いつも忙しそうに仕事をしている私の主は、とても大変そう
平日は朝廷に赴き、人一倍の仕事をこなし
家では、難しい読書や、残りの仕事、新しい法案などを作成している

そんな彼を見て思う
なんか、人生損しているのではないか と。


たまの息抜き


朝早く、私は目を覚ます。
もう見なれた部屋。
数ヶ月前から私はこの屋敷に寝泊りしている。

ここの屋敷の主の侍女・・・ともいえるが、勉強を教えてもらっているので生徒・・・ともいう。
とにかく、私は主の手伝いをしている。
は寝台から降りて大きな伸びをした。
今日は一般的に言う休日。天候はこの上ない晴れ。

私は、身支度を整え、主の元に向かう。
そして戸の前で一度深呼吸する。そして彼の顔を思い浮かべる。
覚悟を決めて息を吸った。

「・・・鳳珠様・・・よろしいでしょうか?」
「あぁ、入れ」

戸の奥から美声が聞こえる。

「・・・・・。」

・・・しまった・・・声を忘れてた・・・。
大げさだがこれくらいはしないと朝から何かおかしい事になってしまう。
なんとか、今までの慣れで気を取りなおし、私は戸をあけた。
迎えてくれたのはこの世の人だとは思えないくらいの美人さん。
朝からこれは本当につらい。

休日だというのに、ここの主は早起きだ。
始めの頃は本当に驚いてしまった。いつも規則正しい。

「鳳珠様・・・昨夜も遅くまで仕事していましたよね・・・・。
今日くらいは休んでください・・・。
・・・というか、普通は私が起こしにきてやっと起きるくらいでしょう?」

主、黄鳳珠は、もう着替えも完璧にし終わって、分厚い本を読んでいる。
朝食前に読書(しかもとてつもない難しさだ)なんてどこの貴族がそんなことをするのであろうか。

「それは私の勝手だ」
「・・・はぁ・・・。
では、鳳珠様、今朝食をお持ちいたしますので・・・。
・・・あっ、そうそう今日のご予定は?」

鳳珠は少し考えて言う。考える表情もとてつもない美しさだ。
朝からこれでは本当にまいってしまいそうだ。
私はこの数ヶ月でやっと慣れてきた・・・というか未だに見惚れてしまいそうになる。

「・・・一日中お前の勉強を見てやろうと思う・・・。
どうだ?」

は秀麗と時を同じくして国試を受けようとしている候補者の一人。
今は鳳珠の家の手伝い兼勉強を教わっている。

「・・・お言葉ですが鳳珠様・・・・。
教えていただく身でこんな事を言うのもなんなんですが・・・・
今日は天気も良い事ですし、お仕事もないですし、外に遊びに出かけては如何でしょう??
いや、勉強が嫌とかそういうわけではないのですがね」
『断る。』
「いやいやいや・・・。
私が貴方の元に来てから貴方朝廷とその他どうしても出席しなくてはいけなくて外出する以外に、外に出たことありませんよね?
間違いない。
夏だし、暑いからかな・・・という事で今まで黙っておりましたが今はもう涼しいですし、町もかなり賑わう頃ですし。
・・・外出しましょう。遊びに行きましょう」
「この顔で町を歩くと色々面倒な事になるから嫌だ」

なんでも。
それは彼が国試試験を受けに来たときのこと。
黄州の方では仮面なしでも通っていけたがどんどん紫州に近づくに連れて、会う人々を魅了しつづけてきた。
そして、試験の方も約数名を除いて魅了し、大惨事を巻き起こす事になってしまった。
その後、同時期に国試を受けた黎深と悠舜に(無理矢理)連れられ町に出たが、その時に町全体を魅了してしまって一時大変な騒ぎとなったため、彼の中で外に出るという事は一種のトラウマとなっているらしい。

その他もろもろの理由を付け加え、彼はこの屋敷にいるときは自分の部屋以外では仮面をつけ、移動は全て軒。
最新の注意を払って外出している。
ここまでくれば、いっそのこと世間で噂されている醜男の方がどれだけ良かったか・・・。

「大丈夫ですよー、豊穣祭(ザビ3参照)のときもなんとかなったじゃないですか♪
皆そんなに顔見てませんって。
鳳珠様のために、最高の昼ご飯と夜ご飯が美味しい店を私が紹介しますからっっ。
天気も良いですし、今日しかないですっっ。っていうか今日いきましょう。今日!!」
「・・・いや・・・私は・・・」

なんか、無駄にノってきたを止める術は鳳珠は持ち合わせていなかった。
あまりにも真剣過ぎて怒る気も半ば失せてきている。

「じゃ、色々と予約手続きしてきますので鳳珠様はその間ご飯食べててください」
「・・・・あぁ・・・・」

結局最後は無理矢理丸め込まれる結果になってしまった。
そして、ふと思う。
この春、国試試験を控えている者が言う台詞なのであろうか。
普通は今ごろの時期には最後の追いこみに向け、必死に勉強していても良い頃なのだが・・・。
彼女には全くその傾向は見られない。
まぁ・・・彼女には自分と出会う前から及第するくらいの力は持っていたのだが。


の準備は実に見事だった。
鳳珠が朝食を終える頃には全ての支度が整っていた。
は急いで送った手紙の返事をみてガッツポーズをする。
ありがとう、おかみさん・・・私貴方の元で働いてて良かった・・・・。(感涙)
またお手伝いに行かせていただきます。

鳳珠に、朝食後のお茶を出し、準備が整った事を伝える。
流石に本気にはしていなかった鳳珠もこれには驚いた。
これが自分の部下であったらどんなに良い事か・・・・・。

「・・・本当に・・・いくつもりなのか・・・?」
「はい、もう準備は整っておりますから。。後は、鳳珠様が外に出るだけでOKです。
外に軒も配置してありますのでとりあえず、町まで向かいましょう。
後は私が色々案内しますので。
何か、見たい店とか買いたいものとかはありますか??」
「特にない」

即答でいう主には少し残念そうな顔をする。
しかし、また気を取りなおして言った。

「仕方ないですねぇ・・・。では、私の買い物に付き合って貰いますが・・・。
まぁ息抜きにはなるでしょう。
さぁ、行きましょう、鳳珠様」
「・・・分かった・・・・。」

ここまで準備を整えて今更断るということも出来ず鳳珠は重い腰をあげた。
不本意だが仕方ない。今日は仕事がないし、暇に過ごすよりはまだましだろう。
の事だし色々配慮もしてあると思うし。

は、てきぱき食器を片付け、鳳珠の後についていった。
家人も鳳珠の仮面無しの顔を見るのは久しぶりだった。
すれ違う人、すれ違う人頭を下げる。
というか下げるしかない。

彼の顔を見ては、彼の声を聞いては人生の終わり。
一応綾布を被っているが、うっすら見えるシルエットだけでも危険なのだ、彼は。
そうして、家人たちの緊張の糸が取れたのは、鳳珠が去ってたっぷり一分経ってからであった。


「・・・この中を・・・歩くつもりか・・・?」
「はい、そうですが・・・?
・・・・何か?」

たちが降りたのは一般道で庶民が行き交う大通り。
人ごみも激しく鳳珠がこんな光景を目にしたのは十年ぶりくらいであろうか。

「さぁ、行きましょう」
「・・・おい、こら・・・・」

自身勉強もちゃんとしていたので町に出るのは久しぶりである。
懐かしい光景に思わずテンションも上がってしまい、無礼を承知で鳳珠の腕をぐいぐい引っ張って人ごみの中へ進出した。
本当に変わってないなぁ・・・。・・・あぁ・・・いや変わってるか・・・。
今はやっぱり果物が旬よねぇ。
あぁ・・・秀麗ちゃんになんか買ってあげたいなぁ。

「あれ、ちゃんじゃないかい?」

人ごみの中で誰かが自分の名前を呼んだような気がしては立ち止まる。
辺りをみると向かって手を振っているおばさんがいた。
お気に入りの雑貨屋のおばさんである。
はすぐにそっちに向かった。

「久しぶりだね。最近あまり名前を聞かなくなったがどうしたかい?」
「新しいバイト先がねぇ・・・住み込みになったから少し外に出なくなってね。
後少し、他にやらなくちゃ行けない事が増えて・・・
なんか、しばらく見ない間にガラリと雰囲気が変わったね」

は店に並べてあるものを嬉々として眺める。
全部買えたらいいのだが、そうできないのが本当に残念だ。
おばさんがあることを思いついたように家の中に入っていった。

「あっ、鳳珠様。
ここが私のお気に入りの雑貨屋なんです。
鳳珠様の部屋にも夏に風鈴置いておいたのですが、気づかれました?
ここで買ったものなんです」
「・・・そうか・・・」

町に入るとはガラリと表情を変えた。
自分の手伝いとして屋敷にいるときは礼儀正しく、賢そうな雰囲気を出しいるが、今は本当に素で楽しむ少女だ。
年齢的にはこっちの方が合っているといえる。

おばさんが一つの箱を持って奥から出てきた。

ちゃん、やっとあんたが見たいっていってた簪が手に入ったんだよ。
見るかい?」
「えっ、ホントッ!?!?見る見るっっ!!」

の目が今まで以上に輝いた。
おばさんが箱を開ける。
その中には、金と銀が綺麗に混ざって細かい蝶の細工がしてある簪だった。

「手に入れるのが本当に大変だったよ。高いしね。
ちゃんのために少し奮発したよ。
仕入れた途端、ちゃんが来なくなるから本当に心配したよ」
「ごめんなさい・・・でも、本当に綺麗ね・・・。
この宝石なんて、七色に輝いてる・・・・凄い・・・」

感心してみているの手からおばさんが簪をとる。
そしての頭にさした。

「・・・うん、やっぱり似合うねぇ。
ちゃんは、高級な物もなんでも似合うタイプだね。
そういえば、今日のお召し物も中々上等なものになったじゃないか」
「・・・えっ・・・まぁ・・・今日は外出なので・・・。
・・・じゃなくて、ちょっと待ってくださいっっ!!これ高いんでしょっ!?
新品でまだ誰にも見せてないようなもの私がさしちゃっていいんですっ!?
売りものでしょ、コレッッ!!」
「まぁそうだけど、ちゃんのために買ったものだし・・・・」

いやいやいや・・・。
ここでとおばさんの他愛ない口論が続くがそれは鳳珠に止められた。

「・・・・・・この簪は・・・」
「あぁ、鳳珠様・・・・。さすがお目が高いわね」

鳳珠の美声におばさんも一瞬呆気に取られた。そして透けて見える鳳珠の顔にしばしば見とれている。
は簪をとって鳳珠に見せた。

「・・・やっぱり気づくものなのね・・・。
これは黄州で作られた超高級簪。私なんぞが手も出せない代物です。
金・・・十両ってところ・・・・でしょうか?」
「・・・欲しいのか?」
「そりゃ・・・・欲しいと言われる欲しいですけど・・・。
黄州っていったらそれはそれは美しい工芸品がそろっているっていうし・・・・。
趣味も良ければ品質最高。
お金があれば買い揃えたいくらい・・・」

なんといっても隣にいる人も含め、黄州は人自体も美しい。
でも、お金ないし・・・と続けようとしたときである。
鳳珠が、品物が並べてある机の上に金十両を出した。
鳳珠の顔に驚いていたおばさんは次に鳳珠の出した金額に驚く。
金十両なんて一般庶民が持ち歩く額ではない。

「・・・・え・・・?」

流石の自体にも何もいえないでいた。
しかし、当の本人は何事もなかったようにいった。

「欲しいのだろ?」
「いや、しかし・・・金十両の品を全て買ってもらうというわけには・・・・。
・・・買ってくださるんですよね。
・・・・それとも、お給料から差し引き?」

そこのところはしっかりしてないと後で困る。
鳳珠は私の言葉にふと笑う。
その微笑が危険なのです、鳳珠様。
眩暈を起こしそうになるがぐっとこらえた。

「別に、そんなことはしない。買ってやる。
まだ欲しいものがあるのなら言え。足りなかったらまだ出すか・・・」

いやいや,鳳珠様。
仮にも戸部尚書さんが金十両で何がどれだけ買えるかくらいはご存知のはずでしょう。
この店のもの半分買ってもまだ余るくらいですよ。

「いや、結構ですっっ・・・・。
しかし、本当に良いのですか?」

人様からこんなにもの高額な品をもらうのは初めてなので少し戸惑う。
なにか悪い事をした気持ちで一杯だ。
とりあえず、おばさんに金十両を渡した。

「いやー、参った。美人さんだねぇ・・・どこの金持ちだい?
ちゃんもいい彼氏見つけて・・・」
「いや、彼氏じゃないですから。
あれが、さっき言った奉公先の主殿。
中々外出しないもんだから、私が連れ出したんです」

おばさんがおつりを数えながら言う。

「金持ちの息子が外出しないなんてまた珍しい・・・」
「いや・・・彼・・・・うん、金持ちの息子かもしれないけど・・・(黄家の人だし)
一応、朝廷の官吏で尚書職についてる偉い人なんです。
仕事熱心なのは良いけど、全く遊ぶってことしなくって・・・」
「・・・そうなのかい、そりゃまた大変で・・・。
まぁ、頑張ってよちゃん」
「はい、頑張りますっっ。」

・・・・何を?
元気良く返事はしたが全く意味がわかっていなかった。
簪はそのまま頭にさしておくことにする。

それからずっと歩きっぱなしだった。
わざと秀麗の家の前を通ってみたり(笑)文房具屋によって見たり、服をみたり色々。
絶対『欲しい』なんて単語を出せば鳳珠が惜しむことなく金をだしてしまうので、極力出さないように気をつけた。
本当に、お金がたくさんあるのも困り者というか・・・。
彼の場合、貰っている分と出ていっている分にかなり差がありすぎるため、金はたまっていく一方。
夜も全く遊びにいくことないし、贅沢もしてない、他の貴族よりは物凄く大金持ちなのだ。

「さぁ、鳳珠様。
こちらで夕食を取る事になっております。
鳳珠様のために素晴らしい席を予約しておきましたので」
「・・・かなり豪華なところだが・・・・。
、よく今日の朝言って予約が取れたな・・・」

少し驚く鳳珠にが笑顔で答えた。

「ここに良く賃仕事に来てましたので女将さんと顔見知りになりまして、私の頼みなら何でも聞いてくれると・・・。
ですので、一番良い席を予約しておきました。
料理はフルコースですし、絶対おいしいです」
「そうか、それは楽しみだな」

入ると、すぐに女将さんが来てくれた。
彼女も鳳珠の美しい顔に一瞬表情が固まったが、流石プロ。(何の)なんとか持ちこたえて最上階へと案内する。

そして、最上階の間についた。
部屋中至るところに素晴らしい細工がしてあり、そして、窓を隔てて貴陽が一望できる。
素晴らしい夜景だった。

「じゃ、お食事をお持ちいたしますね」
「あっ、私も手伝います」

なんかいつもは食事運んだり片づけしたりとしていて、ここにいるとじっとしていられなかった。
身体にはもう動作が染み込んでいる。

ちゃん・・・あんた今日はお客なんだから・・・」

廊下で女将に呆れられたように言われる。
は苦笑して返事を返す。

「本当のお客様は主殿です。
私は付き添いみたいなもの。
やらせてくださいよ〜、女将さん」
「全く・・・しょうがない子だねぇ」
「いや、自覚してるんで、もう良いです・・・」
「・・・そういえば・・・・」

女将は私の髪に刺さっている簪を見る。

「今日は良いのつけているじゃないか」
「へへっ、買ってもらったんです。良いでしょ?黄州のvv
雑貨屋のおばさんが仕入れてくれてて、それで見せてくれたら鳳珠様が買ってくれたんです。
本当に良い人ーvv」

女将さんは薄く笑う。
こんな高級な物を買ってもらえるなんて・・・・。一般常識的にはただの奉公人ではありえない。

「あんた大切にされてるねぇ。
今日は泊まってくかい?」
「いえ、鳳珠様は明日から仕事があるので早々に退散するつもりですが・・・」

女将は少し残念そうに笑ってを見る。

「これからもちゃんと尽くしてあげなよ?」
「・・・はい??」

肩をポンポンと叩いて、女将は私に料理を持たせた。
は首をかしげて、とりあえず、持たされた料理を運ぶ。

なんか、今日は引っかかる言葉が多いような気がするが気のせいであろうか。(いや、気のせいではない)
いつも通りに料理を運んでいくの背を見て女将はふふっと笑う。
鈍いというかなんというか・・・。
頭は切れるのだが、時々彼女は物凄い鈍い時がある。。

「・・・今日はやっぱりあの子に譲っておいて正解だったねぇ・・・・」

鳳珠の元に持っていくと、彼は綾布をとりその辺にくつろいでいた。
豪華な部屋に、素晴らしい美人。
いつもとは違う絵になって更に栄える。

「・・・・?」
「えっ・・・あっ、お食事をお持ちいたしました」
「・・・・あぁ、ありがとう」

あまりに動揺してしまったため、お盆を落としそうになる。
なんとかこらえて、鳳珠の前に置いた。

「これは前菜です。あとからまだ追加されるので、お楽しみにしててくださいね」
「・・・これは・・・・見事な」

いつも食べる食事より数段格上の料理は見ただけで美しい。
が自信を持ってお勧めしてくれるだけはある。

は鳳珠の隣に座り、慣れた手つきで酒を勧めた。

「お酒、おつぎしますよ。
今日くらいは飲んでもいいでしょう?
このお酒もかなり奮発しちゃいました、超高級品で中々飲めないんですけどー」

鳳珠の出した杯には丁寧にお酒を注ぐ。
かなり慣れた手つきで少し意外に思えた。

「・・・お前は何でも出来るのだな・・・」
「・・・ん〜・・・。これも始めは酷いものだったんですけどね。
流石に数ヶ月やっていればなれますよ。
秀麗ちゃんなんてもう接待のプロですね。プロ」

流石に他の人を部屋の中を見られるわけにはいかないのでが廊下から食事を持ってきた。
全てのものが並んだ時には机の上は並びきれないほどの料理が並んでいた。

「さぁ、どんと食べちゃってください。
私は、今日は鳳珠様のお相手を・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・あぁっっ!!!」

は何か大切な事を思い出したように頭を抱えて唸る。
最後の最後に忘れていた。
鳳珠はその奇妙な行動に首をかしげる。
・・・・というか、これ以上まだ他に何かあるのだろうか?

「お相手といえば芸者さんですね・・・。
私とした事がうっかり・・・・。
胡蝶妓様・・・呼んでこれば良かった・・・・」

私の阿呆ー。(滝涙)
胡蝶というのは偶然秀麗の仕事についていったときにあった美女。
貴陽花街で一,二を争う名妓。
その美しさも教養も全て整っている尊敬の人。
鳳珠の隣に並んでまだ光りつづけていられる人は世の中には彼女しかいないだろうと思われる。

・・・なんでことを・・・夜遊びにも行かない鳳珠様の隣に胡蝶妓様が座る事なんて一生ありえない。

物凄く惜しいツーショットを逃してしまったではないか。いや、本当にそのツーショット見れれば死んでも悔いなし。。
しかも、こんなに奮発して高級料理も出したし高級な酒も出したし最高のシュチエーションなのに・・・。
鳳珠様の隣に座るのが私なんて・・・。(ガクリッ)

「・・・すみません、鳳珠様・・・・私ごときが相手してしまいまして・・・・」
「・・・どうした?大丈夫か?」
「・・・・はい。(大丈夫じゃネェ・・・・しばらく立ち直れねぇよ)」

しばらく、鳳珠は出されたものを食べていたが,ふと箸を止める。
そしてこちらをみた。

「・・・なんでしょう?」
「お前も食べて良いぞ。
何を遠慮する。うちでは、滅多な事がなければここまで高価なものは食べられないぞ」

・・・なんて庶民派・・・。

「いえ、鳳珠様・・・私は・・・」
「好きなんだろう?海老・・・」

あっさりと、好物を指摘されて私はギクリと目をそらす。
鳳珠も気づいていたのか、海老には手をつけていなかった。

「・・・何故・・・それが・・・」
「いや・・・あまりにも欲しそうな顔をしていたもんでな・・・」
「・・・・・ッッッ!?!?!?(声にならない叫び)」

私ったらとんでもない事をやらかしてしまったようです。
彼女も絳攸と同じタイプで仮面を被ればどこまでも隠し通せるがいったんはずすと一般人より悪い。

「遠慮はするな」

と、箸を渡された上に海老を皿にもって前に置いてくれた。
このままでは、どちらが相手をしてあげているのかが分からない。
私は赤面しているのを自覚しつつ「いただきます。」と小声で言って海老に箸をつけた。

やはり、以前から目をつけていただけあって美味い。
ぶっちゃけた話,ここで働いている時、もし誰もいなかったら海老が残った時その残り物を食べようとまでしていたほど目をつけていたのである。
とても幸せそうな顔をしているをみて鳳珠は笑う。
そして言った。

「・・・・・・」
「・・・なんですか?鳳珠様」
「・・・これからもずっと・・・・私の傍にいてもらえるか?」

微笑付きのありがたいお言葉。にとっては海老の事も含め、まさに幸せの絶頂であった。
も笑顔で答えた。

「はいっっ、ずっと鳳珠様の元にいて勉強させていただくつもりです。
これからも、よろしくお願いしますっっ。。」
「・・・・そうか」

鳳珠は、あまりにもはっきりと答えられて何も言いようがなかった。
,お前少し意味を取り違えているのではないだろうか。
というか・・・この娘は少し鈍すぎるのではないだろうか。

・・・まぁ・・・良いか・・・・。

好物を美味しそうに食べている彼女をみていると、何もかもどうでも良くなってくる。
今日は彼女からの最高のプレゼントだった。


ーあとがきー
こちらは42000Hitを踏まれました樹里様に贈られた『彩雲国物語の黄鳳珠様夢』です。
おまけあります↓


ー帰りの軒の中で

「・・・あの・・・鳳珠様・・・?」
「・・・なんだ?」
「いつか、花街に行ってみようとは思いませんかっ!?!?
っていうか、行ってください」
「・・・・は??」

どこの世界に女が男に『花町に行って来い』なんぞいう奴がいようか。いや、いるはずがない。(反語)
あまりにも唐突な、そして熱心に訴えるに鳳珠も少しながら引いた。

「・・・何故・・・?」

おそるおそる理由を聞いてみる。

「一度、胡蝶妓様と会って頂きたいのですっっ。
というか、ツーショットを見せてくださいっっ。
もう夜は好きなようにしちゃっていいですから、奢りますから←!?」
『・・・・・・。』

流石の鳳珠もそれには頷けなかった。
しかし、断れそうにもなかったのでそれはそのまま保留となったとさ。


ーそして、後日談

「鳳珠、先日と食事に行ったそうじゃないか。
夜景の綺麗なところに」
『・・・・・・。』

・・・何故この男がそれを・・・・。

鳳珠は動揺をみせないように書物をそのまま書いていく。
黎深が扇で口元を隠しながら言う。
ちなみに、黎深がこれを知ったのは店の方から断りの連絡が来て、あまりにも不服だったので部下にいって誰がその部屋を使ったのか見に行かせたのだと。
そしたら鳳珠だったものだからまた驚き。
ちなみに、鳳珠またはかなり格上の者でなければ後日に、悪ければ暗殺。地位が落とされた事であろう。

「私がせっかく楽しみにしていたあの部屋での夜食会を貴様が見事に潰してくれようとは・・・。
せっかくの良い天気で夜景も素晴らしく綺麗だったのに・・・前から予約してあったのに・・・・。
私の楽しみをことごとく潰していくとは・・・・友として許さんぞ、鳳珠」
「知らん。出ていけ。
友になった覚えもないわ。
・・・それに貴様の楽しみといえば,兄に会いに府庫に行く事と秀麗のストーカーじゃなかったのか」
「・・・・うっ・・・・・」

そこで黙るな、吏部尚書。

仮にもこの人紅家当主である。
鳳珠は、呆れたように黎深を見てそして,ふと思い出す。
秀麗の家の前で知った顔を見た。たしか彼の名は・・・。

「そういえば、先日秀麗の家の前を通ったが玖浪の奴が来ていたな・・・。
お前は行かぬのか?」

答えはわかりきっている。彼はいきたくとも行けないのだ。
それを知りつつ鳳珠は言う。
彼にはこれくらい言わないと調子に乗るから。

「なっ・・・あいつ兄上にはあれだけ冷たくしておいて、一度秀麗の前に顔を出したじゃ収まらず、ちょくちょく会いに行っているだとっ・・・!?
というか、今は紅州ががら空きじゃないか。何をしている玖浪め・・・・」

本当はあんたがいなくてはいけないはずだぞ、黎深よ。

「しかも、秀麗の料理も手伝い,二胡を誉め『厳しいけど時には優しい叔父様vv』のイメージを定着しおって・・・・・・クソが。(ボソリ)
私なんて『いつでも優しく頼れる叔父様』だっっ!!」
『・・・・柚梨、こいつ捨てて来い。』
「・・・ほっ、鳳珠・・・・」

やはり、黎深には何を言っても火に油を注ぐようなものらしい。
自分の世界に入ってしまった彼を徹底的に無視する事に決めた鳳珠は黙々と仕事に励み何を言われても返事すらしなかった。

・・・・休日に戻りたい。
昨日の事を思い出しつつ、鳳珠は始めてそんな風に思った。

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