新しい旅立ち


以前から色々苦労してきたこともあり、かなりのところから飛び降りたとしても骨が折れない体になっていた。
シンに限っては毎回怪我をしていたようなものだから治りも早いし、かなり頑丈になっていた。
二人はその勢いをとめず、そのまま山を下る。

「･･･雅･･･本当にあんな別れ方でよかったのか？」
「この方がインパクトが強くていいではないか。
後悔が多い方がまた戻ってきたくなるからな････」

雅の表情にはいたずらっ子のような笑顔がある。

「･･･足は？」
「あぁ･･･平気だ。
シンこそ骨折れていたのでは？」
「ずれていたところをくっつけてもらったら体の方が勝手に治療してくれたみたいだ。
前より丈夫になってるって」
「良い事だ」


一気に坂道を下る。
木が無くなり平地に辿り着く。
勢いのついた足は止まりそうもなかった。
急に平地に辿り着いて、バランスが取れなくなった。

「うわっ･･･」
「････なっ･･･馬鹿者･･･」

二人は草原の中に倒れこんだ。

「････いてて･････」
「･･･全く････どうしてここで倒れるのだ。
私を巻き込むな････」

雅が起き上がると、奥から六つの人影がこっちに向かってきているのに気がついた。
それはすぐに龍達だと分かる。

「･･･へぇ、主人たちいつの間にあんなに仲良くなったんだろ･･･？」

サクラとサイは首をかしげている。

「･･･さぁ？
私達がのところに来たときは中々いい感じだったけど･･･？」

ライがいった。ダクトもうなづいた。

「･･･それにしても･･･女の方は変わったな」
「いや、シンの方も、強くなった。
魔力の桁が違う」

奥のほうでみていた、アスとカイラが言った。

「････そういえば、兄上達････新しい名前をつけませんか？
流石にそのままでは、暮らしていく上で不便だぞ？」

別に俺は、山にいるつもりだから、いいけどよ。
アスの言葉に他の者も頷く。

サイとカイラも村に戻るらしい。
そしてこれ以上に村のために働くという。
サクラはサイのところについていくといっている。
ライとダクトは二人で各地を回り、雅達のように退治屋をするらしい。

「････大丈夫ですか？
あの村に入ってから調子乗りすぎですよ」

雅達の前に辿り着いた六人は早速元主たちをたしなめた。

「･･･そうかもしれんな･･･。
記憶がまだ整理しきれていなくて･･･」
「･･･雅･･･。お前そこまでおてんばだったのか？」
「･･･さぁ･･･。普通というものが分からないからな･･･。
比べられない･･･」

天然なのか、そうではないのか理解に苦しむ会話だ。
この二人はこれはこれで歩調が合っている。と二人は思う。

それから八人は揃って道を歩き始めた。
珍しく道は四つに分かれていた

「･･･へぇ･･･なんか珍しいな･･･」

シンはどちらに行こうか四つの道を見回した。

「･･･僕達はこっちの方向なので･･･」

サイとサクラが北の方向に進む。

「･･･俺達はこっちだったな。」

カイラとアスが東に進む。

「････どうする？」

ライがダクトに聞いた。

「･･･では、西をとろうか。」
「･･･シンは？」
「････こういうときは、残ったやつ」

お互い別々の道を取る。
最後に互いの顔を見合わせる。
宝珠はもうない。実際顔を合わせるのは本人達と直接会いに行くしか方法は無い。

｢･･･ありがとう、いろんな経験をさせてもらった。
････また会えたらいいな･････」

雅の言葉に六人は深く礼をする。

｢･･･本当にありがとうございました。主人････。
一生この恩忘れません。」

きっと、忘れることができないだろう。
数千年願ったこと。
絶対後悔はしない。
自分達は、永遠にある命よりもあと数十年で尽きる命を選んだことを。

この素晴らしい運命の輪に
心から･･･感謝する。


お互い別々の道を歩み始めた。
シンは後ろを見て六人が見えなくなったことを確認する。

「･･･なんか寂しくなったなー。
旅の目的もなくなったし」
「元々旅に目的意識などは持っていない。
･･･さて･･･どこにいこうか。
もう行き先もないし･･･シン、好きなところへ行ってもいいぞ」
「･･･俺が道を進めば、元の場所に戻るぞ」

その言葉を聞いて雅は少し考えた。

｢･･･別にいいじゃないか？
それに････シンの住んでいたところも見てみたいし･･･」
「････え････それだけは勘弁････」
「さぁ、分かれ道だぞ。どちらに進む？」
「･･･あっ、雅！！
あそこに魔物が！！！」



前途多難のようだが、二人の旅は続く。
迷いながらも確実に一歩ずつ。


　　　　

ーあとがきー

このくそ長い分読んでいただき真に感謝いたします。
ベースは同じものにいたしまして、少々内容が変わっているところもあります。
何より少しは読みやすくなっておるはずです。

とりあえず無事完結して良かったです。はい。
もし、ご意見、ご感想がありましたら何なりとドウゾ。管理人が喜びます。

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