「・・・・おめでと、秀麗ちゃん、影月くん」

扉を叩いて、入れば着任式前の新州牧達とその補佐たちがそろっていた。
正式な官服に身を包んだ四人がこれからの茶州を作っていくのだ。
も自然と顔がほころぶ。

「皆、おめでとう。
これから・・・大変だと思うけど頑張ってね。
やー、燕青これからもちゃんと髭剃りなさいよ〜。
やっぱりちゃんとした正装してたらかっこいいよ」

・・・・あれ?
は周囲の視線に違和感を感じた。
なんか、皆固まって自分の方を見ているのは気のせいだろうか。

「・・・あの、・・・
・・・どうしたのその格好っ!?」

皆、同時にうなづく。
新任式に出るには少しはで過ぎるのではないだろうか。
は改めて自分の衣装を見て苦笑した。

「・・・あー、これ?
少し新茶家当主様に会う予定だから、少し頑張ってみましたvv」
「それじゃ・・・どっかのお姫様みたいよ」

秀麗は後宮にいたことをなんとなく思い出した。
その貴妃とかなり似ているのだ。格好が。
その言葉にはニヤリと笑う。

「・・・ふふ、ちょっと王様から伝言を届けてくれって頼まれまして。
いやー、こんな素敵衣装きたの初めてでちょっと浮かれてるの」

は嬉しそうである。本人がよければいいということで秀麗たちは何も言うまい。
しかし、本日の式の主役の秀麗達より立派な格好だ。

「確か新当主達は、ここにいなかったわけよね・・・
向こうの家のほう?」
「えぇ、そうね」
「じゃ・・・着任式に出れないのは残念だけど・・・行くね」
「あっ、うん・・・。
また顔見せてくれるよね。まだ行かないよね。」
「勿論、ここ出るときにはまた顔見せるよ。
じゃ、頑張ってね」
「うん」


笑顔を残しては会場を出、茶家の本家に向かう。
まとっているのは、紫の衣。
おそらくほとんどの者が着任式のところにいっているのだろう。
すれ違うものはいなかった。
扉の前で衣を正して、は扉を叩いた。

「はいっっ
・・・なんでしょう?」

中から可愛らしい声が聞こえた。
そして迎えてくれたのは少し年下の女の子。

「えっと・・・どちら・・・
・・・・・・さん?」
「少し・・・お時間よろしいかしら?
忙しい中、ごめんなさい」

春姫は見慣れた顔にほっとするが彼女の格好であることに気づいた。
春姫はすぐに膝をおった。
中から少し焦りを含んだ声が聞こえる。

「どうした・・・?春姫・・・
・・・さんっ!?」
「・・・紫・・・?」
「はい、紫劉輝様から伝言を申しつかわしておりますので、参上いたしました。
この度は新茶家当主ご着任心からお祝い申し上げます。
春姫殿、お顔をおあげください」
「はい・・・」

まさか、が紫家の者だと思いもしなかった。
二人の顔は強張ったものに変わる。

「・・・別に、そうかしこまらずともよろしいです。
そもそも・・・今は紫家とは離れてますし・・・」

は懐から文を取り出した。

「はい。これが、国王からお預かりしたものです。
彼は・・・今、不安定である茶州を気にかけております。
これから数年はうまくいかないこともあるでしょう。
新州牧たちも貴方方とはさして歳はかわりません。一緒に・・・歩んでいってくださるよう」
「・・・はい」
「困ったことがあれば、いつでも紫家はお手伝いいたします。
何なりと」
「ありがとうございます」
「貴方達の道に・・・幸あるよう」

新当主の若い二人はに深い礼を取った。
は薄く微笑み、上に羽織っていた紫家の衣を脱いだ。

「・・・所詮・・・今の私は朝廷の下官。
紫家を名乗れない立場にある。本当は私が跪かなくてはいけないのに・・・。
私も向こうで頑張るつもりです。そしていつか紫家を本当に名乗るつもりでいますから。
・・・お互い頑張りましょうね」
「はい」

蕾は今から開き始める。

は、出て行く脇に振り返った。

「是非、子供が生まれたらご連絡くださいね。
気持ちながらお祝いさせていただきます」
「・・・・なっ////」
「まぁ、様・・・」

照れる克洵ににこりと微笑む春姫。
彼らはこれはこれで長くうまくいきそうだ。
なんだか羨ましい。
まだ発展途上の紫州の恋物語を見ていると、そう思う。
・・・まさか、その渦中に自分がいるとはは一つも思ってもいなかった。

様も・・・良い人に出会えるといいですね。
いえ、出会えます。必ず」

最後の春姫の言葉には動きを止めた。

「・・・そうですね・・・。
私に付き合ってくれる殿方がいるかどうかが怪しいですけど」

は苦笑しながら答えた。
春姫は首を振る。
は、一礼して歩き始めた。

幸福・・・
それは多分、私が求めてはいけないもの。

の背を見送りながら春姫は呟いた。

「きっと・・・貴方は幸せになれます」

多分、貴方だけが気づいていない。
幸せは隣にいつでもあることを。

そのまま帰らず、はある部屋による。
そこは日当たりがよく、室主は庭に出ていた。

「・・・誰かえ?」

庭に立つ女性には衣が汚れるのもかまわず膝を折った。

「お初にお目にかかります。
と申します。縹英姫様。
ずっと、お会いしたいと思い続けておりました」
「・・・・・・とな」
「はい」

老女は振りかえった。歳を感じさせないその動きはいつまでたっても美しさを引き出させている。

「・・・お前が・・・あの娘の」
「はい」
「まるで生き写しじゃな・・・」
「・・・よく言われます」

は顔を上げた。そこには英姫の笑顔があった。

「立ちや、
よう来たな。妙な事にまきこんでしまい申し訳なかったな」
「いえ、それはそれで色々成長させていただきました」
「・・・朔を・・・感謝する」
「いいえ・・・」

この人はなんでも分かっている。
だから多く語る事はないのだろう。
後姿で彼女の姿に圧倒された。あの母ですら屈したのだ。

「王は元気か?朝廷は・・・?」
「はい、新しい風が全てを光に変えていきます。
後に・・・、彩雲国は良い国になるでしょう」
「そのようじゃ。
是非鴛洵達よりも良い国を作ってくれ」

鴛洵、その単語に少しは目を伏せた。
英姫は笑う。

「そのような顔をしなくても良い。
あやつは、好きなように生きたわ。
本当に・・・勝手な奴じゃった」

はフッと笑った。この人は強い。
だから、今でもこのように美しい。

「・・・鴛洵様は・・・とても素敵な方。私もそう思います。
小さい頃少し学を教わった事がありますが、少々厳しいところもありますが、それでも彼の講義は面白かった」

あの人に全てを学べたらまだ違う自分になっていたのかもしれない。

「・・・ほぅ、お主まで鴛洵を誉めるか。
いらぬところでもてる奴じゃ。憎らしい」
「あの方は貴方を一番愛してましたよ。
茶家の席ではいつも宋太傅とのろけ話に浸ってましたから・・・
一度だけ英姫様の事を伺った事があります。
あの方の言葉だけで貴方にお会いしたいと思いました。」
「あやつがわらわをのぅ・・・」

英姫は庭の池まで歩いていった。
おそらく、その表情には嬉しそうな笑顔があるのだろう。
はそれを思い、おかしくなった。
なんだかんだいったって、やはりお似合いなのだ。

「・・・

英姫は突然切り出した。
その口調の強さにも声に緊張を含ませる。

「はい」

しかし、英姫の言い出した事は予想外だった。

「・・・お主、好きな男はおるか?」
「・・・はい?」
「好きな男はおるのか、と聞いておる」
「・・・えっと・・・」
「おらんのか?その歳になって?」
「・・・・はぁ・・・・」

生返事しか出来ない。
そんなこと考えもしなかった。いや、考えないようにしていた。

「心を閉ざしてはいかんぞ」
「・・・・・・・」
「怖いのか?血が・・・」

はただ頷く。
標家の力は凄い。全て悟られてしまう。どれだけの仮面で自分を隠していても。
だから・・・春姫もきっと気づいていたのだろう。自分の一生の枷になるものを。

「・・・大丈夫だ。お前の母がちとまずかっただけだ。
わらわでも止められなかった・・・」
「私は女に生まれてきて良かったと思います。
もし・・・男に生まれていたら・・・」

きっと八年前の王位戦争。
おそらく私は全ての兄を殺し、王座についていただろう。
敬愛していた劉輝も容赦なく切り捨て、流罪である清苑、いや静蘭も同じく。
全ての可能性を排除し、そして王座に君臨し続ける。

「来や、

英姫が呼ぶ。
は、従った。
英姫の手がの頬に触れ、自分の方へ顔を向けさせる。

「大丈夫じゃ、お前には良心がある。もしそうなっていたとしても、劉輝や清苑には手を出さなかったであろう。
そして、自分に自信をもて。
前を向け。今のままで満足するな。
今よりも何百倍の幸福がお主の前に訪れるじゃろう。
そのチャンスをみすみす潰すか?」
「・・・しかし・・・私は・・・」
「強い光がお主を守ってくれる。
どんな濃い闇にいても必ず照らしてくれる者がいる」
「英姫様・・・」
「男なんて、単純な者じゃ。
秀麗がここに来て外朝にはお前しか女はいないのじゃろう?
外朝の者全て手中に収めるくらいに頑張れ」
「・・・そんな・・・大げさです」

は吹き出した。英姫もそれにつられて笑顔になる。

「お主なら出きると思うのじゃがな・・・
不安になれば英姫を訪ねろ。少しくらいはその重荷を軽くしてやれる」
「ありがとう・・・ございます」
「孫がもう一人出来たようじゃ・・・。
まさか、あの娘が子を産むなんて思ってもおらんだから・・・。
また朝廷の様子も近況も文で送りや」
「はい、必ず」
「良い男がいたら必ず伝えるのじゃぞ。
駄目な奴なら無理矢理でもくっつけさせぬぞ」
「・・・はい」
「さぁ、行け。
お前の光を掴みに・・・」

英姫にポンと背中を押された。
なにか肩が軽くなったような気がした。
朔洵の事もあり、少し気を張りすぎていたのかもしれない。それが、なくなったようだ。

「失礼します」
「次会う時はもう少し良い顔を見せるのじゃぞ。
しめっぽい顔をしていたら会わんからな」
「はい」

手厳しい人だ。でも母が誇っていただけある。
やはりここに来て良かった。
遠い地にいる兄に感謝した。本当に・・・彼には負ける。



「・・・秀麗ちゃん」

沢山の官吏に囲まれ、ちやほやされている秀麗達を探しには着任式の二次会の会場にいた。
なんというか・・・燕青タイプが多いのか、かなりの大賑わいである。

「あぁ、
・・・ってその格好・・・もう行くのっ!?」

つくづく彼女の衣装には驚かされる。
どこで着替えているのか、いつもなにかしら違っている。
驚く一同にが頬をかきながらいった。

「・・・うん、なんか急に紫州が恋しくなっちゃって・・・
もう少しゆっくりしていきたかったけど、やっぱり戸部の方も長く空けていたら大変なことになっていると思うし・・・。
私がここでするべきことはもうないし・・・だから帰ろうと思って」
「・・・そっか・・・
ありがとうね。色々。来てくれて嬉しかったわ」
「秀麗ちゃん、影月くん、頑張ってね」
「はい、さん道中気をつけて」

影月の言葉に頷き、そして、後ろに控える補佐達に目をやった。

「いや、嬢ちゃんには驚かされっぱなしだったぜ。
あの仮面尚書さんの下でも頑張れよ」
「黎深と、ほ・・・黄尚書によろしくいっておいてくださいね。
そして調子乗らせないでくださいね。二人共・・・」
「・・・はい。忠告はしておきます」

そして、秀麗の後ろにいる静蘭と目が合った。

「できればたまに旦那様の様子も見にいってあげてくれませんか?
大変な事になってそうなので・・・。
あと・・・彼にも、よろしくと。
私達は心配ないと言っておいてください」
・・・きっと、心配していると思うから。

「はい、きっと喜びます。
ちゃんと伝えておきます」

兄の言葉の意味を汲み取っては頷く。

「皆、元気でね。
珀明にも一緒に文書かせて送るから」
「えぇ、楽しみに待ってるから」

「おや、帰るのですか、

後ろから声がした。
振りかえると、こちらもどこかに行くような感じの彰がいた。

「あれ?貴方も今お帰り?」
「ということは貴方もですね。なんなら紫州まで全商連で一緒に送りましょうか」
「いえ、早く帰りたいので。
なんなら金華まで一緒に行きましょうか」
「・・・そうですねぇ。そういえば貴方にはまだ見せてもらってない。
その腰につけている代物」
「・・・隙がないわね・・・
分かったわよ。金華ついたら見せてあげる」

そのまま彰と馬を借りて駆ける。勿論軍馬の駿馬であり、その速度は半端ではない。
の方が。
景色も中途半端にとりあえず、とばせるだけ飛ばした。
日が落ちる頃には金華の門が見えていた。

「いやー、一日で金華につくなんて・・・。流石駿馬」
「・・・本当・・・ありえませんね。貴方・・・
体力・・・底無しですか・・・」

が門のほうに馬をつないでいる隣で彰が大きく息を切らしていた。
しっかりついてくる、彼も彼だと思うが。

「・・・で、これ・・・見たかったんでしょ」
「・・・えっ・・・・今ですか・・・。
夜にでもゆっくり伺おうと思っていたのですが・・・」
「何いってんの。私もうすぐ出発するんだから」
「・・・え」

ここまで馬を飛ばしてきたのは宿を確保するだけではなく、ただ馬を交換するだけなのか。
彰はそのの無茶な計画に一瞬思考がとまった。

「夜も・・・走る気ですか」
「勿論。一刻も無駄に出来ないの」

が腰にささっている扇と短剣を差し出した。

「・・・これを人に渡すのは初めてよ」
「・・・そうなんですか・・・」

彰は眼鏡を取ってよくその扇と短剣を見始めた。
そして数秒も経たずにその動きが止まる。そして驚いたようにを見上げた。

「・・・なんで・・・」
「その顔が見たかったのよ。
やっぱり生粋の商人。しかも目利きが良いわ」
「貴方は・・・」
「それ以上は言わなくても正解だから。
さぁ、早く返して頂戴。金何千何万と積まれてもこれだけは渡せないから」

彰は眼鏡を外して、ため息をついた。
遥か彼方にいると思っていた人達がこんなに近くにいる。
にわかに信じられないが、そうなのだろう。
彼女の本質的なものがそれを確信させる。

「・・・負けましたよ」

彰は眼鏡を外して扇と短剣をに返した。

「勝っちゃった。
じゃ、また夏にでも紫州に遊びに来てよ。
朝廷で雇ってあげるから。しかも黄尚書の下で(笑)」
「・・・そうですね。考えておきましょうか」

は奥から運ばれてきた馬に目を向けた。
これはまた素晴らしい馬だ。

「・・・よし。
またひとっ走りしてくるか。
じゃ、また」

は馬の鞍に手を乗せた。
すっと彰の顔が耳元に近づく。

「・・・もし、商人をしたいと思いになったら私のところに来てください。
貴方ならいつでも歓迎致します」
「・・・冗談」

は馬にまたがった。

「色々ありがとう」
「・・・お気をつけて」
「えぇ・・・」

は日の落ちる空の下また走り出した。



そして、十日後。
は異例の早さで貴陽の門をくぐる事になる。
またぎりぎりで到着してしまい、日が落ちそうだ。
その足で朝廷に向かった。
いつもの通り外朝に入るを衛士が引き止めた。

「おい、そこは女人立ち入り禁止・・・」
「そのような言葉はもう外朝には必要ないと思いますが」

の顔に衛士が驚いて頭を下げた。
二月ほどしか外朝にはいなかったが、やはり女官吏は珍しいという事で彼女の顔を知らないものはいない。
それが数ヶ月経ったくらいで忘れられるものではないらしい。
そのまま足を進めて戸部の入り口を開けた。
扉を開けた瞬間目の前に書類が舞っていた。

「・・・うわっ、すまないっっ!!」
「あぁ、こんな忙しい時にもう・・・」

「・・・・・・・・」

戸部の姿は変わりなかった。
むしろ・・・更に忙しそうにも見える。

「あぁ・・・やっちゃいましたね、皆さんで拾って・・・
ほら、貴方も突っ立ってないで手伝ってくだ・・・くんっっ!?」

柚梨があまりに驚いて下の名前で呼んだ。
その言葉に全ての官吏が反応した。
そして仕事も忘れて派手に歓声を上げたのだった。

「よく戻ってくれましたさん・・・っっ」

柚梨に涙目で肩を捕まれてはとりあえずうなづいた。
後ろでは着任式の二次会並の盛りあがりを見せている戸部の皆さんの姿が合った。
・・・一体何だって言うのだろう。

その声に奥から黄尚書も出てきた。
そして、

「・・・貴様ら、何仕事の手を休めている。
このクソ忙しいのに・・・」

さして大きい声でもないし、仮面でくぐもって聞こえにくいが絶対零度のその声音は戸部官吏達の騒ぎを止めるには十分過ぎるものであった。
は久しぶりに見た彼の姿にほっとする。

帰ってきた気がした。
は、奇人の前に行き、礼を取る。

「茈、ただ今戻りました」
「・・・あぁ、早かったな」
「そりゃ・・・早く戻ってきたかったもので」

鳳珠が仮面の下で微笑を浮かべている事に気付いた柚梨は内心苦笑した。
さっきの騒ぎも収まり、一同騒いだ分だけ片付けに入る。
高く積み上げられた書類は崩れ、大変な事になっている。

「・・・・凄い、溜めましたね・・・」
「少し休暇をやろう。
そのあと、この書類整理に当たってくれ」
「休暇なんていりませんよ。
明日から出仕します」

その台詞に、仮面の下で奇人は眉を潜めた。
そして、の顎をとり、自分のところに向かせる。

「その顔で言うのか?」

彼女の顔には笑顔があるが、しかし、やはり長い間溜めてきた疲労は隠せないようだ。
しかし、は得意げな笑顔で言った。

「貴方こそ・・・その仮面の下・・・。
本当に美しい顔が見られますか?」

・・・・・。
どっちもどっちだ。
奇人は何も言わず、尚書室に入っていった。

「・・・邸には先に帰らせていただきます。
今日こそお帰りになった方がよろしいのではないですか?」
「あぁ、そうする」

無愛想な声が扉の奥に消えた。
・・・やっぱり彼には誰がついてあげないといけないようだ。
は官吏たちに礼をして、先に退出した。
向かう先は・・・・多分、一番心配しているだろう、あの人の元へ。



「・・・はぁ・・・」

一人しかいない室で劉輝はため息を付いた。
龍蓮からの文は届いたが、やはり何か落ちつかない。
も時期に帰ってくるだろう。
全てが無事に終わった。しかし、何か心配だ。
何がといえば、答えられないが・・・。

「秀麗・・・兄上・・・・・・」

愛しき者たちは元気だろうか。

「・・・お呼びになられましたか?兄上」
「・・・・・・っ!?」

振りかえるその先には変わらぬ姿でいる義妹。

「ただ今戻りました」
「・・・・・・そなた無事であったか・・・。
良かった」

劉輝はそのまま歩み寄りに抱きついた。
兄にこうされるのはとても懐かしい。彼の胸はいつも安心できる。

「大丈夫です。秀麗ちゃんも静蘭も・・・。
影月くんも燕青も鄭補佐も・・・皆元気です」
「そうか・・・・新当主は・・・」
「彼らも・・・・問題ありません。
茶州の問題の種はなくなりました。新しい風か吹くでしょう」
「静蘭・・・本当に大丈夫であったか・・・」
「えぇ、少し二日酔い気味ですが、問題ないと思います」
「・・・二日酔い?
そんなに盛大な飲み会だったのか・・・?」
「・・・らしいですね・・・」

多分・・・世界最恐だろう。あの飲み会は。いろんな意味で。
劉輝は安心したように、椅子に脱力した。

「”莫邪”が・・・少し暴れていたもので本当に心配だった。
やはり・・・王は辛いな」
「兄上が一番適任です。頑張ってください。
少しながらも私も影から支えますから」

今回のことでそれがいっそう強くなった。
王には彼が一番はまっている。

「・・・・・・」
「英姫殿はどうだった?」
「・・・・本当に・・・素晴らしい方でした。
兄上、心から感謝します」

劉輝は笑顔で微笑んだ。

「良い顔になったと思うぞ」
「・・・そうですか・・・?かなり酷い顔だと思うんですけど。
ちゃんと寝なくちゃ・・・」
「あぁ、ゆっくり休め。
お休み」
「おやすみなさい、兄上」

新しい蕾は開き始める。
後に最上治といわれる劉輝治世は動き始めた。


   

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