時々、自我を失うことがある。

「Tharrosちゃん!」
「・・・っ!?」

Sakuraに肩を叩かれ、振り上げたハンマーを止める。
目の前には鱗が剥がれ落ち、ところどころ欠けているモンスターの死体があった。
振り向くと困ったようなSakuraの顔がある。

「・・・もう、終わったよ」
「・・・・。」

相手が倒れたのにも気づかず、戦い続けていた。
後ろからLamiaとCarryが剥ぎ取りをしに近づいてきた。

「いやーでもTharros凄かったよね。
ほとんど1人で倒しちゃったようなもんだし」
「また少し強くなった?
本当頼もしいわ〜」
「・・・・。」

また、記憶が飛んでいる。
今回の相手、リオレウスが怒ったあたりからの記憶がない。
気が付いたら戦闘は終わっていた。
私はどんな戦いをしていたんだろう。
Sakura達を危険な目に合わせてはなかっただろうか。
彼女達は優しいからちゃんと私に合わせてくれる。付き合ううちにそれが段々分かってきた。
だから、何かあったとしても言葉に出すことはないだろう。

ハンマーを背中にしまってからも、狩った後の興奮が冷めない。
まだまだ狩り足りない。

「・・・Tharros、剥ぎ取りしないの?」
「・・・クーラードリンクきれたみたい。先にキャンプに戻ってる」
「・・・そう?なら、気を付けてね」

辺りをうろつくフロギィや草食動物相手にハンマーを奮いたかったが、きっとこの衝動を増幅させてしまうだ。
火山地帯を抜けると急に気温が下がり、吹き抜ける風が気持ちいい。
徐々に熱が冷めていく。

「・・・・。」

私は、

火山に乱入モンスターを知らせる警報が鳴った。
気配を感じて振り向くとそこにはイビルジョーが大きな口を開けてこちらを威嚇してきた。
それを冷めた目で見つめながら、Tharrosは背中のハンマーに手を掛ける。

「・・・貴方が、私の熱を冷ましてくれるの?」

自分の何倍もあるイビルジョーを目にして、何の恐怖も沸かない。
かといってこれから始まる戦いに面白さも感じない。
ただ、存在する破壊衝動に任せてTharrosは咆哮を上げるイビルジョーに突っ込んでいった。

++++

クエストの受注を済ませ、出発しようとすると自分を呼ぶ声が聞こえて立ち止まった。
丁度温泉に来た3人のようだ。

「Tharrosちゃん、明日暇なら一緒に狩りに行かない?」
「ごめん、今から狩りにいくから・・・」
「・・・そ、そっか・・・。今からなら帰りは朝になるもんね。
なら、またね」
「えぇ」
「気を付けてね」

そっけなく返事してクエストに行くTharrosを見送ってSakuraは肩を落とした。
そんなSakuraにCarryが肩を叩いて慰める。

「・・・Tharros・・・なんか、付き合い悪くなったというか、私達を避けてる感じはするわよねぇ」
「何、私達と狩っていられません?てか?」
「様子がおかしい気はするんだけれど・・・。
なんか、昔のTharrosちゃんみたい・・・」

自分達と狩りに行く前、彼女が『暴虐女帝』と呼ばれた全盛期。
兄のBillyに習ってTharrosはほとんどソロで狩りに出かけていた。
その頃も人に対してそっけなく、話しかけにくい雰囲気をまとっていたのを覚えている。
自分達と狩りに行くようになってから徐々にそんな雰囲気もなくなっていったのだが。
今は、その時代の彼女みたいだ。

誰も寄せ付けぬ完全無欠の女王。

「・・・なにがあったんだろ・・・」


Sakuraが家に戻ると丁度BillyとSEVENが遊びに来ていたらしく玄関ですれ違う。

「あ、Sakuraだ。お邪魔しましたー!」
「お邪魔しました」
「いえいえ、FIVEちゃんとTharrosちゃんによろし・・・
あ、Billyさん!!」

丁度良い。BillyならTharrosの変化について何か知っているだろうか。
おせっかいだとしても心配で堪らない。

「・・・?」

戸を閉めようとしたBillyの腕をSakuraが掴む。

「・・・何?」
「少し、お話があるんですが・・・いいですか」

Sakuraの真剣な目にBillyが少し目を丸くした。

「え?何?告白?告白??
なら邪魔者はとっとと退散しますよーっと!おやすみ!リア充爆発しろ!」

勝手に捨て台詞を残してSEVENは突進で鍛えた脚力ですぐに闇の中に消えていった。

「なんだとSakura!
それは。本当なのかっ!?」
「・・・あ、いや・・・違・・・」
「・・・そうなの?」

BillyもBillyで首を傾げるもんだから話がどんどんややこしくなってきた。
もう、SEVENさんとお兄ちゃんの馬鹿っ!
Ashが絡んだ時点で何をいっても無駄だということは長年兄妹をしてきて学習済みだ。

「違いますけど!ちょっと内緒の話があるので来てください。
あ、お兄ちゃん盗み聞きしたら1週間絶交だからね」
「なっ、Sakura!!・・・え、絶交・・・・・え・・・・」

そう言ってBillyの腕を掴んでSakuraは外に出た。
なんとしてでも阻止したかったAshだが、絶交という言葉が鎖となって絡みつきその場から動けずにいた。
そして耐えきれずその場で崩れ落ちた。

「・・・うぅっSakura・・・。
昔はお兄ちゃんと結婚するっていってくれたのに・・・っ」
「馬鹿ね、ただの反抗期でしょ」
「Aqua〜っ」

泣きながら抱き着いてくるAshを適当にあやしながらAquaは息をついた。

「・・・そこまで心配することないと思うけれど・・・ね」


Ashの気配がないことを確認し、Sakuraは顔を上げた。

「あの、Billyさん・・・その、Tharrosちゃんのことなんですけど」
「・・・Tharros?」
「私の思い違いとかならそれはそれでいいんです。けど・・・
最近なんかいつもと違うような気がして・・・」

ふむ。
Sakuraの話を聞いて、Billyは最近のTharrosを思い出した。
そういえば、最近部屋に籠りがちになったり、Sakura達と狩りにいってないようだった。
それだけといえばそれだけだ。
元々仲良く話すような兄妹でもないし、きっと一緒にいる時間はSakura達の方が長いだろう。

「悪いけどTharrosは元々自分の不調や悩みを人に話すタイプじゃないんだ。
俺もご飯のときに少しすれ違うぐらいだし、きっとSakuraの方が一緒にいる時間が長いと思う。
その理由は分からない」
「・・・そう、ですか」

何かあったのなら、少しでも力になりたいと思ったのだけれど。
俯くSakuraにBillyがいった。

「その理由が分かったところでどうするんだ?
Tharrosがなにかしたのか?それとも逆?」
「・・・え?
・・・分かりません。心当たりがなくて・・・」
「Tharros自身の問題ならTharrosは自分で解決するだろう。
Tharrosは人に弱みを絶対に見せないから、他人が突っ込んだところでそれはTharrosの為にはならないし、Tharrosも必要としてないない」
「・・・・。」
「・・・えっと・・・その」

物事をありのままに説明するのは容易いが、人の心を読んでその心に合う言葉を見つけるのは難しい。
自分の語彙の少なさを呪いながらBillyは必死に頭を回転させた。
勿論、顔に焦りなんてない。職人だからね!

「Tharrosだし、自分で解決して戻ってくるだろう。
それまで・・・無愛想・・・なのはいつものことだけれど・・・少し言動に問題があっても許してほしい。
他人に形振り構えなくなるのは、自分に余裕のない証拠だから」
「いえ、そんな・・・」
「・・・それでまたTharrosが仲間に入れて欲しいといったら・・・仲良くしてくれば助かる」
「はい、勿論です」

Sakuraの笑顔を見てBillyもほっとした。
MHDに入って本当に良かったと思う。自分もTharrosも。

「・・・ありがとう」

Sakuraと別れてBillyは顎に手を当てた。
・・・Tharrosの様子がおかしい、か。
少し帰路を外れてBillyはあるところへ向かった。

++++

「・・・あのね、Tharrosさん自身で解決するって良い顔でSakuraに言ったんならその言葉通り信じてあげてくださいよお兄さん。
・・・ていうかなんでその足で私の家に来るわけ?
私のところに来てその話をするのは労力と時間の無駄デスヨ?」
「いや、TharrosあるところにはRikuかなって」
「・・・ちょっと待って、俺本当に何もしてないよっ!?無罪だよっ!?」
「ほら、全然デートに誘ってくれないとか」
「Tharrosさんのデートって狩りじゃないですか。
それにTharrosさん俺が誘わなくてもTharrosさん毎日予約でいっぱいじゃないですか」

今までのいきさつを話し、BillyはRikuの出したお茶をすする。
今日はいつも以上に喋ってちょっと疲れてきた。

「てか、私もいらないこと知っちゃったじゃないですか。
次会ったときどんな顔で話しかければいいんですか」
「俺の心労が少しでも減るかと思って・・・」
「・・・Billyさんあざとい」
「・・・まぁ、いってしまえばTharrosが変な理由も大体検討はついてるわけなんだけども」

Billyの言葉にRikuがガクリと首を落とした。

「今までのくだりなんだったの。必要だったの」

Billyの目がスッと細められる。

「Rikuは、破壊衝動とかある?」

・・・Billyの言葉にRikuがうっすら笑った。

「・・・それを私に聞きますか?」
「狩りの最中、我を忘れて戦ったことがある?
狩っても狩っても満たされない、強い渇きを覚えたことはある?
どんな敵に対して、なんの感情も沸かずただ狩るだけの存在だと思ったことはある?」
「愚問だねぇ、Billyさん」
「何をしても結局狩りでしか満たされないような強い渇き。
でもどれだけ狩りを続けても満たされない。
その無限ループにTharrosは今はまってるんだと思う」
「・・・。」

自身がボロボロになっても満たされない渇きはやがてハンター自身を自滅に追い込む。なんて話はたまに聞く。
大体集会場の酒の肴で大半の人が笑って終わる逸話だが、稀にそれは現実に起こりうる。
G級ハンター、とりわけ強ければ強い程陥りやすい傾向だ。

「・・・で、どうするの?Billyさん。
結局は俺らが手を出せない領域じゃないですか」
「まぁ、そうなんだけどね」
「私は何もしませんよ」
「しなくていいよ、これはTharrosの問題だ」

ほぅ、Rikuは面白そうにBillyを見た。
これはAshとは違う類のシスコンだ。
・・・まぁ、ただムッツリなだけでベクトルは同じなんだけど。

「でもちょっと一緒に来てほしい」

Billyの真剣な目を見てRikuが口元を引きつらせた。

「・・・え?Billyサン?あの・・・もしかして、今から?」
「確か上位クエストにウカムが出てた気がする。
Tharrosはそこにいたかもしれない」
「・・・・なるほど、ウカムねぇ・・・」
「手は出さなくていい。俺も出すつもりはない。
・・・見に行くだけだ」

Rikuはため息をついて頭を掻いた。
Billyは言い出したら最後まで聞かない。

「・・・はいはい、分かりましたよっと」

よっこらせ、と立ち上がり、Rikuは狩りの準備を始める。
無言のBillyをみて、ふととある疑問がRikuの頭をよぎった。

「Billyさんはその渇きをどうしたの?」
「・・・破壊し続けた、全て」
「さいですか」

やれやれ、強すぎるのも難儀なことだ。

++++

集会場でごり押しして、なんとか極圏行のネコタクを出してもらうことに成功した俺達はすぐにネコタクに乗り込んだ。
本当にソロでウカムルバスに行くなんて俄かに信じられない。
Billyさんだったら信じるしかないけど。

凍土を過ぎ肌を滑る風が刃のように痛い。
空を見上げれば満点の星空と煌々と輝く月であった。
延々と続く氷の世界をぼんやり眺めながら2人は無言で到着するのを待つ。

大きな地震と咆哮が聞こえた。
目的地は近いようだ。
凍土の奥地に開けた場所がある。
極圏と呼ばれるその地には白き神と呼ばれたモンスターが存在していた。

ウカムルバスの姿を確認して二人は目を細める。
しかし武器は背のままに、モンスターを睨みつけるだけで終わった。
ウカムルバスも新しく到着していた2人には目もくれず小さな先客の相手に精一杯なようだ。

「・・・・流石だわ、Tharrosさん」

ウカムルバスの視線の先には顎を砕きに飛びかかるTharrosの姿があった。

++++

「・・・大きい」

初めてみるウカムルバスは大きく岩のように感じた。
ポッケ村にいた時も限られたG級クエストに存在したが、Tharrosはまだ受注できるに至っていなかったから狩ることはできなかった。
その巨体から溢れる生命力と強さを感じられたが、それだけだった。
Tharrosを満たすにはまだ全然足りない。
しかし、破壊衝動くらいは満たしてくれそうだ。
強走薬と飲み、Tharrosは走り出した。
Tharrosの存在を確認しウカムルバスも咆哮を上げる。
全ての力を込めて、ハンマーを振り下ろす。
氷が張り付いたままの堅い鱗。かなり力を込めたつもりだが、ダメージとなるにはもっと力が必要らしい。

「・・・・。」

怯まず数回同じ場所を叩く。炎を纏った火竜の槌、星砕きプロメテオルは表面についている氷だけは溶かしてくれる。
もう一度Tharrosは巨体を仰いだ。
足元にいると表情すら見えない。
動く気配がしたため、すぐに横に避けた。

温まった体に零度の風が心地良い。戦いはまだ始まったばかりだ。



「・・・Billyさん、何分経ってる?」
「・・・俺らがついてから20分くらい」

極圏で何もせず突っ立っているだけというのがこんなに辛いとは思わなかった。
ホットドリンクを飲んでいるとはいえ周囲の気温は0度に近い。もうマイナスの世界ではないだろうか。
防寒用防具を着てこなかったことを到着3分でRikuは後悔した。

「危なげないね」
「・・・そうだな」

しかし自分達がここに来てから20分経過している。
本来ハンターに与えられた討伐時間は50分。
Tharrosは自分達より早く到着しているだろうからそろそろ戦闘開始して50分経過するだろう。
それなりにダメージを与えているのかウカムルバスの動きも鈍くなっているように見えるがそれもTharrosとて同じだ。
しかもTharrosは強走薬を飲んでいる。
あれは一時的に体の潜在能力を無理矢理引き出す薬。多用すればその後に来る反動がとてつもない。

「・・・残念だけど、そろそろ終わらせた方がいいんじゃない?Billyさん。
でないと、Tharrosさんの体がもたないよ」

本来体を温めるためのホットドリンクを飲まずに零度の中動き続けているのだ。
それも体にとってよろしくないだろう。

「・・・・・・。」
「・・・Billyさん?え、止めないの?」

無言でTharrosを見続けているBillyにRikuが眉をひそめた。
どこか、過去の自分を重ねて見ているような、Rikuにはそう感じた。
Rikuは大きく息をついた。
このとんでも兄妹に振り回される自分の身にもなってもしいっていうか。

「・・・無理やり止めに入るギルドの人も見当たらないし。
後悔してもいいのなら私は無理に止めませんけど・・・」
「ありがとう」
「まぁ、あくまで他人ですからねぇ、私は」

その時、Tharrosの動きが一瞬止まった。


「・・・くっ」

強走薬が切れた。
ずん、と鉛を付けたように身体が重くなる。
ハンマーが重くて持ち上がらない。

ウカムルバスは変わらない姿でこちらを見下ろしてきた。
大きく息をするのがみえる。

・・・ブレスッ!!

咄嗟に避けるが、避けきることはできず、足元から冷気に襲われる。
冷気が防具を浸食し痛みが足元を駆け抜けた。

「・・・・っ」

足が動かずその場で大きく転ぶ。

・・・寒い、冷たい、痛い、苦しい・・・。

極限状態で戦い続けた身体の悲鳴が聞こえる。
強走薬やホットドリンクのない状態で極圏の地は生身の身体に物凄く堪えた。
動けない・・・。
熱気で溶かされた氷が水となり、周囲の気温で再度氷に変わる。
このまま動かないでいたら氷漬けになってしまう。

とにかく、起き上がらないと。
背後にウカムトルムの気配がする。
弱気な自分を叱咤する。一人でウカムトルムを討伐にきたことに後悔の念が積もるがそれもふりきる。

1人でこんなところにきて、1人くたばるわけにはいかない・・・・。

なんとしても、帰らなければ・・・っ。
一緒に飛ばされたハンマーを掴み、半分凍った自分の足に振り下ろす。

「・・・った・・・っ」

星砕きプロメテオルの纏う炎は氷を簡単に溶かしたが、Tharrosの足をもついでに焼いた。
痛みに反射的に動いた体を契機に起き上がる。
足はじわじわ痛むが、まだ動ける。
ハンマーを杖代わりに立ち上がる。
Tharrosはホットドリンクを飲んだ。

ホットドリンクのお蔭で寒さは徐々に和らぐが身体の疲労まではどうにもならない。
強走薬は切れてしまった。

「・・・まだ、やれる?」

自分自身に問う。
私の渇きは・・・満たされた?
私の闘争心は、砕かれた?

帰りたい、辞めたい、と思った時点で負けなのだろう。
長い時間戦っていたからそろそろ時間切れのはずだ。
身体もボロボロなのに気付いてしまった、心も既に折れかけている。

じっとこちらを見ているウカムルバスと真正面から睨み合った。
向こうもこちらのことを伺っているのだろうか。

「・・・なら、これで最後にしましょう・・・」

Tharrosが力を込めてハンマーを握る。
そしてウカムルバスに向かって走り出した。
ウカムルバスも短い咆哮を上げ、Tharros向かい走り出した。
お互いぶつかる前でTharrosがハンマーを振り上げる。

「おぉぉぉぉぉおおおおっっ!!!」

滅多に聞くことはできないTharrosの叫び。
Tharrosの渾身の一撃がウカムルバスの顎を砕いた。
ウカムルバスは大きく仰け反った。
信じられずTharrosはハンマーを下したまま唖然とその光景を見る事しかできなかった。

・・・砕けた、あの顎を。
自分の力で・・・。

再び前足をついたウカムルバスがじっとTharrosを見下ろした。
そしてそのまま振り返り、氷の中に潜っていった。

「・・・え、」

しばらく様子を伺ってみるが、ウカムルバスの気配がない。
戦線離脱したと考えていいだろう。

「・・・・はっ」

あまりの疲労に笑えてくる。
生きてることが嬉しくて涙が出そうだった。

嗚呼、とても満たされた。

ハンマーに掴まりながら膝をついた。
もう立っていられない。
ホットドリンクで体の内側は温かいが表面は、特に末端は冷たいを通り越して痛かった。
早くネコタクを呼ばないと・・・、ここにいたら本当に死んでしまう。
しかし足は動かず、体勢も崩れていくばかり。
ついにTharrosは地面に寝そべった。

空を見上げると満点の星空と綺麗な満月。
自然の厳しさから作られた氷のオブジェがキラキラ輝く。

「・・・綺麗・・・」

・・・こんな景色をRikuと見れたら良かったな。
そう思いながら、Tharrosは耐えきれず重い瞼を閉じた。

「ちょ、Tharrosさん倒れちゃったんだけど。
流石にもう行くよね、Billyさんっ!!」
「まぁ元々帰る時間だしね。あ、ネコタクきた」
「しかし、あのウカムが途中で帰るとかびっくりしたね」
「・・・お互い、限界だったんだろうね」

アイルーと一緒にTharrosを荷台に乗せ自分達も乗る。
荷台についてきた毛布を全てTharrosに被せた。
青白い顔で眠るTharrosに頭を撫でながら「お疲れ」と思わず声を掛けてたら、Billyにニヨニヨされた。

「・・・んで、Billyさん。
今日俺を巻き込んだ理由ってあるの?」
「んー、なんとなくRikuには見といてほしくって」
「・・・・はい?」
「・・・・俺もよく分かんないけどそんな気がした。深い理由はない」

++++

数日後、Tharrosは朝早くから集会場にいた。

「・・・Sakura」
「・・・あ、Tharrosちゃん。おはよう」
「おはよう。
・・・あの、この前は狩りの誘い断ってごめんなさい。
その、今日、一緒に・・・いい?」

恥ずかしげにこちらの様子を伺うTharrosはいつもの彼女らしく思えた。
Billyの言う通り1人で壁を乗り越えてきたらしい。

「勿論だよ。もう少しでCarryとLamiaちゃんがくるから一緒にクエストでも決めようか。
何か行きたいのある?」
「特には。・・・何でもいい。付き合う」
「ならどうしようかなー」

微笑ましいガールズトークを眺めながらRikuは呟いた。

「やっぱり、こちらの方がしっくりくるねぇ」
「え、何の話ですか?」
「いや・・・別に、こっちの話。ねー、Billyさん」
「うん、こっちの話」
「ちょ、何があったんですか2人共っ!?」

話が全く読めないSkyの頭を思い切り撫でてRikuは立ち上がりました。

「さて、俺らもいきますかねぇ」
「そうだな」
「ぎゃーっ!!時間かかてセットした髪形が!!」

ユクモ村の集会場は今日も騒がしく平和である。

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