一言から始まるプチ騒動



ある日の午後。府庫に珍しく楽しそうな会話が聞こえた。

「・・・本当・・・ないわよね」
「ホント。いつかお目にかかりたいものよ。
う〜ん・・・でも、これ・・・・手に入れるの凄く大変なのよね」

会話の元は、今年及第した女人官吏二名。進士いびりも大分収まり、少し楽な時間が出来た。
その合間、府庫でお茶をしていたのだ。
秀麗とはお茶とお菓子を前にうっとりと語り合った。

「今年は欲しいわよね。記念に」
「そうね、私達これからだもん」
「でも・・・それって手に入れようと思って入るもんじゃないんでしょ?」
「私も暇があれば探しているんだけど見つからないのよ」

時刻を告げる鐘が鳴った。
二人は顔をあげて立ち上がった。休み時間は終わりだ。
テキパキと茶器を片付け二人は足早に府庫から立ち去った。

「じゃ、また後でここで」
「えぇ」

府庫にまた静寂が訪れた。

『・・・・・・・・・・・』

「・・・なんだ?秀麗達が話しているのは」
「さぁ?なんでしょう・・・。
私にもさっぱり」
「下らんこと言ってないで、とっとと戻るぞ。
鐘が鳴った」

偶然邵可とお茶をしていた王とその側近達は秀麗達の会話に首を傾げていた。
途中から聞いていたので何がなんだかさっぱり分からない。
とりあえず、今の彼女達を魅了しているものと分かる。

「滅多にお目にかかれない・・・といってましたね。
やはり高価な品物でしょうかね」

面白そうに楸瑛が笑む。絳攸は、くだらないと初めから切って捨てている。
劉輝は色々それらしき事を考えている楸瑛に興味の視線を向けている。
生憎、世俗のことに疎い劉輝は全く分からない。

「・・・さて、良い暇つぶしが出来そうですね。
これが分かればまた色々なところに贈り物が出来そう・・・」

バンと劉輝が机を叩いた。

「抜け駆けは許さんぞっ!!楸瑛っっ」
「フフフ・・・ならば主上も色々考えてみてはいかがです」
「・・・むぅ・・・。
ならば早速城下へ」
「外出は許さん。というか二人とも」

むんずっ、と会話の盛り上がる二人の襟首を掴み絳攸は残念そうに邵可にいった。

「申し訳ありません、邵可様。
また・・・・お茶を御一緒してもよろしいですか?」

邵可は笑顔で言った。

「えぇ、いつでもいらしてください」

ぱぁ、と絳攸の顔が明るくなった。
滅多に見られない表情に劉輝と楸瑛は目を丸くする。

「はいっっ、是非。
さて行くぞ。今日は外出どころか、執務室から出す事すら許さんから覚悟しておけ」
『・・・・はい』
「妙な事口走ったら仕事手伝ってやらんからな」
『・・・・・・・・』

ずるずると引きずられるように三人は府庫から立ち去った。
邵可は微笑ましい光景に顔を緩め、そして自分の仕事に取り掛かった。


そして、その数分後。

「・・・貴様そこで何している・・・」
「秀麗・・・君は何が欲しいんだい・・・。
この優しいおじさんがなんでも買ってあげるよ、さぁ・・・さぁ・・・言いなさい・・・」

府庫の前でブツブツかなり危険な事を呟いている同僚に、仮面の主は心底呆れた視線を投げかけた。
普通の者なら近づけないが、長い付き合いがある彼だからこそできる所行であろう。

「・・・秀麗・・・」
「・・・黎深・・・お前いつか捕まるぞ。
邵可様も困っているから仕事場に戻れ」
「・・・兄上っ!?」

『邵可』という言葉でやっとこっちの世界に戻ってくれてきたらしい。

・・・どうして、邵可殿とこいつが兄弟なんだ?

鳳珠はため息をつきながら言った。

「・・・あぁ、さっき王達を見送っていた時に偶然話しかけられてな。
お前を回収してくれ・・・と」

・・・なっっ。。

黎深が我に返ったように覚醒する。

「ほ・・・ッ鳳珠ッッ。そういえば君、今まで府庫にいたのかっ!?」
「あぁ・・・いちいち戸部まで書物を運ぶのは時間の無駄だと思ったので、府庫で仕事をしていた。
ちなみに、ここでその名で呼ぶな」
「いいではないか、減るもんじゃあるまい」
「そういう問題ではない。
とっとと戻るぞ、いろんな方向に迷惑だ」

府庫の周りには、入れなくて困っていた官吏達がその辺をうろうろしている。
吏部尚書を引きずる戸部尚書の図はその場にいた者達にとっては相当滑稽に映ったに違いない。
しかし唯我独尊、周りを全く気にしていない二人にとって、その視線は全く気にならない。

「・・・そう言えば、君いつから府庫にいた?」
「午後からずっと。
おかげでいつもより早く仕事が済んだ。調べたい物もすぐに見つかるしな。
ただ、戸部の方がどうなっているか不安だが・・・」

午後から・・・・という事は、先ほどの秀麗達の会話も最初から全て聞いていた事になる。
黎深の目の色が変わった。
いきなり、覚醒し、鳳珠に掴みかかってきた。

「はっ・・・まさかっ!?君密かに秀麗達のストーカーしてるだろっ!?」
「貴様と一緒にするな。姪馬鹿。
仕事だといっている」
「じゃ、その仕事してきた書類とかはどうした?」

そうえいば、彼は手ぶらだった。

「府庫に置いてきた。後で届けさせる」

効率良く、筆や硯などは邵可に借りて使っていた。
もっともな事を言う同僚に黎深は歯噛みした。

「・・・つかぬ事を聞くが、君、秀麗達の話を聞いていたかい?」
「あぁ、最初から全て」
「あの話の内容はなんだったっ!?」

黎深でも、細かな部分までは聞き取れなかったらしい。
やっと手を離してくれたので崩れた着物を直し奇人は歩き始めた。
本当に兄家族のことになると表情がくるくる変わって面白い。
そう客観的に黎深を見る。そして、焦る彼に自然と笑みが浮かぶ。

「さてな・・・」
「あ〜くそっっ、抜け駆けするつもりか貴様っっ」
「別に貴様と競っているわけでもなし・・・・。
・・・まぁそんなに秀麗達が欲しがってるのであれば贈り物しないでもないがな・・・」

本気の声音に、黎深の表情が凍りついた。

「ちょッ・・・鳳珠まてっっ!!
この仮面男に秀麗はやらんぞっっ!!」

黎深の声が聞こえたのか周りの人の視線がこちらに注ぐ。
元々目立っている上に更に何てことを口走ってしまうのだろうか。
奇人は先ほどより歩く速度を速めて呆れたように言った。

「声がでかいわ。馬鹿者。
そこまで秀麗にあげたきゃ、お前の紅家自慢の手段で何を欲しがっているか調べれば良いだけの話・・・」

奇人はそこまで言って口に手を押さえた。
何騒動が酷くなる助言をしてしまっているのだ、自分。
勿論、しっかり聞いていた黎深の目はキラリと光った。
そしてすぐに背後に控えているか”影”に合図を送る。
奇人は久しぶりに後悔というものをした。

・・・秀麗、そしてその周りにいる人達・・・申し訳ない。

上機嫌な黎深を置いて、奇人は面白そうに戸部の扉を開けた。
半日尚書不在の戸部はいつもと少し違った雰囲気に包まれていた。
忙しいというより慌しいに近い。
尚書の姿を発見した官吏達がどっと押し寄せてきた。おそらく指示して欲しいのだろう。
ざっと状況を把握した奇人は、聖徳太子びっくりの人数の官吏達のの申し出を聞き分け、一人一人に指示を送った。

周りにいた人も散って、最後に柚梨が寄ってくる。

「お疲れ様です。府庫ではどうでしたか?」
「あぁ、大分はかどった。一,二名を引きぬき府庫にある書類を各部署に分けておいてくれ」
「はい。・・・鳳珠・・・」
「・・・お前までその名で呼ぶのか?」

まで、ということはおそらく黎深辺りに連呼されたのであろう。
そんなことを考えて柚梨は言った。

「何か楽しい事でもあったんですか?」
「・・・まぁな」

面白いことになった、と思う。
丁度王達もいたことだし、誰が先に渡すのかが見物だと思う。
奇人は、傍観の側に回る事に決めた。勿論、黎深の前ではそんなこと言わないが。

「主上、手が止まっている」
「・・・・はっ、はい」

秀麗達の会話の内容を推測していると、手の方が止まっていたようだ。
絳攸の指摘を受け、劉輝はまた筆を動かす。
・・・しかし、一体なんなのであろうか・・・。
そもそも物なのだろうか。

「・・・王」

飛んでくる分厚い本を器用に交わして劉輝は意識を本当に仕事に戻した。
このままではたんこぶ一つではすまないらしい。

「はいっ、すいませんっっ」

楸瑛の方は器用なもので楽しそうに仕事をこなしていっている。
顔で何考えているが分かるが、手が動いているのでなにも言えない所が絳攸にとっては歯がゆいところだ。

ふと、上司に呼ばれていることを思い出した絳攸は執務室から出て行った。
多分・・・・真面目にやっているので大丈夫だろう。

「楸瑛、王の見張り任せたぞ」
「ん?どこか行くんですか?」
「あぁ、吏部の方へ」

いってらっしゃ〜い、と手を振る楸瑛。
バタン、と扉が閉まった瞬間、室の空気が緩んだ。

「・・・吏部か・・・・。最低一刻は戻ってきませんね」
「で、楸瑛、何か分かったか秀麗達が言っていたこと・・・」

劉輝は机案から乗り出して楸瑛に問う。
楸瑛は、筆を起き手を顎にそえ考えた。

「それが、さっぱり・・・・。
少し具体的なところがなくてどう考えていいか・・・」
「ふむ、やっぱりそうか・・・」

筆を動かす手を止め、物思いにふける二人は全く絳攸の言うことを聞いていない。
ちなみに楸瑛の見張りの範囲は王を執務室から出さないことであり、仕事をさせることではない。

「この私でもここまで悩まされるのは久しぶりですね・・・。
これはなんとしてでも解いて見せないと」
「何ッ・・!?
絶対に楸瑛よりも早く見つけないと・・・」

しかし鍵となる言葉が、手に入りにくい物・・・とはなんだろう?



「・・・ん??」

なにやらこっちを見るような気配を感じては振り返った。
しかし、後ろを見ても何もいない。

「・・・・おかしいかな」

首をかしげてはまた歩き出した。
府庫から出てからなんか変な感じがつきまとっている。
しかも、それは嫌がらせに待っている官吏とは違い、その気配は薄く、注意していても気づかないほどだ。

私・・・何かしたかしら・・・?

そこまでのプロに狙われるようなことまでしたことはないのだが。

勿論、はしばらくその変な視線に悩まされる羽目になる。



そして数日後。
朝廷は休みで、場所は紅邸に移る。

「・・・ねぇ、見つけられた?」 
「無理ー。今日の買い物の帰りにでも探してみようと思うけど・・・・」
「精が出ますね、お嬢様、殿」

外から帰ってきた静蘭が野菜を片手に入ってきた。
彼も立派な一般節約家庶民である。

「あっ、静蘭ありがとー。
や〜、立派なキャベツが取れたわね。
早速夕飯に調理しましょう」

秀麗はうきうきと静蘭から野菜を預かり庖厨へと歩いていった。

「・・・あっ、お邪魔してます」
「いえ、ゆっくりしていってください。
今日は丁度藍将軍達がいらっしゃいますので夕飯も召し上がっていってください」
「あっ、いいんですか?秀麗ちゃんのご飯美味しいから。
これはもうけた。・・・ところで静蘭殿は、知らない?」
「・・・あぁ・・・あれのことですか。
一応お嬢様に言われて注意してはいるんですが・・・」
「そっかぁ・・・」
「・・・まぁ根気良く探すことですよ。
いつかは見つかるものですし。」
「・・・そうよね・・・」

そこへ、秀麗が戻ってきた。
手に財布を持ちどうやら、買い物に出るようだ。
は立ち上がった。

「あっ、秀麗ちゃん、外出るの?」
「えぇ、なんなら一緒に行かない?
昨日の帰りに、もしかしたら・・・っていう穴場の場所見つけたのよ。
静蘭、藍将軍達がおいでになったら適当にお茶出しておいて。お茶菓子はもう用意してあるから」
「はい、気をつけていってらっしゃいませ」


秀麗達が家出るのとすれ違うように軒が家の前でとまった。
降りてきた人達は、その高貴さとは裏腹に手にはたくさんの野菜を抱えている。

「いらっしゃいませ、今日もたくさんありがとうございます」

静蘭は笑顔で招き入れ、楸瑛の持って来た野菜を見る。
今日も豪勢な食事が食べられそうだ。

「いえ、秀麗殿の手料理が食べられるのなら・・・
おや、君だけかい?」

楸瑛はシンとしている室内を見まわし残念そうに呟いた。

「お嬢様は先ほど出ていかれました。
・・・・何か?」

語尾に圧力を駆けてきた静蘭に楸瑛は苦笑する。
触らぬ家人に祟りなし。

「・・・いえね・・・。
少し別の土産物を持って来たから、彼女に・・・・」
「土産ですか・・・。お嬢様も喜ばれるでしょう」

静蘭はフッと笑って思案した。
・・・もし、自分の予想が正しければ面白いことになりそうだ。

「そうえいば、絳攸殿は?」
「・・・あぁ・・・彼なら・・・。
多分もうすぐ来ると思うけど今取りこみ中でね。
頑張ってるみたいだけど・・・・なんかもう一人来客が増えそうなんだ。
今回はどうしても・・・ってことで・・・。
悪いね」

静蘭はその意図をなんとなく察して頷いた。
・・・・まぁ久しぶりにはいいか。

楸瑛の言う通りすぐにもう二人の来客がやってきた。
そして、息を弾ませて秀麗とも帰ってきた。

「静蘭っっ!!」

ガラッと勢い良く入ってきた秀麗だが、すでに客がきていたことでその勢いはたちまち薄まった。
その後に上機嫌なも入ってくる。

「・・・あっ、いらっしゃいませ・・・・ってなんであんたもいるのよ!!」
「秀麗、今日は渡したい物があってきたのだ!!」

しばらく言い争いになる劉輝と秀麗をよそには先ほど買い出してきたものと楸瑛達が持って来たものを見比べた。

「・・・わぁ、今日は賑やかな食卓になりそうね。
早速ご利益があったのかも。
あっ、ネギ被っちゃった・・・けどまぁいいか」
「ネギか・・・・是非炒めてくれ」

さりげなく絳攸が注文する。
は彼の隣に座り、茶器を取って自分の分の茶を汲む。

「うん、秀麗ちゃんに言っておきます。
あー、少し走ってきたら疲れちゃった」
「・・・・、一応お前も関わっているのだろう。
さっさと正体を教えてやれ」
「・・・なにがです?」

絳攸は奥の方でわいわいしている面々を一瞥した。

「秀麗!そなたの欲しいものはこれであろう!!
そういえば、朝廷の桜は白めのものだったし、秀麗の家に贈ったのも白めのものだったから・・・」

劉輝は濃い桃色の桜の枝を秀麗に差し出した。

「これは、朝廷の裏側にある山の中で一番濃いものなのだ」
「へぇ、綺麗ね。ありがとう。
じゃ、どこかに生けておきましょうか・・・」

予想とは違う秀麗の反応に劉輝はがっくりと項垂れた。
次は楸瑛が前に出た。

「秀麗殿、お探し物はこれですか?」

彼の持っていた木箱の中から出てきたものは光り輝く透明な宝石。
秀麗は固まって、そしてすぐに我に返った。

「うわー、藍将軍。凄く綺麗ですね。
どうなされたのですか?誰かにあげるとか・・・?」
「いえ・・・貴方に・・・・」
「えっ!?
そんなうちにある物の中で一番高いじゃないですかっ!?
勿体無すぎて受け取れません」
「はっ、下らん事に首を突っ込むからだ」

絳攸はボソリと毒づいた。
は苦笑したままでなにもいえない。しかし、なんとなく状況は察した。

「・・・もしかして・・・府庫かどこかで私達の話聞いてましたか?」
「あぁ、府庫でな」

・・・やっぱり・・・
あの時からなにかおかしいと思っていたのだ。
しかし、こんなことに発展するとは思いもしなかった。

「実は・・・これなんですね」

は懐から大事そうに紙を取り出した。
そしてそこに包まれていたのは四葉のクローバー。

「これ見つけると幸運がやってくるって事で・・・。
ほら、私達かなりいびられているから・・・・この先ちゃんとやっていけますように。っていう願掛けのつもりで・・・
分かると思うんですが、これ見つけるの大変で・・・でも偶然さっき秀麗ちゃんも私も見つけられて良かったです。
・・・あっ、今笑いましたね」
「いや・・・あまりに意外だったから・・・。悪い・・・」
「いいですよ。
あっ、絳攸様も話聞いていたのでしょう?何か探してくれたりとかしました」
「探すかっっ」

とっさに怒鳴った絳攸だが、コホンを咳払い一つしてごそごそと懐を探った。

、どうせだからお前にやる」
「・・・・はい?」

手に乗せられたのは、可愛い色をした匂い袋。
季節は春なのでやはり桜ということになるだろうか・・・。

「うわー、可愛い。
絳攸様が持ってること自体凄い意外ですが・・・どうされました?」

悪気があるのかないのか、少々言葉に刺がある気がしてならないが・・・・。
絳攸は、ふいっとそっぽを向いていった。

「・・・別に・・・・上司の友達の友達の妹のものが徐々に俺に回ってきただけだ。
俺が持っていてもいらないから」
「・・・へぇ・・・。
これって今巷で大人気で売りきれごめん、入荷待ちの札が並んでいる匂い袋ですよね。
流石お金持ちの人は違いますよね。やっぱりすぐに手に入れられるもんですかね」
「そうでもない。結構時間が・・・・いや、なんでもない」

はクスリと笑って席を立った。そろそろ夕食を作る時間である。

「秀麗ちゃん、そろそろ料理しない?
絳攸様がネギの炒菜欲しいって」
「分かりました、しばらくお待ち下さいね」
「なっ、絳攸何ちゃっかり注文してるんだ。余も!!」
「では、私もいいですか?」
『・・・皆さん、くれぐれもお嬢様を困らせない注文にしてくださいね』

静蘭の静かな圧力に三人の背筋が一気に凍った瞬間であった。



「ねぇ、秀麗ちゃん」

美味しそうな匂いが立ち込める厨房では野菜を切りながら秀麗に話しかける。

「何?」
「今日のクローバー・・・なんか、既に効果あったみたい」
「・・・そうみたいね」

胸から先ほどまでなかった匂い袋を下げたを見て秀麗は苦笑した。



ーあとがきー

こちらは、104000Hitを踏まれました白樺様のリクエスト『彩雲国物語 ほのぼの+どたばた夢』です。
おまけは↓に。。




その後。

「鳳珠ーっっ!!」

バターンと軽快に戸部尚書室の扉を開いた同僚に目も向けず、室の主は黙々と仕事に勤しんでいた。
ふと、彼を避けるためにも府庫で仕事をしたほうが良いのではないかと、今思った。

「鳳珠、貴様騙したな」
「・・・何をだ?
というか、でかい声で名前を呼ぶなと言っている」

身に覚えのない罪を擦り付けられて、やっと鳳珠と呼ばれた仮面の主は顔を上げた。
十中八九、その仮面の下には嫌そうな表情があるだろう。

「きょッ、今日兄上から手紙が来て・・・・」
「あぁ、それは良かったな」

鳳珠は適当に頷いた。

「もううちに贈り物をしてくるなと書かれたぞ!!どうしてくれるっっ!!」
「それとこれとどう私に関係があるのだ」
「君が自分で調べて見ろといったから秀麗との後をつけさせてみると、色々情報が入ってな。
とりあえず、全て集めて贈ってみたのだ」
「・・・・・・・・」
「そしたら今日兄上から手紙が来て・・・・」
「で?私とどこに関係があるというのだ」
「お前が調べてみろつったから調べたんじゃないか。
そうしたら全部返品された上に兄上からの冷たい一言が・・・」
「・・・・贈ったのはお前自身だろう・・・。
それに、吏部尚書の地位に上がれるほどの頭を持っているお前ならその集めたものから選別して一つだけ贈れば良いじゃないか。
それをわざわざ全て贈るとは・・・・」
「だって、全てあの二人が欲しがってたものだぞっ!!」
「・・・お前・・・色々常識分かっていないだろ」

更に阿呆だ・・・・と言う事を再認識してから鳳珠はまた筆を動かし始めた。

「・・・まぁお前がどれだけ頑張っても多分あの二人の欲しいものは渡せなかったと思うけどな・・・」
「何っ!?」
「幸せは自分で掴むもの・・・だそうだ」
「・・・はぁ?」

あの二人が欲しがっているものは、他人から渡されるのでは意味がない。
自分で見つけるからこそ価値のある物だ。
勿論、鳳珠は初めから贈り物をする気はなかった。
だから、色々歪曲してからかってみたが・・・・またもや、邵可に迷惑をかけてしまったかもしれない。
色々怒鳴ってくる黎深を無視して、鳳珠の思考はどうやって彼を追い出すかということに移った。


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