ほのぼのとした陽気が地面を照らす。
Rikuは大きく背伸びをしてネコタクを下りた。
そこから見えるのはもう随分と見慣れた景色だ。
小さな林を抜ければ目の前は大きな運河と遠くに見える草原と雪山。
キャンプを過ぎて支給品ボックスへ向かう。

その支給品ボックスの前にいた人物達に気づきRikuは足を止めた。

「あ、Rikuさん」

赤い長い髪が人目を引く。SakuraがRikuに気づき会釈をした。
Sakuraの声にTharrosがビクリと跳ねてすぐにこちらを向いた。
LamiaとCarryは緩慢に。

「・・・おやおや、皆さん奇遇ですねぇ」

Rikuは軽く手を上げた。
そこにいたのは、我らが猟団MHDメンバーの愛すべき姫君達だ。
彼らの妹だけあって彼女たちも狩りの筋もいいし、性格も格別だ。
色んな意味で。

一番背の低い姫が小走りでRikuの元にやってきた。
地面の高低差もあり、Tharrosは大きくRikuを見上げる。

「り・・・Riku・・・」
「あぁ、おはよう。Tharrosさん」
「おはよう。・・・今日は何を狩りにくの?」
「フルフル2体。ちょっとアルビノエキスが寂しくなってきたのでね」

Rikuはいつものつかみどころのない笑みで答えた。
フルフル・・・。なんとなくここにいる時点で下位だろう。
決してがっつりG級装備の更に御禁制の品まで担いで挑むクエストでもない。
Riku曰く、剥げればいいんだよ剥げれば!!効率は大切ですからねぇ、はぁい!
Tharrosは少し項垂れた。後ろの3人なんて口元を引きつらせている。
ないわー、ガチ装備で下位フルフルとかマジないわ―。変なアテレコまでついてくる。

・・・まぁ、当然の反応ですよねぇ。

自分がもう1人いたら確実に後者の反応をする。
Rikuが苦笑すると、Tharrosがポツリと呟いた。

「・・・誘ってくれれば、付き合ったのに」
「・・・お?」

予想外の言葉にTharrosの言葉はRikuの頭ををすり抜けた。
え、今、なんていった?
Rikuが反応できず固まっているとTharrosが続けた。

「Rikuはいつも私にばかりクエストを選ばせて・・・っ!
Rikuが行きたいところあるなら言ってくれればいいのに!」

そういうことか!
Tharrosの主張にRikuは頬を掻いた。

「Tharrosさんを誰でも行ける採取同然のクエストなんかにつれていけませんよ、私なんかが恐れ多い」
「私は気にしない」
「でもねぇ・・・えっと・・・」

なんといえばTharrosに伝わるだろうか。
・・・いや、伝える気持ちなんて自分の中にはないはずだ。多分。
コホン、とRikuは咳ばらいをした。

「折角この意地の悪い俺が頑張ってるんだから少しは立ててくれませんかねぇ?」
「・・・?」

Tharrosが首を傾げた。
ありゃ、・・・どうやら彼女には俺の気持ちは伝わってないみたい。
まぁ、別に伝わらなくてもいいんだけどね。
Rikuは別の話題へすり替えた。

「ところTharrosさん達はどこへ?」
「上位のティガ2頭を狩りに」
「・・・そりゃ骨の折れる・・・。
気を付けてくださいね」

なら、とRikuは4人に手を振って歩き出した。
支給品も欲しかったが、ここでがっついては本当に残念に思われてしまう。

柔らかい日差しに目を細めながらRikuはモンスターの巣に向かって歩き出した。
Tharrosが追いかけるティガ2頭と鉢合わせする前にクエストを達成してしまうのが一番かもしれない。

++++

高火力のごり押しでクエスト自体はなんなく終了した。
手こずったといえば頻回に移動を繰り返すフルフルの後を追うくらいだろうか。

「全く、フルフルと追いかけっこする趣味ないんだけどねぇ」

半日で終わると思っていたがそれ以上に掛かってしまった。
携帯食料で腹を満たすとRikuはそのまま下山した。
アルビノエキスも1体に1つずつでて、あとは報酬でもらえれば上々だ。
巣から出て山の中腹を見ると白い雪が吹き込んできている。
麓はいい天気でも山頂付近になると吹雪という現象はよくあることだ。
なんとなくTharros達を気の毒に思いながらそのまま下山した。



キャンプに戻ると、ネコタクアイル―達とハンター達が騒いでいる。
Rikuは首を傾げてその騒ぎの元へ近づいていった。

「どうしたの?」

近くのハンターに尋ねてみる。

「救援にいったネコタクが戻ってこないらしいぜ。
なんでも山頂にG級ティガレックスがでたとかで、ハンターを助ける前にアイル―がやられてしまったんだと」
「・・・へぇ」

・・・山頂に、G級ティガレックス・・・。
反射的に周囲を確かめる。
朝に出会った彼女達の姿はない。
上位ティガレックス2頭を討伐するには普通に考えてもう少し時間がかかるであろう。

「・・・‥。」
「お前、遭遇する前に戻ってこれて良かったな。
今雪山に入山禁止令が出ていて、今狩りに出ているハンター達にも警告されてるはずなんだが・・・
「本当、だねぇ・・・」

口では落ち着いた素振りを見せるが、内心、落ち着かない。
嫌な予感がする。

「ポッケ村に戻るハンターさん達はもう少し待ってるニャ!
僕らは今から雪山にハンターの救護に・・・」
「おい、大丈夫か?
他のアイル―がやられているんだぞ!」
「頼む、俺の知り合いがまだ山にいるんだ・・・っ」

アイルー達に様々な言葉が投げかけられる。

ネコタクアイル―達も表情は硬い。
一歩間違えればアイルーといえどもティガに殺されてしまうかもしれない。

その光景を見てRikuは少し迷ってから、はぁ・・・と大きな息をついた。
らしくないといえば、とてもらしくない。
しかしこのまま帰ることに気が引けた。

気づかない振りをして帰れば誰も知らないし、知ったとしても誰も自分を責めることはしないだろう。
もし、これで彼女達が命を落としたとしても、彼らはそれをきっと受け入れる。
例え長い時間が掛かったとしても。
それが、ハンターになった者の宿命といえるから。

そういう集団だMHDは・・・。

でも、彼らなら、きっと・・・。

あぁ、嫌だねぇ。自分がもう一人いたらきっと鼻で笑って嫌味の一つでもいうだろうねぇ。
Rikuは頭を掻いて、雪山に向かうネコタクアイル―達に話しかけた。

「ねぇ、俺もついてっていい?」
「・・・駄目ニャ!今G級ティガレックスが出没しているとの情報が入ったニャ。
誰も入るなとギルドからの通告ニャ!」
「一応これでもG級ハンターなんだ、俺。
もしティガに遭遇しても囮くらいはできるよ」

Rikuの装備を見てアイル―達は目を丸くした。

「・・・ネコタクが潰されたんでしょ?
怪我人の上に怪我人が出たら大変じゃない」
「旦那さん・・・」

少し考えてネコタクアイル―は顔を上げた。

「なら、お願いできるかニャ?
倒さなくてもいいニャ!少し気を引けるのなら・・・」
「・・・ちょっとG級ティガソロとかやりたくないわー。それ求められたらマジ勘弁」

Rikuは苦笑した。

「ならちょっと支給品ボックス漁らせてもらうわ」

ホットドリンクに回復薬、携帯食料。罠に閃光玉に・・・。
緊急事態だ。ちょっと大目にもらっても構わないだろう。

「よし、なら行きますか」
「お願いしますニャ、旦那さん!」

Rikuは再度雲のかかった雪山を目指した。

++++

氷の洞窟を走る。出口から冷たい風と雪が吹き込んでいた。

「・・・おっ」

Rikuがいち早く入り口付近にいる3人を見つけた。
アイル―達もそれに気づき急いで駆け寄る。

「・・・大丈夫かニャーッ!?」

Carryは顔を上げて手を振る。

「Riku!・・・とネコタクもいるのね。
あぁ、良かった。今すぐこの子をキャンプまで運んで欲しいの」
「了解したニャ!」

どうやら台車だけは残っていたらしく、そこには気を失ったLamiaが横たわっていた。

「大丈夫?意識ないみたいだけど・・・・」
「もう1頭のティガが合流してね。
Lamiaはティガに後ろから跳ね飛ばされて壁にぶつかったのよ。
呼吸も規則的だし、多分一時的に気を失っているものだとは思うのだけれど・・・。
すぐに粉塵も使ったし、・・・大丈夫ははずよ」

恐らくG級ティガレックスの仕業だろう。

「流石粉塵王秘書は違うねぇ。
一応、支給品ボックスから色々パクってきたからお裾分けどうぞ」
「ありがとう、助かるわ」

CarryとSakuraに目立った外傷は見られない。
Rikuは息をついた。

「まぁそれなりに無事なら良かったわー。
Sakuraは大丈夫?」
「・・・少し、足をくじいて・・・」
「Carryさんは?」
「私は大丈夫」
「・・・そうか・・・」

Rikuは少し言葉を止めた。
Tharrosがいないことは3人を見つけた時点で分かっていた。
でもどこで聞き出せばいいものか・・・。

「・・・えーっと・・・」

Rikuの言わんとすることを察しCarryは答えた。

「Tharrosなら、まだ外にいるわよ」
「・・・お?」
「Lamiaを助けるときに囮になるって・・・」
「・・・マジですか。
あの、多分Tharrosさん応戦してる片方は上位だと思うんだけどもう一頭、G級ティガらしいよ」
「なんですってっ!?」

CarryとSakuraの表情が変わる。

「今ギルドからG級ティガレックスが出たって通達があったよ。
雪山から撤収命令がだされてる。
もしかして、Carryさん達が受けたクエストの片割れのティガレックス、G級だったのかもね?」
「・・・ったく、ギルドも正確な情報よこしなさいよ。
じゃない、こんなことしている場合じゃないわ!
Tharrosを早く連れ戻さないと・・・」

いくら強いとはいえ、ティガレックス2頭、しかも片方はG級の相手をしているのだ。
Lamiaがエリアを抜けるまでという条件を与えたが戻ってこないのも心配だ。
立ち上がるCarryを抑えてRikuがいった。

「なんなら俺が行きましょうか。でないとわざわざ来た意味もないし・・・。
何だかんだでガチ装備ですから・・・っと・・・Carryさん良い業物背負ってますね」
「・・・え、あぁ・・・。
朝急いでたら間違えてjackのを持ってきたみたいで・・・。ギルドには内緒よ」
「確かボウガンも使えましたよね」
「えぇ、まぁ・・・」

RikuはライトボウガンをCarryに渡した。

「武器、交換してくれない?」
「え、でも装備・・・」
「フルフル討伐に良い弾使い切っちゃってこれ使い物にならないし。
G級武器でもライトボウガンは威力低いし、それならいっそ太刀の方が火力あるし。
装備は・・・まぁこれG級のものなんでCarryさん達とさして変わりませんって。
紙には変わりないけれど・・・」

Carryはしぶしぶ背中に背負った太刀を渡した。
昔jackも太刀を使っていたことがありこれはそのコレクションの一部だ。
Rikuは鞘から抜き、刀身を確かめる。
流石G級武器。
雷属性も付加されており、持つだけでピリッと電気が流れる。

「・・・あと砥石ももらえる?
いざというとき切れ味落ちると困るし・・・」
「あ、はい。そうだ。これも持っていって」
「粉塵王印の生命の粉塵とは・・・良い効果期待できそう」

アイテムをしまうRikuにCarryはおずおずと尋ねた。

「・・・あの、今更だけど太刀使ったことあるのよね?大丈夫?」

刀身が長い故、小刀やボウガンなどに比べて太刀は初心者には扱いにくい武器だ。
部位によって刃の入れ方、力加減なども細かい調整が必要となる。
G級モンスターに挑むとなればそれなりの技術がいる。

「まぁNobutunaの足元にも及ばないけど、俺も昔は太刀厨でしてねぇ・・・」

Rikuはいつもの笑みを浮かべて軽く手を振って洞窟を出た。

Rikuの背を見送ってCarryがクスクスと笑った。

「・・・どうしたの?」
「あぁ・・・いや・・・」

首を傾げるSakuraに言う。

「・・・Tharrosを呼びにいくだけならこのボウガンでも十分だし戦う必要もないはずなのに・・・。
攻撃力の高い太刀と砥石まで持っていくなんて・・・」

まるで今から倒しに行くとでもいうように。

「・・・なんだかんだでTharrosがRikuを選んで、BillyもRikuを推すのか・・・。
その理由が少しだけ分かった気がするわ」

彼女の相手が務まるのは何だかんだでRikuなような気がする。

++++

吹雪も酷く、2頭のティガレックスは何とか視界に入るが、それ以外は白い世界に包まれていた。
はぁ、とTharrosは大きく息をつき、ハンマーを握りなおす。
疲労も蓄積されているせいかハンマーが重い。
3人は無事逃げられただろうか。
ふと、そんなことが頭をよぎる。

Tharrosは弱っている方のティガレックスを睨みつけた。
せめて1頭討伐できれば・・・っ。
突進を交わし攻撃のチャンスを狙う。
もう一頭の飛びかかりもついでに避け、こちらを向いた瞬間、スタンプをきめる。
ティガレックスが大きく仰け反った。
4人でダメージを与えていたから、そろそろ弱ってくるころだろうか・・・。

ティガレックスの瞳に怒りが宿り、皮膚に赤い模様が浮き出る。
大きなバインドボイス。
その叫びにTharrosは一瞬身を固くした。

ティガレックスの怒り状態時は動きの機敏さもそうだが、攻撃力が倍に跳ね上がるのが厄介だ。

「・・・くっ」

Tharrosは新しく乱入してきたティガレックスを見た。
上位の個体に比べればなんとなく覇気があるような・・・気のせいだろうか。
先程攻撃をしたが、ハンマーでもっても弾かれた。
そのためTharrosには1つの結論をだした。

・・・こいつは、もしかして・・・G級?

怒り狂ったティガレックスはTharros向かって突進してきた。
攻撃をかわしたところでG級ティガレックスが飛びかかってきた。

「・・・チッ」

ハンマーをすぐにしまい地面に向かって飛び込んだ。
ティガレックスはTharrosの上を掠めてとんでいく。
あまり味わいたくない恐怖だ。

すぐに体制を整えようと立ち上がった時、横からTharros向かって突進を続けるティガレックスの姿があった。

「・・・・・・っ!」

轢かれる。
そう判断したが、体はすぐに動けるはずもない。
瞬時に軽傷で済む方法を考える。

その時、極寒の空気が一瞬和らいだ。
太陽の光にも似たそれは、Tharrosの身体を包み、疲労を癒す。
生命の粉塵だ。
Carryが戻ってきたのだろうか。
Tharrosは無理やりにでも体を起こした。
タイミングをあわせればあの足の下から潜れるかもしれない。

その時ティガレックスが叫びと共に一瞬飛び上り、そのまま地面に転倒した。

「・・・え?」
「ナイスカーッ!!
俺、マジ天才じゃね?」

ティガレックスの向こうに太刀を担いで佇む金髪の男がいた。
降りしきっていた雪は止み視界が徐々に晴れてくる。
太陽の光まで差し込み始めた。

「・・・Riku?」
「はぁい、Tharrosさん。
相変わらず危ないことやってるみたいで俺は肝が冷えますよ」

ただでさえ寒いのにねぇ。

どうして?と疑問を口にする前に目の前にティガレックスの頭がある。
Tharrosは反射的にハンマーを取り出し、攻撃に掛かった。
とにかく1頭倒してしまわないと・・・。

驚きも労いの言葉もなしですか、ちょっと寂しい。とRikuは呟きながらも攻撃に加わる。
体力も限界だったのか、ティガレックスは体に赤い模様を残したまま地に伏した。

「・・・よし」

Tharrosは一人ごちて次のターゲットを見た。
Tharrosの目は完全な狩人だ。
Rikuはやれやれと息をついた。
ここはどう考えても逃げるところだろう。
上位2頭が条件だったわけだから、クエスト事態が無効になるだろうし、ギルドからも退去命令が出ているわけだし。
そもそもここにTharrosがいるのもCarry達が逃げるまで、という条件付きのものだったはずだ。

Rikuは声を掛けようとしたが、Tharrosを見てやめた。
代わりにポーチからアイテムをだしTharrosに渡した。

「しばらく俺が相手をひきつけますから回復してください。
あとちゃんと研がないとG級相手に弾かれてしまいますよ?」
「・・・Riku、ありがと」

G級という言葉に何の反応もないことからTharrosは薄々気づいていたのだろう。
先程攻撃を弾かれたこともあり、TharrosはRikuの言うことを素直にのんだ。

Rikuは代わりにティガレックスの前に立つ。

「ガンナーマジで紙装備なんで手加減してくださいよ、ティガさん」

威嚇するティガレックスにRikuはやれやれと走り出した。


ハンマーを研いだことで一旦落ち着いたTharrosは回復薬やホットドリンクも飲み直した。
そして先にRikuが戦っているティガレックスを見る。
Tharrosは息を大きく吐いて走り出した。

滅多に出会うことのないG級モンスターとの遭遇。
どこまで自分の力が通用するか分からないが戦ってみたかった。
装備や武器も上位の物。リスクは高いが、この好奇心を抑える要因にはどれも足りなさすぎた。
それに今はRikuもいる。

Tharrosはティガレックスの左前足にハンマーを振り下ろした。
上位のものとは比べ物にならないくらいの堅さであったがそれでも無理矢理に打ち付けた。
ティガレックスの爪が欠ける。
ティガレックスがTharrosを睨みつけた。
Tharrosも臆すことなく睨み返す。

「・・・私に、倒されなさい」

負ける気が、しなかった。

++++

しばらく戦うとティガレックスは別のエリアに飛んでいった。
そこでRikuは撤退しようとTharrosに伝えた。
Tharrosも頷き、2人はそのまま氷の洞窟に向かって歩き出した。

「はぁ、本当にTharrosさんは強いね。
俺もう太刀使わないわ―。無理だわモンスターの近く怖いわー」

適当なことを呟くRikuの少し後ろをTharrosは歩く。
Rikuの背中にある太刀が気になり尋ねてみた。

「・・・Riku、太刀使えたの?」
「まぁ、昔は俺も暴れてた時期があったんですよ」
「・・・中々良かった」
「お褒めの言葉嬉しゅうございます。
もう頼まれても使わないよ」
「・・・・。
Riku、なんで助けにきてくれたの?
Carryに言われたの?」

その言葉にRikuは「あー・・・」と言葉を濁す。

「まぁ、別に助けようとかそんなんじゃなくてただ見にきただけっていうか・・・。
もしなんかあると他の奴らうるさそうだし、朝会っちゃってる分ね・・・なんといいますか。
まぁこんな形になったけど、CarryさんからはTharrosさん呼んできてくらいにしか言われてないし・・・。
最終的に何もなくて良かったですよ」

これで、怪我でもしてみようものなら、各方面から酷いバッシングを受けそうだ。

「・・・そう」

今になって考えれば、上位のティガレックスを倒した時点で帰れば良かったのにRikuは何故そう言わなかったのだろう。
Rikuの性格なら面倒くさいしすぐに帰ろうと言い出すはずなのに・・・。
確かにG級ティガレックスの前から逃げることは難しいが、上位装備で挑むリスクに比べれば低いだろう。
Rikuは何故・・・

「・・・Rikuは・・・」
「Tharrosさん、そんな不安そうな目で見上げないでくださいよ」
「不安でもないんでもない」

時々Rikuの言っていることが理解できない。
Carryにはそれとなく伝わっていることから、彼の言葉を自分が上手く解釈できていないと結論付けた。
だから、理解できるまで・・・
TharrosはRikuの裾を掴んだ。
こうしないとRikuはすぐに離れてしまう。

「私は、Rikuの事が知りたいだけ。
Rikuは私に伝わる言葉で話して」

その言葉にRikuは少し目を大きくした。
反射的にTharrosから視線を逸らす。口元に手を当てコホンと咳払いをした。

・・・これは・・・なんて・・・。

「・・・Riku。私を見て」

「・・・Tharrosさんには、勝てないわぁ・・・。
無理だわ、これは詰んだわ・・・」

顔がなんか赤いらしいがそれは寒いからということにしておいてほしい。

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