「・・・その話は・・・本当なのか・・・?」
「流石にこれほどの嘘話をする暇はわしにはないの・・・・」

嘘吐け、と二人は思ったが、目の前にいる老人はその視線も軽く流した。
今頃、若者にどんな冷たい視線を向けられようとも痛くもかゆくもない。

「・・・さて、どうする・・・」
「・・・私の力が朝廷に影響を与えるのですか・・・・」
「王の話によると、闇姫の中に眠る強い力を解放するまでは全く影響ないとの話じゃったな」
「では、その力を解放しなければ良いのですね」
「・・・まぁ・・・簡単に言えば」

それだけで終わるはずはない、と霄太師は思った。が、これだけ長く生きてきた中で闇姫との接触は今回が初めてだった。
その詳しいことは自分でも分からない。
これまで幾度となく縹家を調べようとしたが、自分が仙人の身ゆえ近づくことは出来ない。
捕まってしまえば終わりだ・・・・。

「では・・・とにかく、璃桜殿ととの接触は避けなければいけないのか・・・。
流石に行動は余でも読めないしな・・・」
「気づいたらそこにいるんだもんね・・・。
私も朝廷内うろうろしているから一人きりになること多いし・・・」
「・・・それがいかんのだ。
、黄尚書に頼んで定時に帰らせてもらえ」
「うーん・・・そうしようかな・・・」

自分が他に影響を及ぼしてしまうのなら、不本意だがそうするしかない。
璃桜に関しては太刀打ちできる術を持たないし、逃げられる自信も正直なくなってきた。

「・・・しかし、霄太師。
何故母上はそのことを私に一言も言わなかったのですか?
母上は、自分が縹家出身だ、すら言っていませんでしたけど・・・」
「さぁ?
わしも一応聞いてみたが、『璃桜がこなければ意味ないことだ』で終わった。
まぁ朝廷にとって縹家は一番の敵じゃ・・・話にくかったんじゃろ」

霄太師はそういいながら心の中で否定した。
おそらく面倒なだけだ。あいつがそんな周りを気にする行動をとるわけない。

は、冷めてしまったお茶を飲み立ち上がった。

「今日はわざわざありがとうございます」
「・・・いや・・・いつかはこんな日が来るとは思っていたからの・・・」
「では、余もこれで・・・」

と一緒に出て行こうとする王を霄太師は止めた。

「・・・主上・・・少しお話があるのじゃが・・・」
「・・・・?」
は部屋の外で待っていなされ。
話は直ぐに終わることゆえ、主上に送らせましょうぞ」
「・・・別に構わないが・・・なんか王の扱いとしてどうだ、それ・・・」

二人になった室内で霄太師は呟いた。

「・・・流石に先ほどは言わなかったが、先王が床に伏せていたのは闇姫の呪いのためじゃ・・・」
「・・・え・・・・」

劉輝の顔が凍りついた。

「闇姫の呪いは王に直接ふりかかる・・・・一同発動してしまえば死ぬまでその呪いは王を苦しめ続ける。
先王はまだ良いほうだった・・・。悪ければ即死じゃ・・・」
「だって、父上との母は仲が良かったと・・・」
「璃桜が挑発でもしたのじゃろ・・・
とにかく、は危険な存在ですぞ・・・。それを考慮した上でこの後の扱いを決めてくだされ・・・」
「あっ・・・扱いとは・・・・。はこのまま官吏として・・・」
「どこで何が起こるか分かりません。
先王の件だって・・・風雅自身は先王を死に追いやるつもりは全くなかった・・・。
これ以上を人の輪の中においておいては・・・」
「・・・もういい・・・」

劉輝は絞り出すような声で言い放った。
霄太師は目を細めた。

「余はどうにでもなる・・・・。もし跡継ぎがいなければ清苑兄上でも王においてくれ。それでいいだろう。
余はが好きなように生きて欲しい。

・・・一人ぽっちは・・・誰でもいやなのだ・・・」

そういって、劉輝は室を出て行った。


「・・・本当に・・・・相性が悪いのかの・・・、わしと紫家の人間は・・・」

自分の言うことを全く聞いてくれない。
素直に聞いてくれたことなど一人につき指で数えるくらいしかない。
自分的には一番良い道を勧めているつもりなのに、皆それを拒む。
・・・分かっている。彼らは人間なのだ・・・。

「・・・悲しいの・・・葉、白夜・・・」

遠い茶の地にいる彼らの名を呼ぶ。
多分、彼らも同じことを思っているだろう・・・。人間とは理解しがたい生き物だと。

「あっ、もう終わりましたか?」
「あぁ、クソジジイの戯言だった」

ぶすっ、とした劉輝の口調には苦笑した。また嫌がらせでもうけたのだろうか。

「・・・あの、劉輝兄上・・・」
「・・・なんだ・・・?」
「・・・私が闇姫ということに恐怖とか沸かないのですか?
私は・・・」

劉輝はの頭を撫でていった。

「・・・だ。
余はそなたのこと大好きだぞ・・・・?」
「・・・兄上・・・」
「で、どこまで送れば良い?というか今どこに住んでおるのだ」

は少し考えていった。

「そうですね・・・流石に外まで送っていただくわけにもいかないですし・・・。
えっとですねぇ、今黄尚書の家にご厄介になっていますけど・・・言ってませんでしたっけ?」

あれ?とは首を傾げた。
かなりの極秘事項だったが劉輝には言っていたような気がする。・・・言ってなかったっけ・・・?
その台詞を聞いて劉輝の頭は真っ白だった。
・・・後見だとは聞いていたが・・・同棲っ!?!?
冗談じゃない・・・。それをするなら後宮にでも内朝でも好きなだけ部屋を用意してやる。
劉輝の頭は闇姫以上に重大問題だった。

「・・・ろっ、・・・。
その・・・黄尚書には何もされてないだろうな・・・」

かなりうろたえている兄を見て、はなんか急に冷めてしまった。

「・・・黄尚書が何をするって言うんですか・・・。
大丈夫ですよ、ご安心くださいませ・・・。

・・・そう、黄尚書なんですけど本当におかしいくらい女の人に手をつけないんですよ!!」

「・・・・は?」

「おかしいと思いませんか?あの顔、あの性格、あの地位でまだ奥さんいないんですよ!!
絶対おかしいです。その辺の官吏よりも絶対いいのにっ!!」

の気迫に完全に押し負けてしまった劉輝はもはや頷くしかなかった。
っていうか、あの顔、あの性格だから結婚出来ないんじゃないのか?

「とにかく聞いてください!」

最近玉と話し込んでしまったせいか、無駄に鳳珠のことが心配になってきたである。
王くらいになら話しても問題ないか・・・。と門の外まできっちり話し込んでしまった。

「・・・では、お見送りありがとうございました。
ここからなら人通り多いんで大丈夫です」
「・・・あぁ・・・気をつけてな・・・」

の目から見た黄尚書はあまりにも良い人過ぎた。
現実との差に劉輝はしばらく悩まされることになる。

「・・・こんにちは、茈官吏」
「・・・っ!?
あっ・・・・こんにちは、欧陽侍郎・・・と管尚書・・・」

昨日の一件以来いちいち物事に注意深くなってしまった。
これは自分でもいけないと思う。なんか普段通りにしなければ・・・。
そんなの態度の気にせず、飛翔はを見下ろした。

「なんで俺が、おまけみたいになっているんだよ」
「酒飲みに朝廷来ている人なんておまけで十分出ですよ」
「申し訳ありません、見えなかったもので・・・」

いつもなら、何か反論してくるはずのが何故か今日は大人しい。
飛翔と玉は同時に首を傾げた。

「・・・・おい、何か変なものでも拾い食いしたか・・・?」
「・・・なっ、すっするわけないじゃないですか!!
一緒にしないでくださいっ!!」

咄嗟に口にしてしまったので一言多かった。そのことには言った後に気がついた。

「・・・ほぅ、誰と一緒だって?」
「貴方に決まっているじゃないですか。このトリ頭。
女性にしかるべき態度を取れないから結婚できないんじゃないですか」

怒る飛翔を玉は一言で止めた。しかもかなり痛い。
玉は飛翔の反論を無視して、の額に手を当てた。

「・・・熱はないみたいですね・・・。具合でも悪かったら少しお休みなさい。
この人の言うように少し表情がさえないですよ。
貴方は最近頑張りすぎているみたいですから、休んでも罰は当たらないでしょう」
「・・・あ・・・はい・・・」

昨日璃桜に会って、霄太師の話を聞いて・・・・。
昨日は色々混乱していて帰ってから鳳珠の顔も見れなかった。
何も言わなかったが、鳳珠も最近何か自分を気にしてくれているみたいだ。

「・・・ってかお前だって結婚してないじゃねぇか」
「別に、私はまだ適年齢期ですし。
女性の方が後一歩ってところですね」
「お前が選べる立場かよ。」
「その言葉そのままお返しいたします」
「大体奇人だって結婚してねいじゃねぇか。あいつはどうなんだよ」
「あの方は特別です。
というかあの方の隣に立てるのは真に美しい女性だけですよね」
「・・・一生結婚無理じゃねぇか?」

そんな会話を背景にガラスに映った自分の顔を見た。
確かに、いつもの元気がなくなっているような気がする。
生気を全てあの人に取られたようなそんな気分。

「・・・あの・・・ご心配おかけしてしまいましてすいません。
私なら大丈夫ですので・・・失礼します」

は二人に礼をして、去っていった。

「・・・やっぱりおかしくねぇか?」
「・・・まぁ・・・失礼かもしれないですけどそうですね・・・」

すっと、窓から雪が舞い込んだ。
二人は微妙に開いている窓を見つけ、閉めた。

「・・・ったく・・・誰かこのくそ寒いのに窓なんか開けたんですか・・・」
「・・・おい、陽玉・・・」
「玉です。いったい何度言ったら分かるんですかこの馬鹿・・・」

玉は飛翔の視線の先を見て言葉と止めた。
外から入って来たのは雪と冷たい風だけではないようだ。

「・・・こりゃ薔薇だよなぁ・・・」
「流石の貴方でも分かりましたか・・・。
しかしこの雪の季節に紅い薔薇なんて・・・・どこから?」

近くを見ても薔薇が生けてある花瓶などない。というかこの季節に普通薔薇は存在しない。
外から紅い薔薇の花びらが舞い込んで来るなんて、人為的なものとしか考えられない。
誰も外にはいないし、雪にも誰かがこの近くにいた痕跡もない・・・・。
二人は薔薇の花びらを見つめて押し黙った。

・・・ミステリィ?

「・・・まぁ、別に大したことはないでしょう。
そんなことよりとっとと工部に戻りますよ。
仕事が山ほど残ってますから」
「陽玉、いっそうのこと書簡と書類で家を建ててみるとか・・・」
「寝言は寝ていってください。
・・・そういえば吏部尚書室に行けば書簡で家具ができているらしいですけど・・・」

・・・・マジかよ・・・・。

「・・・おや・・・あれ主上じゃないですか・・・?」
「あぁ本当だ。
あの坊ちゃん王様がこんな外朝で何してるんだ?」

遠くから見ると誰かを探しているようにも見える。
あまりにも彼の顔が真剣なので玉は話しかけてみた。

「・・・あの・・・主上誰かお探しになっているのですか?」
「・・・ん?
別に・・・探しているといえば探しているが・・・いない方がいいというか・・・」
「はっきりしねぇな・・・」
「ちょっと困ったことがおきてな・・・。
今から外朝の警備をもう少し厳重にしようと考えていたりするのだが、・・・どう思う?」

どう思う?とか言われても『ちょっと困ったこと』というのが分からなければ答えようもない。

「何かあったんですか?泥棒ですか?」
「・・・泥棒・・・。余にとってはある意味そうかもしれんない・・・。
ちょっと朝廷内に無関係者が侵入しているらしいのだ。
流石に朝賀のときは何もいえなかったがもうそういうわけにもいかないだろう・・・。
ということで、余から直談判を・・・」
「・・・王じきじきに直談判って・・・。そんなに偉い奴なのか?
そんなんなら総出で探した方が早いんじゃ・・・・」
「それが出来たらしている・・・。
どうやら物凄くかくれんぼが上手いらしくて余も難儀している・・・。
この朝廷でかくれんぼをさせたら余に勝るものはいないからな」

かなり、偉くて強い相手のようだ。飛翔はなんとなく黎深を想像した。
鳳珠の家に軽々と不法侵入する彼ならそれくらいできるであろう。

「・・・そういやさっきそこの窓開いてたよな・・・」
「えぇ・・・季節はずれの薔薇の花びらも落ちてましたし・・・」
「薔薇・・・・だとっ!?
それは紅かったりするのか?」
「・・・えっ・・・えぇ・・・。
・・・・まさか・・・・」
「・・・・・・」

王は無言のまま考えた。
自分のきた証をそのまま置いておくなんて相当の自身の表れだ。
一人ではなくとも、危ないかもしれない。

「・・・・あっ・・・もう一つ聞くが・・・・茈官吏を見なかったか?」
「あぁ・・・彼女ならほんのさっきすれ違いになりましたが・・・府庫の方へ本を返しに行ったようですよ」
「ありがとう!」

その言葉を聞いて、王は走り出した。

「・・・なんか・・・大変なことに巻き込まれそうになったみたいだな・・・」
「もしかして殿がさえない顔をしていたのもこれに原因があったりするのかも」
「王も、走っていったしな・・・」

あくまで自分中心を愛する彼らは人の面倒ごとには首を突っ込まない主義である。
だから今回のことも忘れることにした。
世の中には知らなくていいこともたくさんある。
例えば先ほどの紅い薔薇の落とし主とか・・・・。

工部の二人は何事もなかったように自分達の部署へ歩き出した。

日がもう落ちてきた。
雪の降りも段々酷くなっていき、あたりはもう暗い。
は府庫で鳳珠に頼まれた本を探していた。

「すいません、邵可様・・・・。
付き合わせてしまいまして・・・」
「いいえ、これが仕事ですから。
しかしおかしいですね・・・。いつもならこの辺にあるはずなのですが・・・
戸部にはなかったのですよね」
「えぇ・・・昨日私がちゃんと戻したはずですから。
府庫の資料を運んでくる人なんて黄尚書くらいしかいませんし・・・」
「お探しのものはこれですか?
・・・闇姫・・・」

その声に二人の動作は止まる。
まったりとした雰囲気が急に冷たくなった。
振り返ると、昨日もあった顔がそこにある。

「・・・何をしにきた・・・」

は隣にいた邵可の冷え冷えとした声に驚いた。
いつものあのおっとりとした彼から想像もできないような鋭い視線。
キンと糸が張られたように室内は沈黙に包まれた。
色んな殺気が混じり、は久しぶりに身の危険を感じた。
こんなの一般人が出せるようなものではない・・・。

「・・・様、ここは私に任せてお逃げなさい・・・」
「邵可様・・・彼は私に・・・・」
「・・・貴方がなんと言おうとも奴は私の獲物です。誰にも渡さない・・・」

過去の二人に何があったのかは知らないが、とにかく犬猿の仲以上に悪いものがこの二人の間にあった。
は体を叱咤して走り出した。
多分邵可なら大丈夫だ。そんな気がする・・・。とにかく今は逃げないと・・・。

「・・・今日は貴様には用はない。
私が欲しいのは闇姫・・・」
「・・・・・・っ」

つかまれた腕に力が込められ、は顔をゆがめた。

「・・・私から逃げられるとお思いですか・・・?」

背筋が凍る。母とは大違いだ。

・・・これが・・・縹家・・・?

知らなければその腕を振り切ることが出来たかもしれない。
でも、知ってしまったら無理に力も奮えない。

自分の中に闇姫の力がある。もしそれを開放してしまえば劉輝が・・・・

「・・・その手を、離せっ!」

邵可が大きく跳躍して璃桜向かって短剣を数本投げた。
璃桜はそれを軽く避ける。

「危ないことしますね・・・。
闇姫に当たったらどうするおつもりですか?
それとも・・・当てたいのですか?

貴方の信頼した先王陛下を殺した女の娘ですからねぇ。
そして大事に可愛がってきた劉輝殿を殺すかもしれない危険因子。
・・・確かに殺したいのかもしれませんね・・・」

邵可の瞳が揺れたのをは見た。

・・・邵可様・・・。

改めて言われるとそうかもしれない。
王を愛する人にとって私は排除しなければいけない存在・・・。
守ってもらえる筋合いはない。
邵可が一歩踏み出した瞬間、府庫の扉が開いた。

「・・・っ!!」
「・・・あっ・・・兄上・・・っ!?」

劉輝は躊躇いもなく莫邪を抜いた。そして璃桜の顔すれすれに払う。
璃桜がひるんだ一瞬の隙をみて、は彼の腕から逃れた。

「・・・危なかったな・・・。
、逃げるのだ・・・。早くっ!!」

劉輝の声に後押しされるようには府庫から走っていった。
人の行き交う廊下を闇雲に走った。
とにかく逃げなければいけない気がした。
考えるのはあとだ。とにかく今は誰もいない安全で安らげる場所が欲しかった。


いつの間にかどっぷりと日が暮れていた。
どれだけ走ったかは覚えていない。
無駄に体力があるため、走ろうと思えば何時間でも走ることが出来た。

もしかしたら人のいなくなるのを待っていたのかもしれない。
ただ、体が疲れて動けなくなるのを待っていたかもしれない。
最近、いろんなことがありすぎた。
休みたい。全てを投げ出してしまいたい。心から安らげる場所が欲しい。

忙しくて、でも充実した毎日を送る中でそんな感情は忘れていた。
たまに思うが直ぐに消し去った。
今まで無視してきた分の反動だろうか。今は凄いその感情が強かった。

『貴方は最近頑張りすぎているみたいですから、休んでも罰は当たらないでしょう』

夕方聞いた玉の言葉を思い出した。
・・・そうよね・・・。休んでも誰も叱らないわよね・・・。
朝廷で働いてからそんなこと一度だって思ったことはなかった。
自分でも不思議なくらいに。
誰もいない廊下を歩き続け、そしてある部屋に入った。
一番奥まで行き扉を閉め、壁によしかかるように座った。

全てを投げ出したい気分だ。
そもそも、闇姫って何?
人間は同じ人間でしょう。なんであんな人間離れした人たちがこの世にいるのよ・・・。
冷静になって考えてみると、自分の周りは本当にありえない人たちばかりだ。

「・・・はぁ・・・」

なんで自分はこんなに真面目にやっているのだろう。
思い起こせば阿呆らしい。
確かに何時か飛翔の言ったとおりだ。
官吏なんてやらなくてももっと楽に生きて行ける。
例えば彰みたいに商人になるとか。時代の流れをつかめば一生遊んで暮らせるのに。

色々考えてしまうと更にばかばかしくなってしまう。
こんな頭があるのだからもっといい暮らしも出来たはずだ。
母も死んだし、官吏になる必要もなかった。
あのまま鳳珠様の侍女やって生きていくのもそれもよかった。
気が抜けると涙が流れた。
むなしさを感じる。

・・・なんで逃げなくちゃいけなかったのだろう。
なんで、私なんだ・・・・?
世の中にはごまんと人がいるはずなのに、なんで私なの・・・

そのとき、扉が開いた。

『・・・・!?』

扉に体重を預けていたのでの体はそれにつられて後ろに傾いていく。
そして何かに当たって止まった。
上を見て、は絶句した。

「・・・ほっ・・・鳳珠様・・・」
「・・・何をしているのだ・・・帰ったのではなかったのか・・・?」

なんか間が悪い。
・・・・そう思った。

   

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