それは遠い昔の思い出。
二度と手に入らない日々。


あだなる契り


黄鳳珠殿が国試を受けるらしい

今年の初め頃に囁き始められたその噂はたちまち黄州に広がり人々を沸かせた。
顔良し、頭良し、性格良しと噂されている彼は黄州の中では相当好感度が高かった。
次期当主候補であり、いずれ黄州を背負う者として期待もある。
きっと朝廷で高官になり、また朝廷で身につけた知識を持ち、黄州へ帰ってきてくれる。
そんなわけで一年経つ今でもその朗報は止まなかった。
いや、またぶり返してきたのかもしれない。
そろそろ彼が紫州に赴き、最終試験を受けに近々黄州を発つのだから。
何時発つのかは誰も知らないが、彼の姿を見ようと最近は皆気を張っている今日この頃。

家でも彼の話題はいつも上がっていた。

「・・・本当に素晴らしい方だね。
あんたと幼い頃一緒に遊んでいた方とは全く信じられない」

暖を十分に取った室で母と私でお茶を楽しんでいた。

「悪かったわね。どーせ私は鳳珠様と違って、綺麗じゃないし、頭良くないし、性格も悪いですよ―だ」

けっ、と捻くれては紅茶を一気に煽った。
元々家は黄州でも裕福な家で元は黄家に仕えていたほどで、幼い頃、私は鳳珠の遊び相手をしていた。
今では家の位も上がり黄家に仕えずとも、贅沢な暮らしが出来ていて黄家の方々と顔を合わせる機会もなくなった。

は大きくため息を付いた。
小さい頃の記憶は今でも鮮明に覚えている。
昔から鳳珠は何をするにしても出来た人だった。
まだ小さかったから全然気にしもせず普通に接していたのが夢のようだ。
今なら恐れ多くてそんなこと出きるはずもない。
・・・元気かしら。

「こら、はしたない。
これから嫁に行くというのに、そんなのでは先方に失礼ですよ」
「大丈夫、向こういったら直すから」
「そんなの急に直るわけがないでしょう。
全くこの子は・・・」

女のくせには荒っぽいを母親がたしなめる。
はそれを流して菓子のほうに手を伸ばした。

「そういえば、鳳珠様何時発つのか知ってる?」
「・・・そういえば、あの人が明日辺りにでも発つとか言っていたかしら・・・。
あっ、鳳珠殿に迷惑がかかりますから他言は無用ですよ」
「言わないわよ。大体外にも出してくれないくせに・・・」
「嫁入り前の娘に妙な噂が立ってしまったらこの婚約の機会を逃してしまいますからね。
絶対駄目です」
「別に子供じゃないし、騒ぎなんて起こさないって・・・」
「貴方が騒ぎ起こさずに帰ってきた事の方が少ないじゃないですかっっ!!」

パンと母は扇で机を叩いた。
は自然と背筋を伸ばす。
母の視線は本気だ。

「だって・・・中々外に出してくれないからいろんなことやってみようって・・・」
「それがいけないのです。
全く・・・周辺の人達だけで迷惑の範囲が収まっているから良いものの・・・。
絶対外出禁止ですよ。分かりましたね」

ぴしゃりと言う母にはなんとか食い下がった。

「じゃ、明日鳳珠様の見送りに行きたい。
それくらいなら良いでしょう?本当に顔見るだけだから」
「・・・貴方・・・・明日何の日か分かって仰っているのかしら・・・?」
「・・・・・・」
「明日は正式な婚約が成立する日なのです。
貴方は朝からその支度で大忙しのはずです。いつ鳳珠殿の顔を見る時間がありますか」
「・・・・はい」

は静かに席を立って室を出ていった。

戸を締めた途端、足はどんどん速くなり、気がつけば誰もいない廊下を走っていた。
室の扉を乱暴に開け、音を立てて締める。
その辺にあった柔らかい座布団を掴みそのまま壁に投げつける。

「何が嫁よ、勝手に決めやがってっっ!!」

昔から無駄に体力はあったため、目を盗んでは色んな所を走りまわっていた。
そして日々のストレスを座布団投げで解消していたため、そのスピードも今となればかなり速い。
座布団はバフッと音を立てて床に落ちた。

「・・・どーして私には決定権がないわけ?
確かに、少し不安要素は持ってるけどさ・・・・」

一回や二回の見合いなんてあってもなくても同じだ。
水面下では初めから話は進んでいる。水面上に上がって時点でそれはもう決定事項。
後から何をあがいても無駄なのだ。

今まではそれで納得してきたつもりだ。
外出する時も制限されたから問題は色々起こしたかもしれないが、ちゃんとそれに従った。
礼儀作法も、勉強も、嫌だったけどしっかり見に付けた。
人前ではしっかりと振るまい、言葉遣いにも気をつけて家の恥にならないように努めてきた。

・・・が、今回ばかりはどうも納得がいかない。

勝手に人の婿決められて、本人の了承を得ずに勝手に話は進められ、そして明日には正式に婚約。
見合いの席ではっきりと断ろうものならうちの名に傷がつくから押さえていたが、やはりそう簡単に割り切れるものではない。
父に似たのか母に似たのか分からない。
でも、ここまで諦めが悪いのは誰のせいだろう。

いつの日か彼に貰った綺麗な小石は大切に箱に入れてある。
はその小石を持ち上げた。

「・・・・鳳珠様」

もう、一生会話も出来ない。
顔も合わせられない。
そんな人に憧れを抱いていても無駄だと分かりながらも諦められない。
それは昔一緒にいた頃の記憶が今でも鮮明過ぎるから。
あの頃があまりにも楽しすぎたから。

永遠に続くだろうと思っていた日々はすぐに消え去り、残ったのははっきりしない中途半端な思いだけ。
脳裏に浮かぶのは子供、しかも男でありながら全てを圧倒する美貌の主。
今では更に美しくなっている事が容易に想像される。

・・・会いたい。

今を逃せば、それこそ永遠にお別れだ。
私は嫁ぎ先という檻に入れられ、彼は紫州という遠い地へいってしまう。
今しかないのだ。

は顔を上げた。
日は傾き、夜が来る。
チャンスは・・・・今夜・・・。
は手のひらで強く小石を握った。


日は暮れ、夜になる。
地上に照らす満月。明かり無しでも十分に足元が明るかった。
家人達の隙を見て、こっそり部屋から抜け出した。
ここで明かりをつけておくのがポイントだ。
は外に出て若干低くなった木を見上げた。
木は変わっていない。大きくなったのは私の方。

「・・・大丈夫かしら」

しっかりとした木の枝に手をかけ、少し強度を見てみる。
私の力ではびくともしないようだ。

「よし」

はその木に足をかけ登り始めた。
自分の倍はある家の塀を越え、は順調に家の敷地から抜け出した。
降りる時は外にはみ出している木にぶら下がり、そこから降りる。

「・・・さて、行きましょうか」

そう自分に言い聞かせは夜の街に走っていった。



久しぶりに見る黄家は全く変わっていない。
は裏に回って、こっそり昔出入りしていた裏口まで歩いていった。
丁度そこは彼と良く抜け出した抜け道。見つけにくいし、便が悪いので誰も使ってない上に、誰も鍵をかけにくることは昔からない。
まだ、残っているといいが・・・。
の心配をよそに裏口はそのまま残っていた。
 
・・・変わってない・・・。

少し壊れているが開くだろう。そう思い、が扉に手をかけた時だ。
力も入れていないのにギィと扉が勝手に動き出した。

「・・・・・・!?!?」
「・・・・・・?
・・・誰だ・・・」

聞いたこともない美声が、キンと冷え切った空気を震わせる。
軽い気持ちでここまではその場で固まってしまった。
そして、自分の目の前にいる人物に逃げようという思考も全てぶっ飛んだ。

「・・・・・・?」
「・・・ほっ・・・鳳珠・・・・様・・・?」

やっと彼の名前を言ったことで体の硬直も少し解ける。
・・・まさか、ここまで美しくなっているとは思いもしなかった。
綺麗系の美青年とは思っていたが、・・・美青年・・・うん、美青年だけど。
どの綺麗を表す言葉も彼の前では劣ってしまう。
非の打ち所がない完璧な容姿。
彩八仙も黙りこくってしまうだろう。

「・・・家に何用だ」

見とれてしまっている私に鳳珠は訝しげな表情をして私を見下ろす。
はその言葉にやっと彼の顔から思考が離れた。

「・・・あっ・・・。えっと・・・」

良い言葉が思い浮かばない。
確かにそういわれてみれば、私は何をしに来たのだろう。
ただ・・・鳳珠の顔を一目でいいから見たいと言う思いだけでここまで来たが・・・。
良く考えてみれば、ここから忍び込むことは犯罪になるし、捕まってもおかしくない。
見つかったのが鳳珠で良かったと思う。これ騒ぎを侵して、周りに咎められるのはごめんだ。

「ごっ、ごめんなさい。あまり考えずにここまできてしまって・・・
・・・・・・くしゅ」
「寒いだろう、ここまで来たのだし、寄っていけ」
「・・・でも・・・」
「このまま帰らせて風邪を引かせるわけにはいかない」

鳳珠の微笑に断る手段も絶たれてしまう。
は頷いた。
鳳珠は裏口の戸を押さえて私を中に招き入れた。

「・・・うわ・・・」

久しぶりに入る黄家の庭。
秋も終り、冬に入る季節に栄えている植物はない。
それでも記憶にある庭と大差なく、脳裏に綺麗な庭が浮かぶ。
昔は大きな森に近かったこの庭も今では立派な庭になっている。

「あの・・・鳳珠様・・・」

前庭に差し掛かったところでは切り出した。
やっとここに来た理由を思い出した。

「なんだ?」

前を歩いていた鳳珠が止まって振り返る。

「明日・・・紫州に行かれるのですね」
「あぁ・・・そうだ」

「・・・試験・・・頑張ってくださいっ。
貴方ならきっといい官吏になれます」
「そのつもりだ。
・・・この国をとっとと立て替える」

彼の目にはきっとこの国の行く末が見えているのだろう。

「・・・鳳珠様、私は・・・」
。」

私の言葉を遮って、鳳珠は言った。

「良い縁談があるそうだな」
「・・・えっ・・・はい」

少しズキリときた。鳳珠は淡々と語る。

「彼は私も良く知っている。
いい人物だ」
「私も・・・そう思います」

・・・でも・・・。
ここに来たのは彼に祝福されにきたためでもないし、国試の応援に・・・は確かにしにきたけど、本来の目的じゃない。

「鳳珠様、私は・・・」


鳳珠にとめられても、ここまで来たもの自分を止められるはずがない。

「私は・・・わたくしは、貴方のことをずっと思ってきました」
「・・・・・・・・」
「今日はそのことを告げに参りました。
・・・忘れてください。私はそれだけ言えたので満足です。
では・・・今日はもう帰ります。
紫州に行かれてもお体に気をつけて」

鳳珠はまだってそれを聞いていた。
は踵を返して歩き出した。
すっきりした。何か吹っ切れた。これで満足できた。
しかし、私を引き止めたのは先ほどまで黙っていた彼。

「帰るのか?
お前らしくない、

その言葉に自然と足は止まる。

「・・・・・」
「私の返事を聞かず立ち去るのか」
「・・・・・・・」

少しだけ後ろを振り返る。
微かに見える彼の顔。少し見ただけでも目を離せなくなる。

・・・卑怯だ。

そう思いながらもどうしても勝てない自分に気づく。
そして、その返事に期待する自分にも

「返事・・・・いただけるのですか?」

恐る恐る聞く私に、彼は瞳をとじた。

「・・・私も昔からだけを見てきたつもりだ」
「・・・・え・・・・・」
「急にいなくなった時は少々驚いた。
いつの間にか遠く離れてしまったな・・・
そういえば・・・、明日が婚約成立するのだったな」
「えっ、はい・・・」
「お前がよければだが、私と紫州にくる気はないか?」

・・・・・はい??

彼はさらりと凄いことを言ってのけた。
私はどう答えれば良いのか必死に言葉を探す。
いきなりそんなことを言われても、というか明日だ。しかも夜はかなり更けている。

「・・・紫州って・・・その・・・・明日・・・ですよね?」
「あぁ、明日細かい顔合わせをしてからここを発つ予定だが多分発つ予定時間が午前内。
そのあと迎えに行く。
しかし、あまり事を大きくしたくない。
もし私が来る前に前にお前の婚約が成立していたら私は引こう・・・・」

鳳珠の言葉が私の胸に深く響く。
本当にそんなことが出来るのだろうか。
不安と期待が拍動を早める。

「・・・・後は、お前の意思次第、どうだ?」
「行きます」

即答だった。
周りにどんな被害が及ぶか分からない。
でも、それよりも彼と一緒にいられるのならば、それも苦には思わない。
彼が遠いところに行ってしまい諦めるくらいなら・・・・このような美味しいチャンス絶対蹴るわけにはいかない。

「予想はしていたが即答だな」
「はい、人生後悔はするものではありません・・・。
というか、鳳珠様こそ思い切ったことを・・・・らしくないですね。」

自分から悪役を買って出るほど、彼は頭の悪い人じゃないのに・・・。
しかし、彼は苦笑して言う。

「らしくない・・・か。確かに・・・・
夜も遅い、そろそろ帰ってはどうだ?」
「・・・あっ、そうか・・・・。
ばれたら元も子もない・・・・。
ではこれで・・・」
「送りはいらないか?」
「えぇ、一人で大丈夫です。」

は今度こそ走り出した。
今は明日が楽しみでしょうがない。
賭けだからもしものことがあるが、それも面白い。
もし、悪い方向に転んでいてもそれはきっと後悔しないだろう。
元々そういう運命だったのだから、諦めもつく。



の後姿を見送ってから鳳珠は嘆息した。
まさか会えるとは思いもしなかった。
今日でこの家を去ることになる。
懐かしくなったので昔の裏口まで出てみれば・・・・あれだ。

ここまで思い切ったことを行ったのは自分でも驚いた。
彼女を見ていると何か思い切ったことをしたくなった。
静かに夜は更けていく。



朝になると、鳳珠のことを考える間もなしに忙しかった。
軽い朝御飯をとると、そのまま着物の着付け。そのた今日の予定など事細かに説明され、そのあとは室でじっと待機。
その間も、周りは忙しそうに動いていた。
私は色んな作法を頭の中で反復していた。

・・・・あぁ・・・・今日は失敗は許されないんだ・・・・。

・・・・そういえば、今日・・・鳳珠様がくるんだっけ・・・。

昨日の夜のことだ。しかも、久しぶりに見た彼は見たこともないくらい美人だったし、言っていることすら夢のよう。
・・・本当に夢だったのではないだろうか。

でも、昨日のことは事細かに覚えているし・・・。この胸の高鳴りはきっとその証拠。


、相手方がおいでましたよ」
「はい、母上」

は立ち上がった。



親同士の長い口上をぼんやり聞いている。
夢なら早く覚めて欲しい。
どちらでもいい、私を早く現実に戻して・・・・
それからしばらくして、相手の彼と一緒に庭に出た。
今日は天気がいいので遠出をするには良い日だと空を見上げる。

「なにか、見えますか?」
「・・・いえ、ただ良い天気だと思いまして・・・」

は微笑を浮かべながらやんわりと答える。
そうしている自分がなんだか気持ち悪い。こんなキャラじゃないはずなのに・・・。

「・・・殿・・・・・私は・・・・」
「・・・・・

二人の声が重なった。
横を見ると奥の方に昨日見た麗人が立っている。
さわりと、風が吹き髪を揺らした。

「・・・鳳珠様」
「・・・鳳珠殿・・・・」

そうえいば、この二人も顔見知りだったか、は昨日の鳳珠の会話を思い出した。

「彼女は紫州に連れて行くが・・・・よろしいか?」

鳳珠はきっぱり言い切った。
青年は静かに眼を閉じた。

「・・・貴方には・・・本当に感心させられます」
「・・・丁度利害が一致しただけの話・・・」
「国試のご検討を祈ります」
「あぁ・・・黄州を頼む。あと・・・・お前の方も頑張れよ」
「・・・・うっ・・・はい」

その会話には首をかしげた。

「えと・・・?」
「こいつのことは気にしなくていい。
問題は・・・」

鳳珠がちらりと家の中を見た。
突然の鳳珠の登場に見守り体制に入っていた両親達は驚きを隠せないでいるようだ。
何もいえずぽかんとその成り行きを見守っている。
鳳珠が軽く礼をする。
その瞬間一同の動きが止まった。誰もが彼の微笑から目が離せないでいるらしい。

・・・確か彼は今日出発ではなかったのか・・・?

「突然のことで申し訳ないのだが、これからを一緒に紫州へ連れて行こうと思うのだが・・・よろしいでしょうか」

誰が、この申し出を断れるだろうか。
相手は黄家の嫡男で将来は有望官吏。さらには黄家当主候補。
これほどいい縁談は存在しない。
相手側もそれを拒むわけにはいかない。

しかし・・・紫州に連れて行くというのはあまりにも急すぎるのではないだろうか。

「・・・それは構わないのですが・・・・支度の方が・・・」
一人くらいならこちらで何とかなので後心配なく・・・」
・・・・あんたは本当にそれでいいのかい?」
「いいも何も、最高の選択ね」

きっぱりと言い放った彼女に、相手方に遠慮とかそういうの少しは行動に表して欲しいと両親はこの時内心で盛大に頭を抱えた。
というかこんな娘でいいのでしょうか、鳳珠殿。

「さて、行くか・・・。
次の宿に着く前に日が暮れてしまう・・・」
「この時期野宿はきついですからね。
では、父上母上、行って参ります。
向こうに着いたらまた文だしますので」

かなり遠くに行ってしまうというのにかなりあっさりとした別れである。
今後十年以上は会えないと思うのだが、彼女はその素振りを全く見せることはない。
は未練なく外へ向かって歩いていった。



「・・・・本当に良かったのか?別れがあれで・・・」
「えぇ、どうせ今生の別れってやつでもないし、色々話しているとそれこそ別れたくなくなっちゃう。
あれでいいのよ。後は私が元気に過ごして、近況報告をするだけ」

鳳珠を馬に相乗りしながら町の中を進む。

「・・・あれそういえば?一人で移動するの?
てっきり軒か何かかと・・・・」
「そうしていると時間も労力も金も無駄だ。
大体試験日時に間に合わない」

昔から二人は貴族であるのにそれらしい思考を持ち合わせてはいなかった。
普通黄家の息子が国試へ向かうのに街道練り歩いてもいいくらいなのにそれがない。

「・・・あっそういえば、何かあったの?・・・彼と・・・。」
「・・・・あぁ・・・・。
奴には昔から好いていたものがいてな」
「利害一致って・・・・・まさか・・・・」
「あぁ、私の婚約者に当たるな」

そういうことか・・・・道理で事がすんなりと大きくならずにすんだわけだ。
は、後ろにいる鳳珠に寄りかかった。

「・・・本当に・・・私がついていってもいいですか?」
「あぁ・・・・本当は無理矢理連れて行こうと思っていた」
「・・・・えっ!?」

の顔が驚きと照れで赤く染まる。


「・・・はっはい」

上を向いた瞬間軽く口付けされた。
は、大きく目を見開くだけしかできなかった。

「少し飛ばすぞ、掴っていろ」

してやったりと言う、鳳珠の微笑がこちらを見ている。
破天荒な娘で通してきた私だが、彼には勝てない。そう実感した。

「・・・はい・・・」

空気の冷たさも気にならないくらい顔は熱くなっていた。


そんな冬の大きな出来事。


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