるからな」
「そんな旦那さんが来てくれればユクモ村もさらに安泰だニャ」
「・・・へぇ」

一時期ジンオウガの被害が報告された事から一躍有名になった村だが今ではそのようなこともなさそうだ。
その平穏をもたらしたのも・・・

「・・・そういえば、旦那さんどこかで見たと思ったら・・・」

その後に続く台詞が容易に思い浮かべられ、反射的に顔をしかめる。
わざとアイルーの言葉を遮った。

「俺は今から寝るから着いたら起こしてくれ」
「・・・分かったニャ」

アイルーの方も気にした様子はなく、ガーグァの手綱を引く。
笠を顔の上に置き、外界から完全に自分を遮断する。

++++

声を掛けられ意識がぼんやりしているところへ、独特の臭いが鼻をつく。
身体を起こすとそこは目的地の村の入り口があった。
『ようこそ、ユクモ村へ!』
温泉を主とする観光地でもあるため観光客もちらほら見かけ、村の規模に比べ賑わっている印象を受ける。

「一番上にある建物が集会場ニャ。
その手前の広場の柳の下に村長がいるから声を掛けると良いニャ」
「・・・おう、ありがとうな」

アイル―にお礼のチップ代わりにマタタビを渡し、ユクモ村に足を踏み入れた。


彼から知らせが届いたのは半年前だったか。
月日と荷物に揉まれ、皺だらけになってしまった、手紙を開く。
その紙には簡単に、今まで滞在していたポッケ村を離れ、ユクモ村に移るということが記されていた。
詳しいことが決まれば連絡するということであったがそれ以来音沙汰はない。
彼らのことは風の噂でたまに耳にするし、異常事態があれば、彼らの知らせよりも風の噂の方が早いであろう。
元より心配などするだけ無駄だ。


珍しい防具や武器が並んでいるのを横目で見ながら歩いていると脇から声を掛けられ、村に来た記念にと温泉卵をもらった。
なんとも気前のいい村だ。
それを食べながら歩いていると柳の下に座っている女の人が目を引いた。
笑顔で挨拶をされたので、こちらも会釈で返す。

「ハンターさんですか。
ようこそ、ユクモ村へ」
「・・・あんたが、村長さんか」
「はい。
見たところ経験はおありなようですね。村にとって喜ばしいことです。
気になるクエストがあれば受注していってください。
あぁ、集会場の温泉は誰でも入れますので、狩りの後、傷を癒すためになどお使いくださいね」
「はぁ、そりゃご丁寧にどうも」
「太刀をお使いなのですね・・・
・・・あら?」

笠の下から顔を覗かれる。
思わず一歩後退さった。

「あなた・・・」
「・・・あ、そういやまだギルドの登録が終わってないんでこの辺で・・・」
「えぇ、上の方が集会場にありますわ」
「それじゃこれで・・・」

早足で階段を昇る。
もう慣れた展開だが、どうしても反射的に拒否してしまう。
それは完全に俺の中に染みついてしまってどうしようもないのだろう。

集会場の暖簾を潜り、集会場に入る。
鼻につく独特な臭い。それはやはり温泉からだった。
まだ日中であるが、ちらほら温泉の利用者がみえた。
・・・おぉ、混浴なのかここは。ウホッ俺得!

早速後で入ろうと決め、登録に向かうとこちらをじっと見ているジイさんと目があった。

「おぉ、やっときたか!」
「・・・あ?」

そのジイさんとは初対面で、ここで合うという約束もしていない。
そもそも自分がユクモ村に向かうということは誰にも言っていない。
無視して受付嬢に話しかけようとしたら、ジイさんの方から話しかけてきた。

「ちょっと、チミらに頼みたい用事があってなぁ・・・」
「・・・え・・・俺?」
「無視はいかんじゃろぅ、Nobutuna・・・」
「俺はNobutunaじゃねぇ!Hidetunaだ!」

思わず張り上げた声に集会場がシンとなった。
久しぶりに言った台詞に自分で懐かしさを覚える。
俺はコホンと咳払いをして、Hidetunaは続けた。

「・・・あー、だからNobutunaとは別人で・・・。
これ、ギルドカード・・・」
「あ、かしこまりました!」

受付嬢は慌ててHidetunaのギルドカードを受け取った。
Hidetunaの剣幕に恐れもせずジイさんは無遠慮にHidetunaの顔を覗き込む。
この無遠慮さ、この席にいることからしてギルドマネージャーだろう。
また面倒くさそうなのが座っているときた。

「ほぅほぅ。Nobutunaの知り合いか」
「・・・別に・・・。SIXはいるか?」
「あやつは出て行ったらしばらく帰ってこんからなぁ・・・。
そういえば最近見ておらんのぅ〜」
「ふーん・・・」

放浪な旅を続けている自分も人の事は言えないが、あいつもあいつで相変わらずだ。
定住しているわりには家に寄り付かない。
煙管を取り出して火をつける。
少し吸ったところで、背後からどたどたとこちらに向かってくる音が聞こえた。

「のーぶちゃーん!!」
「・・・っ!?」

振り返える前に背中にのしかかる重み。
尻餅を着く前になんとか踏みとどまったが、膝がぷるぷるする。

「・・・っ・・・テメェ何する・・・っ」
「あり?」
「Falt、そいつNobutunaじゃなくね?」
「え、人間違い?
や―悪い悪い、おいらとしたことが背格好が似てたもんでついうっかり。
・・・ん?お前・・・」
「あー、お前・・・」

少し髪形は変わっているが、背の低い仮面の弓使いに、体躯の良いイケメン双剣使い。
苦虫を噛み潰したような顔をする俺とは裏腹に彼らは少し驚いてから良い顔で笑んだ。

『Nobutunaの弟』

禁句ワードの登場と共に怒りのゲージがすぐに溜まりきる。
解放されたHidetunaは怒りのままに叫んだ。

「Hidetunadaだ!」
「みたいだな。久しぶり」
「ノブちゃんならもうすぐ来ると思うよー。
や、ホント久しぶりだな。今は太刀使ってんの?」

相変わらずうるさい。
そしてさして歳も変わらないのにこの年下扱い!!年上の無駄な余裕さ!!
本当もうなんなんだよこいつら!!
しかし、俺も成長した。ここは冷静に対応をするんだ。俺は大人だからな!

「・・・・・・。
・・・まぁ、な」

‥‥別に、あいつが使ってるから使ってるんじゃないかな。とぼそぼそと呟き視線を外す。
jackとFaltはニマニマした視線をHidetunaに送る。
MHDメンバーは基本妹ばかりで弟となるとSEVENのところのSIXとNobutunaの弟のHidetunaだけとなる。
SIXは傲慢王子故、弄るとこちらが多大な被害をこうむるため、弄るのであれば素直なHidetunaが一番可愛い。
Skyもいい弟分だが、弄りつくしたせいか最近あまり可愛くなくなってきた。

「やー、Hidetunaが来るんだったら他のメンバー集めとくんだったなぁ。
ノブちゃんも一言いってくれれば良かったのに」
「今ほとんどの奴ら出てるからな、残念」
「いい。ていうか全員揃うとうるさすぎるし。
俺が勝手に来たんだ。今回だってちょっと見に来ただけだし」
「なんならユクモ案内するぜー。
ここでしか狩れないモンスターもいるし、なんだったら装備作るのも手伝ってやるし」
「いい。自分で出来る」

冷たく返すHidetunaに全くめげる様子もなくFaltは続ける。
jackの視線もますます微笑ましくなるばかりだ。

「ここで待ってるのもあれだし、Nobutuna宅行くかー。
どうせこの後寄るんだろ」
「そうだけど・・・お前ら狩りに行くつもりだったんだろ?行けよ」
「いやー、Hidetuna来たとか狩りどころじゃないっしょ!
さて、そうと決まればノブちゃんの家へ・・・」

「ギルドカードの登録終わりました。
お待たせいたしました」

受付嬢の差し出したカードをjackが受け取る。

「へー、お前もG級かー。
大分経験積んだじゃん」
「え、何にヒデちゃんのギルドカード?jackさんオイラにも見せて〜」
「テメェjack、何勝手に見てんだ、返せ!」
「しかし口悪くなったなぁヒデちゃん、お母さん悲しいわよ!」
「誰がヒデちゃんじゃ!誰が俺の母親じゃ、クソッ、返せ」
「ふはは、ハンターとしては成長したようだが、身長の方はまだまだのようだな」

jackのまわりをひょこひょこしているHidetunaにjackは悪い笑みを返す。
しかしその矛先は他所にも流れたようだ。

「え、jackさんそれオイラに対してのあてつけ?
喧嘩なら買うよ」

乱闘寸前のところに、一つ足音が増える。

「おいおい、お前ら集会場では騒ぐなとあれほど・・・
・・・お??」
「あ、ノブちゃーん!」

ビクリとHidetunaの肩が揺れた。

「遅かったじゃないか。
お待ちかねだぜ」

jackがHidetunaの肩を掴んで身体とくるりと反転させる。
Nobutunaが目を丸くした。Hidetunaは反射的に視線を逸らす。

「・・・お、おう、久しぶりじゃねぇか」
「・・・あぁ、久しぶり」

気まずそうな2人を見てjackとFaltのニマニマはとどまることを知らなかった。
ヤッベェ、この兄弟ww面白すぎるww
しばらくは弄りネタには困りはしなさそうだ。
すかさずFaltがNobutunaに提案する。

「Hidetunaさっきユクモにきたばかりみたいだぜ。
今日の狩りは止めにしてHidetunaにユクモ案内しない?」
「・・・んーまぁ、そうだなぁ」

Nobutunaが顎に手を当てて考える。
確かに今日行く内容も重要なものではなかったし、緊急クエストも出てなさそうだ。

「・・・べ、別に俺は良いし。
そこのジイさんもNobutunaに用があったみたいだし、家の場所教えてくれれば勝手に行くし。
それにまたすぐに出てくから・・・」
「・・・・。」

それを聞いてNobutunaは背後から刺さるような視線を感じた。

「よし、Hidetunaも来たことだし今日は止めるか、狩り。」
「やったぁ〜!よし、そうと決まれば酒と肉をもってNobutuna宅な!」

急に歓迎ムードになったNobutunaにHidetunaは思わず突っ込んだ。

「えぇっ!?おい、いいのか。専属ハンターだろお前っ!?」

分かりやすく肩を震わせ、NobutunaはHidetunaの肩を叩いた。
口調は明るいが視線がとても真剣だった。無視した。

「・・・いや、ほら、ね。身内大切にしたいしな。
積もる話もあるだろう!な?」
「いや、ない。1ミリもない」
「いや、お前空気読めよ、あのジイさん無茶苦茶なクエストを安値で吹っ掛けてくるんだから・・・っ」
「・・・まぁ、そうだろうな」

専属ハンターとギルドマネージャーの関係はどこへ行っても同じものだ。
むしろ仲がいいという事例はきいたことがない。

「聞こえておるが、まぁそこは許そうかのぅ。
なに今回はそんな難しいことではない。
本当は禁止されているが兄弟間ならまぁ大目に見よう。
弟の方もハンターランクはなかなかのものとみたからのぅ。
ユクモに来たからには渓流でジンオウガは狩っておきたいじゃろ」

『・・・・。』

ギルドマネージャーの手にひらひらと一枚のクエスト受注書がはためいている。

「・・・・分かった」

肩を落として、Nobutunaは受注書を受け取り中身を確認する。

「上位の大型連続狩猟か・・・。
リオレイア、ナルガクルガ、ジンオウガ・・・まぁ無難だな」
「・・・ナルガクルガ?」

Hidetunaが顔をしかめる。

「大丈夫だって、ヒデちゃん。
こっちには上位のナルガクルガも存在するんだ。
そして、尻尾びったんが一撃必殺じゃなくなっている!これは大きいよ!!」
「・・・いや、普通当たらないだろあの攻撃。そしてヒデちゃん言うな」
「・・・まぁ、いいだろう。分かった、受注する。
お前らが準備整ってるなら今から行くが・・・、Hidetunaは・・・」
「武器さえあれば大丈夫だ」
「・・・なら、一旦家戻るか・・・」
「じゃ、オイラとjackさんここで待ってるよ。
行ってらっしゃい」
「・・・おう」

会話の少ないNobutunaとHidetunaを見送ってFaltとjackは集会場の椅子に腰かけた。

「いやー、いつ会っても初々しいねぇ。見てて飽きないわ」
「他人事だから思う存分からかえるな」
「この後の狩りが楽しみだねぇ。
Nobutunaより強くなってたら笑えるな」
「いいんじゃない。最近ノブちゃんたるんでるから。
いい刺激になるさ・・・」

++++

「お前・・・そんな装備で大丈夫か?」
「・・・大丈夫だ、問題ない。・・・とでも言ってほしいのかお前は。
雷耐性15もあれば十分だろ。加護もついてる」
「・・・ふーん」
「フラグじゃねーよっ!?」

Nobutunaの冷めた反応に思わず言い返してしまう。
思わず熱くなってしまい、コホンと咳払いする。
俺は大人になったんだ。下手なことにムキにはならない。

武器を眺めているHidetunaの後ろでNobutunaが独り言のように話す。

「リオレイアとナルガクルガの動きは少し違っている。
ポッケ村の事を考えると少し厄介だ」
「許容範囲内だ。ジンオウガ以外何とかなる」

Nobutunaにユクモ防具・天を狩り、武器を選ぶ。
色々コレクションもしてあるらしく、太刀は勿論、片手剣やハンマーなども揃っていた。
Hidetunaは少し迷ってから太刀を手に取った。
Nobutunaの目が少し大きくなる。

「お前、・・・太刀使うの?」
「・・・悪いか?」

目を細めて睨むと口元に笑みを浮かべたNobutunaがいた。

「いんや、別に」
「・・・お前より強くなってるかもしんねーぞ」
「ほぉ・・・、いうね」

Hidetunaは最近までG級モンスターを相手にしていたのだ。
上位モンスターなぞに後れを取るはずがない。
アイテムボックスから数品取り出し、閉じる。
兄弟とはいえ、人の武器や装備を身に付けるのはなんとなく気が引けた。
自分のものじゃないそれに違和感を感じる。
それも狩場に到着するまでのことだろうけれど。

「・・・準備できた。」
「さて、ならいきますか」

Nobutunaは壁から身体を離し、元来た道を歩き始める。
Hidetunaはその後についていく。

「・・・なぁ」
「何?」
「聞かねぇの?」
「何を?」
「・・・太刀を使う理由とか」
「聞いてほしいの?」
「別に、・・・」
「・・・なんで?」
「・・・・。」
「なんで太刀を使うんだ?」

先を歩きながら静かにNobutunaは尋ねる。

「・・・俺も、」

始めはNobutunaが太刀を使っていたから、違う武器を使いたい理由で片手剣を使い始めた。
昔から似ていたから、少しでも違いたかったんだろう。
でも、本当はずっと気になっていた。
Nobutunaが自分の時間の半分以上太刀に注ぎ込むのを見て、光を浴びて輝くその白い刀身を見て、戦場で舞うように繰り出される斬撃を見て
これはNobutunaに対する憧れというよりも、自分自身の欲求に近かった。
Nobutunaと離れて暮らすようになってから、興味本位で太刀を使ってみて、ついに魅せられてしまった。
それから、離せなくなった。
その時感じた。
あぁ・・・これが、太刀に魅入られた者の宿命。

「俺も侍だからな」

Nobutunaは口元に手を当てクスリと笑った。

「・・・へぇ、言うようになったじゃねぇの。昔は避けてたくせに」
「ウルサイな、太刀厨」
「お前もそうなんじゃないの?違うの?」

振り返るNobutunaの横顔が笑っている。
久しぶりに見る兄弟の顔。装備が変わっているからだろうか、髪形も少し変わった気がする。
最後に会ってから、彼は何と戦い何を感じ何を失い何を得てきたのであろう・・・。

「・・・Hidetuna」

ぼんやりとそんなことを考えていたら、Nobutunaが名前を呼んだ。

「なに?」

「おかえり」

「・・・・・。」

ハンターのあり方は人それぞれだ。
一生同じ土地に定住する者もあれば、各地を転々とする者もいる。
Hidetunaは完全なる後者であり、MHDはその中間だ。
そして、家を持たない2人の兄弟にとって帰る場所はもう片方のところであった。
Hidetunaが旅に出て結構な年月が経つが、それでもNobutunaのところに顔を見せにくる。
ここは生まれ育った故郷ではないけれど、Nobutunaの言葉がやけにしっくりきた。

「・・・ただいま」

自然と出る、その言葉。


その様子を集会場から眺めていた2人は少し考えて唸った。

「・・・やだねー、似た者兄弟は」
「うわ、見てるこっちが恥ずかしくなってきた。
jackさん、このクエスト俺らついていってもいいの?ねぇ、いいの?」
「マジレスすると上位のしかも中々手ごわいモンスター3体の連続狩猟だ。
ガンナーのFaltと回復薬の俺がいた方が安定する。
・・・安定するが、正直行きたくないので、2人でいって2人ともだらしなく乙れば良いに一票」

もうすぐ、そこの暖簾を潜って現れる2人を迎えるため、jackとFaltは立ち上がった。
そして「悪い、待たせた」と苦笑するNobutunaとあとに続くHidetunaに思い切り悪い顔を向けたのであった。


仲良きことは、いいことかな。

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