4日後。

今日も狩りを終えた後、4人は温泉に浸かっていた。
SakuraとLamiaの話をうわの空で聞いているTharros。
Carryはほくそ笑んでTharrosに近寄った。
昨日の狩りで欲しいだけの素材はどうやら集まったらしい。
いつもなら周囲の気配に敏感なTharrosもCarryが近寄ってくるのには気づけなかったらしい。

「素材集めは終わったのね?」
「・・・きゃっ!!」

Tharrosの驚く声は珍しい。
3人は同時にTharrosの方を向いた。
なんていうか・・・なんていうか・・・
凄く、可愛らしい。

「な、なに・・・、いきなり・・・」
「いやいや、百戦錬磨のTharros嬢が考え事とは珍しいと思って」
「そんなことは・・・。
ちょっとぼーっとしていただけ」

何かわけありの2人の様子をみて、SakuraとLamiaが色めきだった。

「え、何かあったの?」
「ちょっと教えなさいよ!」
「・・・なにも、ない」
「ほらほら、苛めないの2人とも」

CarryがTharrosを庇うように前に出る。
大きな胸の前に2人は反射的に後ずさった。
気分的に、近寄れない。

「むー、苛めてるのはCarryの方じゃないー!!」
「苛めてなんかないわよねぇ、Tharros」
「・・・・。」
「あ、Tharros目線逸らした。絶対何かあるわねこのおっぱい星人!」
「・・・・Lamia。
女の子がそんなはしたない言葉使うんじゃありません」

「おっぱいがなんだって?」
「そこんとこkwsk」

浴場の入り口をみるとnobutunaとFaltが狩りから帰ってきたところでこちらに手を振っていた。

「おっぱいトークなら俺を通してくれないと・・・いてっ」
「nobutuna、Falt・・・のるんじゃない」

後にきたjackが2人の頭をはたく。

「姉さんらも・・・」
「はいはい、退散しますよーっと」
「えっ、もう上がるの!?」
「そういえば随分長く浸かっていたからね。また今度」

華麗にウインクしてCarryは去っていく。
Faltは心底惜しそうな顔をし、jackはため息をついた。

それに続いて3人も上がっていく。


脱衣所にてCarryは着替えるTharrosを観察したいた。
乗りかかった船というか知ってしまったからには最後までサポートしようと勝手にCarryの中で決まっていた。

元は可愛いけど何かが足りないのよねぇ。
無愛想な表情はいいとしても・・・。

「Tharros、この後暇?」
「・・・‥?えぇ」
「今から店に行こうか」
「店?」

その会話を耳にした2人も飛びついてくる。

「何?買い物行くの!?」
「私も行く―!!」

好みとは人それぞれだ。
自分より可愛い系の物を好む2人がいた方がよりそれらしくなるだろう。

「いいわよ。今日はTharrosを徹底的に可愛くするわよ!」
「・・・え?」

2人の目が輝いた。
新しい人形を手に入れた子供のようだ。

「きゃー!!まずは何から?服から!?」
「どうせなら化粧もしないとね!!」
「え?・・・え??」

Tharrosは話の流れについていけずおろおろと3人を見比べた。

何故、こんなことに?

その後服屋に行き着せ替え人形のようにかわるがわる服を着せられ
アクセサリーを何点か選ばされ
Carryによるフルメイクを施され
髪を弄られ

2時間後。


「Tharrosヤバい超可愛い!!」
「お人形さんみたい〜。
いいなぁ、どうやったらこんなつるつるな肌になるの?」
「うん、悪くはないわね」

『・・・‥。』

ごてごてとフリルのついたゴスロリ衣装。
顔全体に違和感が残る初めてする化粧。

鏡の前の自分を見てTharrosは一瞬自分で誰かわからなかった。
そして改めて衣装を見直す。
・・・ブナハに、似ている。

「元が可愛いからねぇ。いやぁ、想像以上ね」

TharrosはCarryを見上げた。

「・・・似合う?」
「えぇ、とっても似合うわよ。
Tharrosも良い年頃なんだし、特別な日にくらい化粧をしたっていいんじゃないかしら?」
「・・・化粧・・・」

Tharrosは鏡に近寄ってまじまじと自分の顔を見つめた。
いつもより少し大人っぽく見える。
これが、綺麗、なのか?
Tharrosにはまだ少しわからない。

中々の反応を見せたTharrosにCarryは内心満足していた。
男所帯じゃ・・・ましてあの過保護なGoodmanとむっつり過保護なBillyのところにいれば化粧なんて一生縁のないものとなってしまうだろう。
TharrosもTharrosで遠慮してか贅沢品はあまり買わないみたいだし。
こんなに可愛らしいのに勿体ない。
この子はもっと世界を知るべきだ。

「ねぇ、これとこれとこれ。包んでくれない?」
「は〜い、まいど」

村の平和を守ってくれる上に常連客のCarryたちに対して店員の対応はおおらかで優しい。
むしろ、Tharrosの着せ替えを楽しそうに見守っていたほどだ。
Carryは代金を支払いTharrosの元にいった。

「はい、これ?」
「・・・・何?」

突然紙袋を渡されてTharrosはCarryを見上げた。

「今日私たちに付き合ってくれたお礼よ」

開けてみろ、と言外にCarryは促す。
袋を開けてTharrosはもう一度Carryを見上げた。

「これ・・・」
「お金はいらないわよ、プレゼント。
その変わりちゃんと使うのよ。
まぁ流石にその服は買ってあげられないけどねぇ〜」

中身をみたSakuraとLamiaも負けじと声を上げた。

「え、いいな。私もこれTharrosに買ってあげるわ!!」
「私も!!」
「え、・・・え・・・」

化粧品と、耳飾りと、腕輪。

「絶対つけてきてね!」
「いやぁ、まさにTharrosのためにあるようなもんだよね」

「あの・・・」

話についていけず1人取り残された気分になるTharros。

「こういうときはねぇTharros、」

Carryがウインクをしていった。

「好意に甘えて、飛び切りの笑顔で『ありがとう』っていうのが可愛い女の子の基本なのよ」

Tharrosは目を大きくして一度顔を伏せて、意を決したように顔を上げた。


「あ、ありがとう」

それはぎこちない笑みであったが彼女の精一杯の感謝の気持ち。
3人はよしよし、と頷いた。

++++

家に帰るのが気まずいなんて久しぶりである。
怪我をして帰る時というのが一番多いのだが、今日はまた別である。
化粧を取ろうと水場へ向かうと3人から止められ、そのまま家に帰宅することを約束させられた。

扉の前に立つ。
家からはいい香りが漂っている。今日のメニューはシチューだろうか。
誰にも見つからないうちに落としてしまいたいが、おそらく台所にGoodmanが待ち構えているだろう。
節目節目の挨拶はBilly家では必須だ。

「・・・・っ」

ドアノブに手をかけた瞬間、後ろから声をかけられた。

「Tharros?お前も今帰ったのか」
「に、兄さま・・・」

髪でなるべく顔が隠れるように横顔で確認する。
もう少し暗かったらわからなかったかもしれないのに。

「た、ただいま・・・」

そのまま扉を開けて足早に家の中に入っていった。

「・・・・。」

Billyはぽかんと先に入っていくTharrosの背を見送った。
いつもなら目をみて話してくれるのに。

・・・避けられている?

そういえばずっと前、Ashが酒の席でSakuraが口をきいてくれないと愚痴をこぼしていたような気がする。
それなのか?そういう時期なのか?
Billyはふらりと家に入り、台所の椅子にどかりと座った。

「オカエリナサイ、Billy。
先程Tharrosガ返ッテキタヨウデスガ・・・」
「・・・Goodman・・・」

珍しく落ち込んでいるようだ。

「ドウシマシタ?」
「Tharrosが、反抗期かもしれない・・・」
「・・・‥。」

Goodmanは優しくBillyの肩をたたいた。

「優シク見守ルノデス・・・」

いつも変わらない良い顔で親指を立てる。
Billyはふっと笑って突っ伏した。

分かっているけど、落ち込むことって、あるよね?

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