神の御告げ 事の真実



やはり入ってきたか・・・・。
水鏡を通して二人を観察しながら、少年は笑んだ。
宝珠同士はひかれあう。
手にしたら最後、自分達の石とは別に、命がけでこの運命と立ち向かわなくてはいけない。

彼らにある道はただ二つ。
宝珠をすべて集めて自分達を呪いから解放するか。
はたまた、その試練に負けて命を落とすか。



「当然だが・・・・暗いな・・・」
「仕方ないだろう。
それにあまり使われていないことからみると燭台の期待もしない方がいいな」

雅はすぐに闇になれ、足元もなんとなく分かるようになってきた。
それに比べ、懐中電灯を持っているにもかかわらずシンは足元がおぼつかない。

「・・・そうか・・・・・・・・ふべっ!!」

シンが何かにぶつかった。
雅が顔を上げると、そこは行き止まりで壁になっている。

「・・・行き止まり・・・?
そんなはずはない・・・・と思うが・・・」

行き止まりにしては壁があまりにも人口的すぎる。
懐中電灯をよく当ててなにか変わったものがないか探る。

よくみれば、これは扉のようだ。
そして真ん中には何かをはめる穴があった。

「・・・これは・・・・何かを当てはめればいいようだな・・・」

二人は同時に雅の持っている宝珠を思い出した。
偶然同じ大きさなのだ。
雅は宝珠をいれてみた。
このようなことに使っていいのだろうか・・・・と内心疑問を持ちながら。

・・・・カチッ

予想通り宝珠は穴にぴたりとあった。
すると扉に魔方陣ができ、扉が消えた。

「・・・・なっ・・・・」

二人は言葉を失った。
この宝珠が反応するということは・・・。
こんなに早く宝珠絡みのことに出会うとは思ってもいなかった。
ここから考えられることは一つしかない。

「・・・・シン・・・・
この奥にもう一つ宝珠があるようだ・・・。
どうする?」

おそらく、この嫌な感じというのも宝珠のせいだったのであろう。
雅自身、あまり関わりたくないことだった。
サクラのいうのであれば、この宝珠を集めるためにはその宝珠につくものに自分達を主だと認めさせなければならないことになる。
そのためには命をかけなくてはいけないこともたくさんあるだろう。

・・・・今回もそんなことがあったら・・・。

助けられたら・・・と、思う。
しかし、自分の命と天秤にかけると、勿論自分の命の方が大切だ。
雅とは対照的にシンはその言葉を聞いてますますテンションをあげてきた。

「その宝珠貰っていこっか♪
ラッキーもう二個も集まるなんて。
結構六つ集めるのも簡単だったりして」
「また危険な目に遭うかもしれないんだぞ!?」
「まぁ・・・そういうのも冒険の勇者にはつきものだよね」

シンは世の中をなめている。雅はここで確信を持った。
雅は反論するのも疲れて、問題を現実に戻す。

「大体・・・もし手に入れられたとしても、それが家宝とかだったたらどうするんだ?
貰おうにも無理だろう」
「それはそうだけど・・・
一応サイとも仲良くなったし、サイになんとか頼んでさ。
終わったら戻しに来ればいいだけだし、・・・・・もし宝珠が消えてしまったら俺が似たような宝珠を作らせるよ。
おれんちけっこうそういうの仕事にしているから。
・・・それにここで宝珠を諦めたら、俺達に人生かけてくれたサクラの気持ちはどうなるんだよ。
さすがにあそこまで頼まれて裏切ることなんてできなくない?」
「・・・それは・・・そうだが・・・・」

シンの言っていることが正しい、だから反論できない。
こう考えられる彼が時々羨ましくなる。こんな考えを持てるようになれば・・・・。

「・・・まぁ、ここまできちゃったものはしょうがないって。
見過ごすわけにもいかないし・・・・
・・・ん??」

洞窟の奥の質素な祠に光り輝く宝珠と、剣がおいてあった。
宝珠はサクラからもらった宝珠と対になっている。これは青い宝珠だった。
シンは剣の方に興味を持ち始めた。
凝った細工がしてあり、戦闘向きとしては使いにくそうだ。

「・・・・うわぁ・・・・。
綺麗な剣だな・・・・・」

シンが剣に手を伸ばす。

「おい・・・シン・・・。
そんなもの突然触って・・・・
少し様子を見た方がいいのではないか?
それにこの宝珠どんな力を持っているかも分からない・・・」

それに前例もある。
以前は宝珠に触ったところ、洞窟が崩れたではないか。
この空間は以前と比べ物にならないくらい狭い。このようなところで生き埋めになるなんて最悪だ。

「大丈夫大丈夫♪」

シンが剣にふれた。

「大丈・・・・えっ!?」

シンが剣に触れた瞬間、宝珠が光だしどこからか水が湧き出てきたのである。
それは、徐々に勢いを増し、洞窟内に溜まり始める。
その水圧に負け、二人は洞窟の壁にぶつかる。背中鈍い痛みが襲う。

「・・・ったく・・・シンっ!!
剣を元の場所に・・・・っ!!」
「・・・・無理・・・・っ」

宝珠を水源とする水の塊は宝珠に近づくほど、強い水圧で流されてしまう。
今の状態ですら壁に捕まっていないと流されてしまう。
おまけに時間もないようだ。水はますますかさをまし、すでに腰まで浸ってしまっている。

「・・・しょうがない・・・・私が道を作るから剣を戻して来い。
・・・・『ウィンッ!!』」

緑の宝珠が光り、風が起こる。水の流れとは逆方向に風を流れさせ、水量と流れを同時に抑える。

「・・・・行け、シン・・・」

シンは頷き、剣を片手に風の作った道を進む。
雅は風の暴走を抑えるために動かなかった。
少しでも目を離すと、シンに大きな水圧がかかる。
ここまで集中するのも久しぶりだ。

風があつまり、シンの盾になる。
もう、祠は目の前だった。

《させないよ・・・・。》

「・・・・・・・!?」

どこからともなく聞こえた声に、二人は虚を疲れた。
まだ幼さの残るこの声は、先ほど自分達が助けて、この屋敷に泊めてくれた少年。
・・・人間にもなれるのか・・・・

雅は脳の片隅でそんなことを思った。
急に水の流れが止まった。
そして、水が一つの球体に形を変える。

「・・・シンッ!?」

壁によっていた雅は助かったが、その水の球体の中にシンはいた。

・・・息ができない・・・。

「・・・ふざけてんじゃないわよ・・・」

何故か怒っていた。
軽率な行動を取るシンにも。サイに騙されたいた自分にも。
やはり、おいしい話には裏があるものだ。
とにかく今はシンを助けることが先決だ。
雅は宝珠を握った。
・・・ちょっと手荒になるかもしれないけれど・・・・

「風を上手いこと使うものだねぇ・・・
感心したよ。」
「サイッ!?」

いつのまにか宝珠の横にはサイがいた。

「・・・・もう僕たちを救えるニンゲンなんていないんだよ。
僕たちは僕たちで生きていく。
そう決めたんだ・・・・。
ウィンの意思を変えただけでも誉めてあげるよ」
「・・・・・・・。」

あいつが水を操っている大元だ。
ここで動けばシンに何をされるか分からない。
しかし、動かないことも出来ない。このままではシンが死んでしまう・・・・

苦しそうにもがく彼を見て、雅は歯噛みした。
おそらく、このイラつきはサイの外見にもあるのだろう。

こんな子供になめられるなんて・・・。

「やっぱり、ニンゲンなんてこんなもんだよ。
水の中にいるだけで死んでしまう・・・・弱い存在。
そんな奴らが僕たちを救えるはずがないんだ」
「・・・そんなの・・・やってみないとわからない・・・」

思ってもいないことが口からでた。
雅の頭はシンを助け、宝珠を手に入れることを考えていた。
ただ、自分の闘争心に火をつけただけかもしれない。

・・・単純に今は負けることが嫌だった。

今の風の能力と同じだ。宝珠さえ手に入れば水を自由に操ることが出来る。
雅は動いた。

「・・・ウィン・・・よろしく頼む・・・・」

《・・・雅殿・・・。
サイを・・・兄上を助けてあげてください》

サクラの言葉が脳内に響く。

《私達は何度も裏切られ、ニンゲンを信じられなくなっているのです
どうか・・・兄上の宝珠を手に入れて・・・兄上を・・・・》

サクラの言葉に今まで熱くなっていたものが急に冷えたような気がした。
自分らしくもない・・・。雅は自嘲した。

「・・・僕を攻撃してくるつもりか?
それよりそこのお兄さんを助けた方がいいんじゃない?苦しそうだよ?
後何秒持つかなぁ・・・?」

サイは楽しそうに指を振った。
急に雅の目の前に大きな水の塊が現れ、雅の体を押し飛ばした。
水を吸っていて動きにくい、おまけに体が思い。
雅は立ち上がった。
地面にすれて擦り傷が出来ているが今は気にしている場合ではないだろう。

「そうだ。
お姉さん、深海にもぐったことないよね。
そこの水圧でも体験してみる?」
「・・・・・!?」

一瞬にして、雅は水の球体に包まれていた。しかもただの水ではない。
全体から強い圧力がかかる。
耐え切れず、息を吐いてしまった。

・・・・しまっ・・・・

「・・・もっと深いところに行ってみる?
まだ気持ちいいくらいだよね」
「・・・・・っ・・・・」

胸がつまる。体全体が押しつぶされそう・・・・
それに、長く息を止めていられそうにない。空気を出さないようにするだけでも雅には精一杯だった。
奥には先ほどから水の中に閉じ込められたシンがいた。
目もかすんでくる。

彼はまだ大丈夫であろうか。
助けてあげたいが・・・・今は力も出ない。
風を操る集中力もない。

「・・・もう限界かな?お姉さん・・・」

ミシリと雅の骨がきしんだ。

「・・・・っぁ・・・・」

痛みに耐え切れず、空気を吐いてしまった。
・・・・もう・・・・限界だ・・・。

・・・・シン・・・・・

雅は意識を手放した。

(・・・・雅・・・・っ!?)

水の球から開放された雅はピクリとも動かなかった。
それにはさすがのシンも動揺を隠せなかった。
昔、友達と限界まで水に潜るのを競争していたこともあり、肺活量にだけは自信があった。
ゆえに、ずっと水の中にいてサイを驚かせてやろうと思っていたが、そんなことをやっている場合ではないらしい。
まず雅の様子を確かめなくては・・・。まさか死んでいるわけはあるまい。雅に限って・・・。

「・・・お兄さんもそろそろ諦めたら?」

サイの興味はシンに移った。
シンは据わった目でサイを見る。
シンが、まだ余裕であることを感じ取ったサイは次の手段に出た。

「・・・しぶといよねぇ・・・
じゃこういうのはどうかな??」
「・・・・なっ!!」

シンを包んでいた、水の球が弾けとんだ。その代わりに部屋に水が水に埋まる。
もはや身長よりも水かさは高い。
無防備な雅は水の流れに抵抗することなく浮いている。
まずは、彼女を助けなくては・・・・
シンがそう思った瞬間、水が渦になって回り出した。
雅の身が投げ出される。

「・・・・・!!」

シンはすぐに雅の元に泳ぎ彼女の体を抱きかかえる。
当然だが意識はないようだ。早く水の中からだしてあげたいがこの水の流れではそれもできそうもない。
もう助かる方法はサイを止めることしかないらしい。
・・・というかシンの頭ではその程度の解決方法しか思いつかなかった。といった方がいいが。
早い水の渦に乗りながらなんとか水から顔を出す。

雅の顔は青ざめている。
シンは、覚悟を決めた。

・・・・・雅・・・・もう少し苦しい思いするかもしれないけど・・・。

シンは水の中に潜った。
そして流れに乗り、青の宝珠を見つける。
確か、雅は宝珠を持った瞬間その力を使えたといった。
自分にどれだけ力があるのか分からない。

・・・それでも、出来なくてもやらなくてはいけないことだってある。

シンは水の流れに逆らい、泳いだ。
ふっ、と雅の元にある緑の宝珠が光った。
流れが少し弱くなる。

・・・・もう・・・・少し・・・・

シンは思いっきり手を伸ばした。
そして宝珠をつかんだ。
その瞬間宝珠から光が溢れた。
水量が減り、水がなくなった。

「・・・・あーあ・・・・。
取られちゃった。
もうちょっと強くしておけばよかったな・・・・。
・・・とりあえず、クリアされちゃったんだし、僕は貴方達に従うよ」
「・・・・サイどうしてこんなこと・・・・
宝珠とは・・・」

状況を飲み込めていないシンはサイの言葉に首をかしげる。
サイは苦笑していった。

「『ウィン』を見ただろう。
姿形は違うけど僕がその宝珠の主だよ」
「・・・人の姿にもなれるのか・・・・?」
「まぁ、これは個人の自由だけどね。
動物にだってなんだってなれるよ」

もう、終わった。
シンは体の緊張が取れて座り込んだ。本当に死ぬかと思った。
・・・・雅だって・・・・

「・・・そうだっ!!
雅・・・・おい、雅・・・っ!?」

シンが雅の頬を軽く叩く。雅はそれでも気づく気配は見せない。

「・・・どうしよう・・・俺こういうときの対処法知らねぇぞ・・・・」
「お姉さんには少し手荒な真似しちゃったからね・・・」

サイが雅の傍にしゃがみこみ、雅の胸に手を当てた。

「・・・・まぁサービス。ってところかな。
お姉さんも頑張ったし。
・・・こんなにも上手くウィンを使える人も久しく見たしね」

雅の瞼が動いた。

「・・・雅・・・っ!?」
「・・・気がついたみたいだね、お姉さん。
気分は?」
「・・・・最悪だ」

この様子を見ると、一件落着したようだ。宝珠もシンがなんとかして手に入れたのであろう。
しかし、あまり面白くない。

「さて。。
・・・気に入ったよ。二人共。まず両方悪い人じゃなさそうだしね。
私利私欲に僕達を使おうとするつもりなさそうだし。
僕の部屋にきてよ。その剣をもってね。」
「おうっ!!・・・・あれ??宝珠は??」

確か持っていたはずなのに・・・。

あたりを探すシンにサイが笑顔で言った。

「あぁ、あれは偽物だよ。
どこの誰かも分からない人に盗まれるなんて最悪だし。
・・・・じゃ、ついてきて、僕の部屋まで案内するよ♪」


    

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