茶州からの文は朝廷を大きく震撼させた。
朝から官吏達が総動員で走りまわっている。
何も知らない下っ端役人達は首を傾げ、そして上司のいない部署で悲鳴を上げた。

地獄の三日間の幕開けだった。


年明けは騒動の始まり
〜働け!意識がある限り〜


朝廷に入った瞬間に只ならぬ空気をは感じた。

昨日結局邵可邸で眠ってしまいあまり夕飯の事は覚えていない。
別に酒を飲んだつもりは無かったのだが、どうやら間違えて飲んでしまったようだ。
二日酔いは残らない性質なので次の日の仕事もしやすかった。

「・・・どうしたのかしら?
またどこかの部署で修羅場?」

しかし走っている官吏達はどの部署とも特定できない者達ばかり。
各場所で怒号が聞こえたり、指示する声が聞こえたり。
まだ出仕時間には早いはずなのにかなりの官吏が仕事についている。
そしては前方から歩いてくる官吏達に絶句した。
ほとんど朝議にでる位の官吏達である。顔が皆険しい。
・・・もしかして今日、早めに出仕しないといけないんだったかしら・・・。
ここ数日鳳珠と仕事をしないで、たらい回しにされていたのでその辺の情報に疎かった。
それとも昨日何か大変な事でも起こったのだろうか。
は高官達に礼をしながら考えた。

そして戸部について驚いた。
そこにいたのは、尚書と侍郎がいなくて半泣き状態になって仕事している遅番の官吏達(徹夜明け)と山のように積もった書類の山だった。
流石のも絶句した。昨日帰るまでは結構綺麗だったのに・・・。
戸部の床は一足早い雪化粧である。足の踏み場もないと言うのはこの事だ。
これから修羅場になるということは、阿呆でも分かる事だった。

は凄まじい勢いで書類を整理しながら今まで得た情報を整理した。
茶州で凄いヤバイ病気が流行って今お偉い官吏さん達が一斉にその対処にあたっている事。
それで多分悠舜のせいだろう。鳳珠と柚梨がそこに入れられて、今戸部を離れている事。
が各部署で頑張って消化した仕事が一気に戸部に集まった事。
全てがこれ以上無いタイミングで揃い戸部は年明けから修羅場にみまわれた。
こんなの吏部や工部など比ではない。吏部尚書室はどうか分からないが・・・。
年にほとんどないほど大きい規模の修羅場が。尚書、侍郎共にいない状態でこれを乗りきるのは絶望的。
戸部官吏が現実逃避しかけた瞬間、一人の少女の声が部署内に響いた。

「仕事分けました!今から配りますっっ!!」

は各机案に容赦なく仕事を分配していった。もう誰も多いとはいっていられない。
仕事の多さに怯むことなく、懸命に働くの姿をみて官吏達は心打たれる。
・・・そうだ、彼女も頑張っているんだ。そして自分の上司達も。
ここで戸部官吏の心は一つになった。

「茶州がなんじゃー!!精鋭部隊戸部をなめんなー!!」
「なんの為に今まで黄尚書にしごかれてきたんだ!
今こそその実力を発揮する時がきた!!」
「中央官吏なめんなー!!」
「終わったら酒だ―!!」

次々に叫び、そして官吏達は一斉に机案に向かって筆を動かし始めた。
その様子には唖然とする。何故か知らないが皆やる気満々だ。
折角良い雰囲気になってきたのだからこれを無駄には出来ない。


そして、日は落ちる。
結局朝と戸部内の様子は変わる事無かった。
ずっと座り筆を動かしていた官吏達もこれには参っているようだ。

「・・・やはり黄尚書の抜けた穴は大きいな」

誰かがポツリと呟いた。ここで始めて上官達の偉大さを知る。
それはも同じだった。見様見真似で仕事を割り振って見たが効果は分からない。
一体どうすればいいのだろう。
考えながらもは筆と頭を休めなかった。
一つでも違えば大きな間違いになる。国家財産は家計と桁が何百も違う。
バコッと誰かを殴る音が聞こえた。
はここで顔を上げた。

「戯け者っ!!そんな無駄口を叩くくらいなら出ていけ!!
戸部にそのような軟弱者はいらぬわ。」

それは長年戸部で働いてきた高官達。自分よりも年下の黄尚書に膝を折ったのは彼の官吏としての素晴らしさを見抜けた為。
本当はもっと上にいけるだろうに、もう少し楽な仕事もあるだろうに、頑としてこの部署を離れる事は無かったもの達。
戸部内はしんと静まった。
その時ははっと気づいた。
そういえば、今日休憩どころか昼ご飯も食べずにぶっつづけで仕事してきたことに。
皆そろそろ集中力も切れているはずだし、精神的疲労も溜まってくるだろう。
ここは一つ、気分転換に。

「あの・・・お取り込み中すいませんが、時間もいいところですし。晩御飯にしませんか?
今日一度も休憩とってませんし、ご飯食べないと頭も働きません」
「こんな仕事が溜まっているのに、そんなことができるかっ」

反論にもは全く怯む事は無かった。

「ご飯は大切ですよ。あと睡眠も。
続けてやるよりも少し休憩を取った方が効率があがるのです。
その証拠に、目に見えて午後からの仕事をこなす速度が下がってきてます。
このままではいくら頑張っても終わりは見えませんよ」

正論だ。
戸部内が二つに分かれようとしていたとき、一人の官吏が立ちあがって伸びをした。

「確かに動かねぇと腰にくるな。
俺ちょっくら書類運ぶついでに飯食ってくる」
「あっ、俺も!
やっぱり昼飯抜きはきついッスね」

わらわらと散っていく戸部官吏達に反対派も折れたようだ。
はふぅ、と息をついた。一時はどうなる事かと思った。
やはり頭角見せて働いたのが良かったのだろう。自分の事を一下官と思わずちゃんと意見を聞いてくれる。
人を動かすにはまず雰囲気。良い環境を整えなければ。
人の少なくなったところでやっとは立ちあがった。丁度墨も切れたところだった。

「・・・結構墨減ってるわね。
あとで取ってくるか・・・」

備蓄棚を見上げては唸った。朝も持ってきたはずなのに今日の消費量は半端じゃない。
上官達の筆を新しいのに取り替え、墨を足し、それから配らなければいけない書類を持ち上げた。
奥にはまだ処理していない書類が山のように積み重なっている。
は嘆息して、戸部から出ていった。
筆を動かしている官吏と違っては各部署に飛びまわっていた。処理済の書類をそのままにしておけば戸部が紙で埋まってしまうからだ。
未処理のものと混ざってしまえばこれほど最悪な事はない。
そういうわけなので腹のすき具合も戸部一に違いない。腹が鳴らなかったのは幸運とも言える。

「・・・しかし・・・困ったわ・・・あの書類の数。
どう考えても少なくならないし、処理速度が上がっていくわけでもないし。
もう限界すれすれまで頑張っているのに・・・。
流石に絳攸様に助っ人要請するには私じゃ位不足だし、高官の人に頼んでも出してくれるかどうか・・・。
多分あの調子なら吏部も大変だろうな・・・。黎深様仕事しているようには見えないし。
いや悠舜さんのところにいるのかな・・・」

これほど鳳珠を恋しく思ったのは始めてだ。一刻も早く戻ってきて欲しい。
こういう思考に辿りつくからにして、果てしなくには恋愛感情というものがかけている。
修羅場はどこも同じらしい。結構遅い時間になるが官吏達の様子は昼間と大して差がない。

「・・・何が足りない・・・?
どこまでが人の限界なのかしら・・・
倒れる前に休ませるにはどのタイミングで・・・
このままじゃ夏の二の舞になる・・・」

ブツブツ呟きながら回廊を歩いていると前からきた人物にぶつかってしまった。
身体の小さいはその反動で後ろによろけてしまう。

「・・・おっと・・・すまない。
大丈夫かい、殿」

目線をあげると、多分茶州の件で忙しいのだろう。
表情に疲れが見えている楸瑛だった。

「らっ、藍将軍。
お久しぶりですっ」
「・・・あぁ・・・」

久しぶり・・・か。しばらく顔を合わせてなかったっけ・・・。
最後が町で拾った時になる。ふと楸瑛はその事を思い出しての腰に目をやった。
かわらずそこにあるのは扇と短剣。
やはり、あれは嘘ではないようだ。

「・・・本当に久しぶりですよね。いつ振りですか・・・?
えっと・・・もしかして今年初ですか?
龍蓮と結構縁があった分、藍将軍とは会ってないですよね」
「・・・え?
この前お会いしませんでしたか・・・妓楼近くで・・・」

楸瑛の言葉には目を点にする。
「は?
私そんなところ行きましたっけ・・・?
・・・・あー、黄尚書探して行ったかもしれませんが・・・藍将軍とは会ってないような・・・。
ごめんなさい、気づきませんで・・・」
「いや、夜に・・・」
「夜?最近夜に外出した覚えないんですけど・・・。
藍将軍飲み過ぎてどっかの妓女さんと見間違えたんじゃないですか?
遊びに行くのもほどほどにした方がよろしいですよ。
あっ、じゃあ私は急ぎますんで。これで。
戸部の方がまた安定しましたらまた、邵可様のところで一緒にご飯食べましょう」

様子からしては本当に覚えていないようだ。
楸瑛は一歩踏み出したを自然に呼びとめてしまった。
は振りかえり首を傾げる。

「・・・どうしました・・・?」
「いえ、あまりに久しぶりでしたから。もう少しお話がしたい。
一緒についていってもよろしいですか?」
「別に良いですけど・・・。その辺の部署回るだけですよ。
それにお忙しいのでは?」
「いえ、あまりにも使えないと絳攸に叱られましてね。
少し休憩をもらったところです。
一人でいるよりも貴方といた方が良い時間が過ごせます」

流石色男と行ったところか。言葉の使い方がうまい。
口説かれているのか、判断は出来ないが、は素直に感心した。

「ならば夕飯の方は?
まだであればご一緒しませんか?・・・やはり私では役不足でしょうか?」
「いえ、貴方に誘われては例え忙しくても断ることができませんね。
喜んで」

二人は一斉に吹き出した。

「駄目ですねー。どうも私こういう会話は苦手です」
「笑わなければ様になっていたのに・・・。
貴方は顔が美しい分更に魅力は倍増しますよ」
「残念ながら、男よりも男らしい性格らしく、本当に直球らしいんですよ私。
駄目ですねー」
「いえ、そんなところも可愛らしくていいんじゃないですか?
微笑ましい」
「誉めても何も出てきませんよ、藍将軍。
・・・あっ、そうだ。
何か茶州であったそうですね。
最近黄尚書とかと会話がなくって全く今の状況が飲みこめてないんですけど・・・。
少し教えていただけませんか?」
「言っちゃ悪いですが貴方とは関係ないですよ」
「関係なくても知っておきたいんです。
ほら・・・秀麗ちゃんや影月くんも気になるし・・・」

真剣に心配している表情は先日酒の席で見せたの面影とは違う。
何か吹っ切れたような、そんな感じがした。

「・・・茶州で、謎の奇病が流行っているそうなんです。
それで、朝廷の医師団を派遣してその奇病を治す準備に今追われているんですよ。
あと国だけでは賄えないので全商連にも色々協力を」
「全商連・・・・。
それに・・・朝廷の医師団が・・・そんな法律ありませんよね」
「今、作っている最中です。全く彼女達にはやられたよ。
鄭補佐にも管尚書も黄尚書も頭が上がらないみたいで・・・」
「・・・やっぱり凄いんですね。悠舜さん・・・。そっか・・・」

先日劉輝と悠舜と話していた事が脳裏に浮かぶ。
劉輝は本当に凄い人を味方につけた。

の手荷物がなくなったところでやっとご飯にありつける。
精力をつけようとは大盛りのご飯やおかずをお盆に乗せてやってきた。
流石に楸瑛もその光景には絶句した。

「・・・本当に、それ一人で食べるのかい?」
「えぇ。
自慢じゃないですけど、全て入っちゃうんですよ。昼ご飯食べてないですし。
ぶっちゃけ、藍将軍よりも動いている自身はあります。
頭も使っているし、ここで糖分取っておかないと明日の朝まで持ちません。
・・・やっぱりこういうところが色気ないんですかね」

楸瑛は何も言えなかった。これも正論だから。
は楸瑛の言葉を待たずにご飯に手をつけ始めた。勝負はまだ始まったばかりだ。

殿、お食事中すいませんが少し話してもいいですか?
多分時間も限られてくるので」
「少しはしたなくになってしまいますがそれで構わないのであれば、どうぞ」
「・・・殿は・・・。
結婚とかについてはどうお考えで?」

の箸が止まった。吹き出さないだけましだったが。
一拍の後、がごくんと口の中の物を飲み込んだ。

「・・・それがですね・・・。
私も少しここ数日で変わったんですよ。いや、変わったというか・・・元に戻ったというか・・・」

楸瑛は目を細める。

「ここ数日ばたばたしていたからなんか、なんか鬱だった気分も吹っ飛んでいって、ただ仕事だけに打ち込めて・・・。
下っ端だけど、それが楽しいっていうかたまっていた仕事がなくなっていくのが楽しくて・・・。
皆と協力してこなしていくのもまた楽しくて・・・。
終わった時の疲れた感覚もそれまた格別で・・・。
仕事好きなんだな・・・って思いました。
多分、これからも忙しくなっていくと思います。黄尚書、容赦なく修羅場ってる部署に飛ばすから、毎日大変で・・・。
だから恋愛なんてしている暇ないし、もし結婚しても旦那様にかまってあげられないような気がして・・・
それに、今日、悩みも一つ消えましたし」

出かける前、邵可が呼びとめて話してくれた事が、今でも鮮明に思い出せる。

『秀麗には縁談の話は言わないでください。あの子は今は目の前のことに必死だし・・・。
殿も焦ることはない・・・』

「いやー、もう仕事と結婚しちゃおうかなぁ・・・って感じですね。
むしろ今仕事が恋人?」

ここまで笑って言ったはやはり男よりも男らしかった。
楸瑛はふっと笑む。心配するほど悩んでいないようだ。それにあの夜の事は覚えていないなら・・・。

「仕事が恋人なんて勿体無い・・・。
というか、戸部尚書に似てきましたね。
少し離れたらどうです?折角若いのに・・・。
良い男ならたくさんいますよ?」
「・・・う〜ん・・・。なんかサボる気にはなれないのよね。
あぁ、これも黄尚書に似たのかしら・・・、むむっ。
でも今黄尚書と全く顔合わせてないと言うか・・・。
会話もないし・・・。あの仮面姿もあんまり見なくなったし・・・」

素顔なんて尚更だ。
最近鳳珠の家には近寄っていない。
新年からなにかが違ってきている。歯車が噛み合っていないような・・・。

「あぁ、すいません。。なんか色々・・・。
少し疲れが溜まっているせいか、色々愚痴りたくなってくるんですよね。ごめんなさい。
これから徹夜が続くと思うと正直やってられないんですけど・・・」
「なのに、頑張ってますね。
・・・一つ質問良いですか?」
「・・・どうぞ?」
「何故下官の貴方がそこまで悩む必要があるのですか?
采配は全て上官に、そしてその指示に従っていれば良い。
おそらく徹夜が続く事はないでしょう」

それが普通の朝廷の形。
部署の運営にが頭を悩ませる必要はない。

「・・・貴方は・・・」
「だから・・・楽しいんですよ。仕事を片付けていく事が。さっきも言いましたけど・・・。
どうも私は人の指示に従うだけでは物足りないらしいのです。
頭悪い方法に従っているのは逆にいらいらしてきますし・・・。だから自分から動くんです。
反発も今まで来ていませんし・・・。不都合があれば改善しますけど・・・」

これ以上、なにも言うまい。
楸瑛はほとほと感心した。元々そんなに仕事に打ち込めるタイプでもなかったし・・・。
静蘭や劉輝とはまた何か違う。
・・・本当に女官制度を取り入れてよかったと思った。
こんな人材を捨てておくなんて勿体無すぎる。


「・・・どうぞ」

の前にお茶が置かれる。

「藍将軍、別に良いのに・・・」
「いいえ、忙しい貴方の身を案じて・・・。
疲れが取れる茶葉らしいですよ」

は楸瑛の気遣いに感謝して茶をすする。
山盛りになっていたご飯はいつの間にか消えていた。本当に綺麗にの中に入ってしまったのが嘘みたいだ。

「さて、戸部に戻ります。第二ラウンドってやつですか?」
「そうですか、では戸部までお送りしましょう。
・・・本当に良く食べましたね。にわかに信じ難い・・・」
「・・・ほっといてください」

最近になってようやく自分の『朝廷での存在意義』が分かってきたと思う。
私は必要とされればそこへ飛んでいく。そこで人を助けて、また必要とされるところへ飛んでいく。
それでいいのだ。
はなから給金などには興味がない。
人の上に立って権力を振るう事はそれはそれで楽しいが、今の状態も嫌いではない。
兄とは会えないどころかむしろ中途半端な官位にいるよか会えるし、下っ端でも彼の翼の羽根くらいにはなるだろう。
それでいいのだ。

「あっ。そうだ殿」

戸部の扉に手をかけたを楸瑛が呼びとめた。

「・・・なんでしょう?」
「一つ言い忘れてましたが、茶州でその奇病と一緒に変な集団が出てきてですね。
茶州に奇病が出始めた頃から頭角を示し始め、入信すれば病にかからないと言ってきたらしです。
茶州の方でも対策はいち早くとったらしのですが、恐怖の為か村人達が瞬く間に入信してしまったようです。
そしてもう一つ、彼らは政事に女人が関わったためと生贄を要求してきています」
「・・・なっ!?」
「確か『邪仙教』だったかな・・・」
「邪仙教・・・。怪しさ満点じゃない・・・。
ったく・・・どこの馬鹿よ・・・そんなの立ち上げたの・・・」
「・・・えっと・・・教祖は確か『千夜』だったかな・・・」
「・・・えっ・・・・」

・・・千夜って・・・。
徐々に心拍数が上がっていくのを感じる。
実際『琳千夜』にお目にかかった事はないが、名前だけなら聞いている。

「・・・以上が今朝廷をパニックにしている裏話ですよ。
あと三日ほどで秀麗殿達が旅立つと言ってますから、それまでの辛抱です」
「・・・あっ・・・ありがとうございます。
貴重な情報を・・・」
「いいえ、ではお仕事頑張ってください。
寒いですからお体には十分気をつけてくださいね」
「はい。
お気遣いありがとうございます」

は戸部に入っていった。
そして今は主のいない尚書室へ入る。
暗闇の中は息の調子を整えた。

「・・・今更・・・なに騒ぎ起こそうとしているのよ。
あの馬鹿は・・・」

脳裏に浮かぶのはあの艶やかに波打った長い髪と恐怖さえ感じさせる微笑。
一応、生きているとは思うが・・・。奴があんな馬鹿なことをするはずがない。
茶州で・・・一体何が・・・。
知りたいけど自分の出る幕ではない事は明らかだ。

「・・・朔洵・・・」

次の国試には絶対受かれ、と約束して消えていった。
大人しくしていてくれると思ったのに・・・なんてこと・・・。

空に丁度月は出ていなかった。
星だけが綺麗に夜空に輝く、今日は朔の夜。

少しの不安を覚えたが、は頭を振った。
そう、今はこんな事考えている暇はない。秀麗達もその奇病に向けて頑張っているのだ。

「・・・私は私のやるべき事を・・・。
そう誓ったはずだから・・・」


そう思うも、やはり胸を過ぎる不安は消えない。
・・・あんたは今一体何をしようとしているの?
ただ静かに光る星達がその答えを知っているようだ。


   

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